《プラスチック編》
プラスチックごみの協議が進展しない。削減を目指す国際条約作りすら降り出しに戻ってしまった。使えば捨てる、捨てれば作る、そしてまた捨てる、、こうした循環社会にある以上、もう手の施しようがないのだろうか。あくまで経済優先なのである。我が国だって例外ではない。「リサイクルの為に分別にご協力を」も名ばかりで恐ろしい実態だけが浮かび上がる。
>>>後記へ続く
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【風刺童話】
《時を架けたリサイクル》
これは、いまから少し先の物語りです。とある国には分別しても一向に再利用されない貴重なプラスチックゴミが所狭しと溢れていました。悩み悩んだ末にひとつの結論が出ました。
「そうだ、未来へ送ろう」「きっと有効利用してくれるに違いない」と思ったからです。
しかし世の中、そんなに甘いものではありません。ご多分に漏れず未来社会も不燃ゴミで溢れて大変なのです。直ぐに返却されてしまいました。
すると今度は、「そうだ、未来が駄目なら過去があるさ」の提案があり、なんと実行されてしまったのです。
江戸の街にはペットボトルが、ひとつ、ふたつと、ヒラ~リ、ヒラリ・・🍃🍃。
「これを拾ったのは俺らじゃねーか、べらぼうめ!」
「てやんでー、最初に見つけたから、あっしのもんだろが」
「おいおい、それは当藩の財宝なるぞ、控えおろう」
最初のうちはさあ大変! 物珍しさからの取り合いの喧嘩に始まり、遂には殿様への献上品として使われるまでになりました。
それも大量に降り注ぐとさすがに困りました。至る所、廃プラスチックだらけなんですから。江戸の街は処分を巡って大騒動になっていました。
「この街の全員に分け与えてはどうか」
「俺はもういいよ。入りきんねーからな」
しかし、そこは世界に誇るリサイクル都市『大江戸』です。転んでもタダでは起きません。「こんな貴重な資源は滅多にない」と、いつの日か再利用出来る日まで保管することにしたのです。
候補地はいろいろ挙がったものの、いかんせんこの国は狭く、とても長期保存に適した場所などありません。そこて砂漠の国と交渉し砂の下に埋めることになったのです。
あれからどれくらいの歳月が経ったでしょうか。今となっては砂漠の下に宝物が埋まっていようとは知る由もありません。
約2億年が過ぎたある日のことです。大昔に枯渇したはずの石油が某国の砂漠の下から発見されました。原油からは太古時代のゴミの化石が大量に出土し、世紀の大発見として巷の話題を独占していました。
《(折り紙で)ハエ》
|https://ameblo.jp/rohitigu/entry-12478047581.html
もし、お疑いなら、2億年後の新聞を御覧ください。でも、この時代の支配者が人間である保証はありませんが・・。
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【本文、冒頭から続く】
《リサイクルの罠(2)》
〈進展しないプラスチックゴミの国際協議〉
我が国のプラスチック(ペットボトル)リサイクル率は極めて高い。上表の通り80%を超える。欧米と比較しても突出している。でもどこまで真実だろうか。経済産業省のデータでは、65.7万tの販売に対して回収は44.5万tと、こちらも確かに高い。ならば自慢して良いかと思えばそうとも言えない。
リサイクルとは再利用して始めて成り立つ。しかし日本の場合は奥の手を駆使した数値でもある。燃料としての焼却のみならず海外移管(輸出)までカウントしているのだ。ことに中国には30.4万tも輸出していたというから驚く。これでもリサイクルなのだろうか。
❋〈回収44.5万t−輸出30.4万t=実数11.4万tも相当量は燃料として消える。では一体・・・〉
この(ペットボトルの)輸出にも大問題が生じている。既に、ニュースや新聞等で御覧になった方も多いと思うが(数年前から)中国は資源ゴミの全面的な輸入禁止に踏み切ったのだ。
(行き場を失った廃プラスチック製品)
「リサイクルにご協力を」の呼掛けに応じた分別も、実は行き先は中国で、それも輸入禁止になるとは・・。結局は再利用していなかったツケが回ってきたといえ、この先はどうなってしまうのだろうか。またポイ捨ての時代に戻らないことを願いたいものだが。
現在、こうした『ゴミ』は東南アジアの一部にも輸出されている。表向きはリサイクルだが内実は“廃棄物の処理委託”に他ならない。それも、かつての日本のように悪徳業者が介在し、山へ川へと不当投棄されている実態まで浮かび上がる。いすれ大海を漂流して日本列島に帰ってくるのだ。排出国への還流が究極のリサイクルなのか、これすら(リサイクル率に)カウントされているから、もう笑い話にもならない。