世界各地で難民が急増している。紛争だけではない。人種的偏見や宗教、思想の相違といった理由から迫害され国を追われるケースが後を絶たない。国連によると(2023年末時点で)故郷を追われた人の数は約 1億1730万人に達するという。これは我が国の総人口にも匹敵するのだ。平和な日本からすれば他人事かもしれない。だが、そうとも言えないところが恐ろしい。
〈世界に於ける難民の推移〉
難民とはいえ精神的肉体的迫害によるものばかりではない。生活面での孤立だって然りである。するとどうだ。考えて頂きたい。この国にはこうした難民が如何に多いことか。地方だけでなく大都市にまで及んでいるのだ。
〈一極集中の首都圏にも百貨店撤退の動きが〉

最近、大きく取り上げられるものに『買い物難民』がある。少子化に伴う人口減少は目を覆うばかり。最早、地方では商売が出来ない。百貨店の空白地は県庁所在地にも及び、スーパーの撤退までが相次いでいる。シャッターに覆われた商店街はゴーストタウンと化してしまった。東京23区だって例外ではない。それも高齢化率の高い地域ほど深刻な状況にある。ネット通販とて、配送の深刻な担い手不足もあって、いつまて機能するやら。
医療の分野だって同じだ。病院の撤退は地方から都市部へと拡大。深刻な医師不足にある地域ならともかく、あくまで採算面を考慮しての結果というから、もう堪ったものではない。全国津々浦々が“無医村”になり『医療難民』で溢れてしまうのだ。原因は(国の)財源難にあるとはいえ、これでは福祉国家としての体をなさない。倍増する防衛費と大幅削減を余儀なくされる福祉関連予算との乖離。国防が国民の生命を守ることにあるなら、どこか矛盾しているのではなかろうか。
介護への影響も計り知れない。急増する高齢者と減る一方の介護士にあって、その対価たるや驚くべき額でしかない。市場の原理からも大きく逸脱してしまっているのだ。過酷な労働と、それに見合わない報酬が暗示する未来。施設によっては今現在でさえ(入所まで)5年から10年待ちの状態にあるなのに、これでは終生入れない。いずれこの国は彷徨える『介護難民』で一杯になってしまうだろう。
〈JR各社の大幅赤字路線〉

そして行き着くところが『交通難民』である。他の市町村に頼ろうにも足がない。肝心要の公共交通までが路線廃止ではもうどうにもならない。買い物はできない。病院にも行けない。送迎付きのデイサービスはあるものの、これとて介護士(運転手)不在では、いつまで続けられるやら。
まだまだある。産科の減少で生じる『出産難民』に保育士不足からの『子育て難民』、統廃合で学校にすら通えない『教育難民』、そして高齢化社会に反して著しく足りない斎場に起因した『法事難民』など、その数は枚挙にいとまがない。この先、子供は産めない、いても育てられない。これでは『揺り籠から墓場まで』どころではない。出産は海外で、葬儀も海外で、までが定着してゆく。一時凌ぎではない。『完全移住』であり、これぞ『難民』そのものなのである。
〈息子に背負われ姥捨て山へと向かう老婆〉
高齢者にとっては多難の極みであろう。それも単身者が多数を占める以上、何も出来ない。足(交通機関)がないだけではない。体の自由もきかなきなっている。背負ってくれる者がいなければ姥捨て山にさえ辿り着けないのだ。しかも創り話でないところが恐ろしい。そう、そこの貴方にも必ず降り掛かる問題なのだから。
□□■■□□■■□□■■□□
《おまけ》
〈頭の体操〉
『6×6=18』で、これは正解です。どうしてでしょうか。
因みに、小学生の正解率は90%、大人の正解率は10%未満だそうです。童心に帰(逆)って考えて見てください。