〈空き家の推移〉

(国交省より)
国土交通省の調査によると、2024年現在、全国の空き家総数は約900万戸(実数は899.5万戸)に達した。これは、1993年の2倍であり、前回の調査(2018年/849万戸)に比べて51万戸増加したことになる。全住宅数に対する空き家率も13.6%から13.8%に上昇した。空き家問題が本格化するのは最多層たる高齢者世帯の欠落が急増するこれからである。まだ序章に過ぎないのだ。これでこの先はどうなってしまうのだろうか。
〈新築マンション価格の推移〉
こうした中にあって東京23区のマンション価格が大変なことになっている。新築なら平均でも1億円の大台を突破したとか。この1年だけでも、39.4%上昇して1億1483万円になったというから、もう驚くばかり。バブル期をも凌いでいるのだ。日本全国で深刻化する空き家問題との乖離。投資目的とはいえ、これでは先が思いやられる。あの悪夢が再来するかも知れないのに。すると・・
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20xx年、この国は廃屋で溢れた。地方だけではない。大都市であれ朽ち果てた建造物によって埋め尽くされている。高層住宅だって同じだ。とりわけ2020年代半ばの第二次バブル期に売り出された物件は厳しい。そもそもが投資目的だったこともあり誰一人として住んでいない。しかもその多くは莫大な損失を被ったまま行方知れずに。生活感のなさは、あたかも軍艦島のようでもある。人々はどこへ行ってしまったのだろう。
声がする。どうやらうめき声らしい。僅かな者だけが旧市街地の片隅で生き延びてはいるものの、どこか元気がない。病に冒されている年寄りも多く必死に助けを求めている。でも悲しいかな誰も来ない。たまに巡回する救護隊もいるにはいるが、首に下げたIDカードで身寄りのない独り身と知るや、そのまま放置されてしまうのだ。
財政は破綻し医療介護の制度などは過去の遺物に成り果てている。富裕層は早々に国を捨て海外へ脱出。若者も新天地に活路を求めた。就労目的で入国していた外国人も、第二次バブル崩壊に端を発した不況から職を追われて誰一人として残っていない。日本列島全域が絶海の孤島であり、姥捨山になってしまった。この国に未来はあるのだろうか。
これはSFではない。近い将来、現実になるかも知れないのだ。それも高い確率で・・。
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現在、総世帯数の4997万に対して総住宅数は5759万戸と、その差は1.15倍である。しかも益々、拡大する傾向にある。このままだと、2000万戸、場合によっては3000万戸の空き家すら生みかねない。市場は需要と供給のバランスで成り立つ。ならば不動産の価値などないに等しい。これからの時代、不動産は資産でなく、所有してはならない「究極の負債」に名を変えるのではなかろうか。
《過去記事/住宅がタダより安くなる》
https://blogs.yahoo.co.jp/rohitigu/35758690.html
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日本人の平均年収は韓国に抜かれ中国の極東部にも追い越されてしまった。賃金水準たるや、メイドとして北京や上海で出稼ぎをするフィリピーナにも及ばない。直ぐ後ろには、タイやベトナム、マレーシアといったASEAN諸国が迫る。2030〜40年代にはインドやパキスタン、バングラデシュにも追い付かれでしまうだろう。現在、外国人就労の主流でもあるネパールだって例外ではない。
ある調査によると、今年卒業の大学生(約57万人)の内、約2万8千人が直接外国での就職を希望したという。筆頭はやはり中国だ。そして、米国、欧州、東南アジアと続く。理由は言うまでもない。賃金の高さにある。かつての違法就労大国はどこへやら。日本人の若者が“出稼ぎ”に行く時代になってしまった。空き家の増加は少子高齢化たけに止まらない。こうした事情も加味されてゆく。ならば3000万戸でも収まるかどうか。
深沢七郎の物語では我が子に背負われることで姥捨山まで辿り着く。しかし、これからの高齢者に実子はいない。2035年には2人に1人が生涯を独り身で通す時代になるのだ。これでは姥捨山に行くことさえできない。いや置かれた現実そのものが姥捨山なのかも知れない。住宅余りの社会にあって、そこで暮らすこと自体、楢山節考の世界なのだから。
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《余談》
〈関税(24%)だけではない怖ーい話〉
【コメ値上がりの真相??】
〈コメ価格の推移〉
❋〈トランプの就任(2024年秋)と同時に暴騰し始めたことから、こうした噂も〉
コメの値上がりの裏に潜む陰謀論の数々。その一つに“トランプ買い占め説”がある。米国は日本にコメの市場開放を迫る。コメは我が国の命綱でもある。そうは妥協できるものではない。そこで、「日本はコメに700%の関税を課しているからけしからん」とかいいつつ圧力をかけてはいるものの、あまり効果がない。
ここに登場するのが、○○殺すにゃ刃物はいらない、を地で行く『陰謀論』である。値段を吊り上げることで兵糧攻めにしようというのだ。中でもコメが一番。主食を奪われたのでは堪ったものではない。品不足と価格高騰に喘げば、カリフォルニア米であれ飛び付くだろうと考えても不思議ではない。そう「越後屋さんの正体は『米国・トランプ政権』だった」なんてことにも。あくまで噂であり荒唐無稽な話ではあるが。