【世紀の大発見、宇宙の中心は…】
科学の真相に行き詰まった近未来、全ての謎を解明すべく3人の天才が現れました。それは「新天動説」を唱えるスクニルペコに、「地球は平たい」とするランジェマ、そして、この地球には引力などなく、「押力」だけが存在するとしたトーンニュでした。
3人は自分の考えこそが一番だとして譲りません。そこで先ず、スクニルペコが立ち上がり新天動説を立証すべく壮大な実験が行われることになりました。なんと地球と月を串刺しにして天体の動きを探ろうと言うのです。
地球と月が長い棒で串刺しにして固定されました。するとどうでしょう。地球と月が同じ面で向き合い、棒の麓から見た月は、いつも同じ位置に静止しているではありませんか。スクニルペコは声を大にして誇らしげに言いました。
「月の動きが止まったぞ!」
「これぞ地球を中心に天が動いている証ではないか」
続いてランジェマが登場しました。ランジェマは地球の平たさを証明しようと大きな帆船を造って長い長い航海の旅に出ました。
行けども行けども果てしない大海原..。それもそのはずで、月と繋いだ棒のせいで自転を停止してしまった地球には、これまでのような気流も海流もないのです。
同じ場所に止まっているとも知らないランジェマは、「どうだ! これで地球の平たさは誰にも反論出来まい」と、自信たっぷりに叫びました。
最後はトーンニュの出番です。しかし、トーンニュには、これといった証明するだけの手立てがありません。やっとのことで、「そうだ、いっそのこと、この棒を外してしまえ!」と考えました。こうして長い長い棒が外されました。
久しぶりに、つっかえ棒がなくなったから、さあ大変! 地球は自転に月は公転にと急発進で大忙し。壊れた回転木馬も真っ青でしかありません。瞬く間に地球と月のバランスが崩れました。そして、月は地球の引力に引き込まれて、ひとたまりもなく・・💢💢ドッカーン💢💢
トーンニュは勝ち誇ったように絶叫し、こう言いました。
「見たまえ、『地球が月に』落ちたではないか」
「これこそが『押力』なのだ」
さらに、これを見た3人は画期的な発見をしました。そして口を揃えて言いました。
「そうか【宇宙の中心は月】だったのか」
《《《完》》》🤗
🌑🌒🌓🌔🌕🌖🌗🌘🌚
《余談》

先日(1月28日)中国の人工知能(AI)企業であるDeepSeek(ディープシーク)が低コスト生成AIモデルを開発したことで世界の金融市場に激震が走った。ことに、その影響は優位性を確信していた米国に大きく、AI半導体大手エヌビディアの株価は27日だけでも17%の暴落である。ナスダック全体では時価総額で1兆ドル(約154兆円)が消失。エヌビディア単体でも約5900億ドル(91兆円)に及ぶというから驚く。正に『情報化社会に於ける“地殻変動”の始まり』といったところか。
〈AIに関する論文ランキング〉
それだけではない。今や、宇宙、通信、EV、スパコン、3Dプリンター、ドローンなど、あらゆる分野に及んでいる。国別の科学論文数(下記参照)などは最たるものであろう。最早、日本など見る影もない。インド、韓国には遠く及ばず、イランといった新興国にまで抜かれてしまっているのだ。論文の数は、その国の未来を左右するとか。近い将来、ノーベル賞も中国を筆頭に、こうした国々によって占められてしまうのではなかろうか。
こうした中、少子高齢化で疲弊著しいニッポン。災害にでも遭えば、その修繕さえ出来ない。大工がいない。建設・土木には職人もいない。いても、平均年齢70歳では、あと何年機能するやら。「AIが解決する」と宣ったところで、その技術者すらいない。世界のAI技術者の半数が中国に、アジア全体では七割が集中するのに、この日本だけが蚊帳の外にある現実。外国人はダメ。外国製品もダメ。メイドインジャパンは劣化するばかり。あの大震災から14年を前に、まだ破れたブルーシートに覆われた廃屋があちこちに残る街並みは、あたかも非科学的な世界に入り込んでしまったかのようでもある、一体、この国は何処へ向かうのだろうか。