梅雨明け十日というが、どうもおかしい。連日の雷雨もあって、どこもかしこも梅雨末期の様相である。とりわけ梅雨の明けない東北地方は深刻で、この25日には山形県から秋田県にかけて一時、大雨特別警報までが発令されている。31日には東京都から埼玉県南部にかけて集中豪雨による水害が発生。唯一の救いは、この時期に接近して大きな被害を齎して来た台風が、まだないといったことだろうか。だが安心は出来ない。こうした年に限って大型台風に襲われているからだ。


 この季節、怖いのは台風や水害だけではない。地震だって然り。先日、地震は八月に少ないと書いたが、それも夏全体(6月から9月)で見るとそうでもない。日本だけでなく、アジア極東(中国や韓国)を含めても一国の歴史を揺るがすような大地震は、この時期に発生している。

〈1923年9月1日発生の関東大震災〉
(画面はwikiより)

 日本の場合は言うまでもない。大恐慌のみならず世界大戦にも影響したとされる関東大震災は9月1日である。東京湾を震源に発生し、今なら未曾有の大惨事に至るであろう明治東京地震は6月20日のことであった。古くは息災を祈願して改元に至った例まであるから恐ろしい。

〈河北省の工業都市を壊滅させた唐山地震〉
(画像はネットから借用)

 中国なら唐山地震だろうか。1976年7月28日、河北省の唐山を震源に発生したM7.8の大地震は犠牲者24万人(中国発表)とも65万人(米国地質調査所推計)ともいわれ、中国有数の鉱工業都市を壊滅させた。関東大震災の死者行方不明は10万5,千人であったことから、その被害規模たるや尋常ではない。社会の混乱著しく経済活動にも深刻な影響を及ぼしている。

 政変もあった。同年9月に毛沢東が死去したことだ。因果関係は不明ながら、それまで培ってきた実践論とも決別。同じく10月には文化大革命が終焉するなど中国近代史に於ける20世紀最大の変革期でもあった。

〈2001年以降、韓国で発生した地震/M2.9以上〉
(画像はネットから借用)

 韓国だって例外ではない。朝鮮半島に大地震は無縁かと思いきや、そうでもない。1681年6月26日には韓国の東海岸をM7.5の大地震が襲った。江原道地震と称され韓国では稀な津波まで引き起こしている。被害も甚大で犠牲者は数万人に達した。詳細は不明ながら、元より地震の少ない場所だけに、その混乱は想像を絶するものではなかったろうか。

〈韓国内に立地する原子力発電所)
(画像はネットから借用)

 もう一つ。当時と違って原発が立地していることも忘れてはならない。韓国だけでも25基が稼働する。2001年以降の地震と重ね合わせて頂きたい。日本列島ほどではないものの、その多くが地震と背中合わせにあるのだ。この地球には未知の活断層が無数に存在する。ノーマークの原発も世界中にあるということか。

 歴史は繰り返すというが、そこには気象や地象、自然界の異変までが深く関わっているから不思議だ。コロナ騒動は落ち着いたとはいえ、アジア極東は政治的にも軍事的にも不安定極まりない状況にある。天候不純の年に限って地震が多い。政変や戦乱も多い。鳴動を起点に予期せぬ事態を招いている様子が見て取れる。現在、パリでは夏季五輪が開催中だが、1789年のフランス革命も、火山噴火やそれに伴う異常気象に起因したとする説が有力視されている。やはり『天変地異』と『動乱』は表裏一体にあるのだろうか。

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《余談》

『開幕したパリ五輪の裏で』

〈セーヌ川を船で入場する日本選手団〉
(画像はネット毎日新聞から借用)

 開幕から1週間が経過したパリ五輪。だがどこか暗い雰囲気に覆われているのは何故だろう。期待された種目に敗退が相次いでいるからだろうか。でもそれだけではあるまい。ゴタゴタ続きの協会と、それに伴う内紛にあるのではなかろうか。何せ予算がない。あっても選手まで行き渡らない。大手のスポンサーでも探さない限りは練習費用さえ自らの手で稼がねばならない。それが無理なら借金するしかないのだ。これでどうして戦えようか。

 東京大会から3年。分配金の大幅削減もあって競技によっては強化のメドすら立たない。とりわけ深刻なのは競泳陣であろう。水泳ニッポンと持て囃されたのも今は昔。戦後来、毎年(何れかの種目で)着々と更新してきた日本記録も、この一年は完全に途絶えている。世界記録を連発する海外勢との差は開くばかりだ。聞けば、ここでもゴタゴタが絶えないとのこと。文科省と協会、協会に所属先と、その溝は深まる一方にあるらしい。一番の被害者は選手個人なのに。こうした渦中にあっても自己記録で400m個人メドレーの銀メダルに輝いた松下知之の頑張りには拍手を送りたいものだが。

 同じく『○○ニッポン』と目されて久しい体操競技にも魔の手が忍び寄っている。スキャンダルのことだ。エースでもある宮田笙子(19)に喫煙と飲酒疑惑が発覚。未成年だけに救いようがなかったのだろう。しかもその影響は女子陣だけに留まらない。彼女は順天堂大学の学生である。男子の橋本大輝は3学年上であり、萱和磨と谷川航も同大OBなのだ。即ち、男子体操陣5人の内、3人が同大出身というこになる。練習環境が同じなら打ち上げでの食事会などが一緒だったことは十分に推察できる。ならば週刊誌がまた余計な詮索をしてくるかも知れない。中国の失敗に救われたとはいえ、こうした中での団体金メダルなのだから大快挙でもある。心理的負担も含めて想像を絶する戦いであったろうに。

 因みに、こうした喫煙や飲酒には、いつから厳格になったのだろう。一昔前なら警察学校であれ当たり前の光景だった。(一定の基準値内なら)酒気帯び運転でさえ「気を付けてお帰り下さい」だけで無罪放免されていた。法治国家としては誇れるものの、どこか腑に落ちないの愚生だけだろうか。こうした行為では、ダルビッシュ(日ハム)や今井達也(西武)も謹慎処分を受けていることから当然の報いとはいえ、ちょっと可哀想な気がしないでもない。もし、これが巨人軍の選手、いや永田町の住人ならどうなっていたやら・・うーん🤔??