関西・大阪に吹く風。閉幕した万博では、紆余曲折はあったものの2902万人(一杯来場者は2557万人)を動員し、その利益は230〜280億円に達する見込みとか。当初は反対派が多数を占めていたのに終わってみれば大半が賛成に転じたというから不思議なものである。カラクリはあるにせよ、まずは『メデタシ、メデタシ』といったところか。
そして隣県の奈良からは我が国初の女性総理大臣が誕生。それだけではない。連立に加わった経緯もあって維新の支持率も急回復。凋落著しい国民民主党の地盤をも食いそうな勢いにある。早々に衆院解散でもあれば何が起きるか分からない。マスコミ、いやネット主導の社会だけに思いもよらぬ結果を招くかも知れない。
スポーツも強い。とにかく強い。阪神タイガースは2位DeNAに13ゲームも差を付けて優勝してしまった。貯金たるや、なんと31に達した。ドラフトでも立石を引き当てるなどセ界では独り勝ちの様相である。サッカーJリーグだって同じだ。京都と神戸が優勝を狙える3位と4位に付け、ガンバ大阪はACL2を快走する。だが不安な面も。万博跡地に予定されるカジノのことだが、これって大丈夫なのだろうか。
我が国には様々なギャンブルがある。公営もあれば民営もある。競馬、競輪、それにパチンコといった遊技だが、景気低迷や少子化に伴うギャンブル離れもあって、いずこも業績不振に喘いでいた。この数年は株や不動産価格の上昇もあって下記(レジャー白書2025)の如く持ち直してはいるものの人口激減に伴う市場縮小は如何ともし難い。市場が細るにつれ、これまでにも増して収益の悪化は不可避なのである。
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《参考》
〈レジャー白書2025より/原文のまま〉
パチンコ・パチスロの参加率は7.1%と前年より0.3増加。年間平均活動回数31.0回(-0.2)、年間平均費用8万9900円(-1万9100円)、希望率5.4%(+0.2)と示した。公営競技などは堅調に推移。参加率・年間平均費用では、宝くじ17.5%・2万8100円、サッカーくじ4.1%・2万9800円、中央競馬8.5%・8万5800円、地方競馬4.6%・7万1700円、競輪2.9%・5万9800円、ボートレース2.7%・7万3800円、オートレース1.4%・6万3100円。諸物価高騰、2024年問題、改刷対応、オーバーツーリズム、オンラインカジノが社会題問題化するなどした2024年、娯楽部門(ギャンブル等)の競輪や競馬など公営ギャンブルは、オンラインが8~9割を占める程になっており、余暇重視派が比率を上げている傾向の中で、余暇のあり方も変容してきている。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ こうした中にカジノが加わったらどうなるのだろう。以下、過去記事の写しで恐縮ながら、これが現実なのではなかろうか。
【カジノで怖いのは、個人破産よりも地域崩壊、財政破綻】
日本人が1年間で使う遊興費の総支出は、1992年の90兆8860億円をピークに減り続け、2015年には72兆2990億円まで縮小。この間の減少率は約20%である。中でも、ギャンブル産業は、こうした影響を最も受けた業種といえよう。
比較的順調な中央競馬でさえ売り上は1997年の4兆円から2兆5833億円に。競艇は2兆2220億円から1兆422億円、競輪は1兆9533億円から6159億円へと急減である。地方競馬に至っては、9820億円から4310億円まで低下し、今や廃止も相まって見る影もない。
娯楽の王様と言われたパチンコ業界とて例外ではない。1995年には30兆9020億円を売り上げ自動車産業にも匹敵する巨大産業であった。愛好者も3000万人とされた。それも今は昔で、遊技人口は1000万人近くまで減り、売り上げも24兆円(修正分含まず)と急降下している。
これでカジノは成功するだろうか。ギャンブルとはいえ市場の再配分だ。縮小する器の中での奪い合いに過ぎない。国内の富裕層は限られる。外国人をターゲットにしようにも、カジノは日本だけではない。世界の至るところに存在する。結果として、競馬、競輪、パチンコといった既存の業界を更なる衰退へと導いてゆく。
日本人の生活水準は後退の一途だ。見せ掛けの指標や株価上昇は何処へやら。平均年収たるや470万円にも満たない。これは30年以上も前の水準で、AA諸国との比較でさえ上位争いから脱落している。支出は収入に左右される。減り続ける所得にあってはギャンブルへの支出も必然的に漸減する。カジノが成功する道理はない。瞬く間に共倒れしてしまうだろう。
雇用への影響も計り知れない。現在、パチンコ業界だけでも約150万人が携わっている。公営ギャンブルも含めれば200万人は下るまい。もし、カジノで3兆7千億円の目標値を達成したところで、それ以上の雇用を奪ったのでは意味がない。税収も激減する。大きな経済効果どころか損失による(国、地域、個人と)破綻しか生まれないということだ。
しかも、究極の愚弄は、「団塊の世代にも新たな娯楽の場を提供できる」とする文言であろう。国の財政は危機的な状況にある。それを65才以上が保有する金融資産で穴埋めするつもりらしい。国家主導で賭博を開帳し、丸裸になって路頭に迷ったところで、「自己責任」で済ませることができるからだ。
ギャンブル依存症も心配だが、こちらの方が遥かに深刻ではないか。氷解するパイ(人口=ギャンブル人口)を巡っての奪い合いは椅子取りゲームそのものでしかない。産業規模が同じなら自動車産業の崩壊に匹敵する惨状が待ち受けるのだ。政府の無謀な賭け(ギャンブル)によって国の経済が破綻する。その付けは国民が支払う。これでは堪ったものではないと思うが。
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「な〜んていくらホザイても、これってカジノには縁のない貧乏人の僻みでないかい」
「ドキッ!🌚」


