20xx年、高齢化社会もピークに差し掛かり、我が国の司法制度は崩壊の危機に直面していた。

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 裁判長 「判決を申し渡す。被告人を懲役3年に処する。但し、この日から5年間は執行を猶予する」

 被告 「裁判長さま、そりゃーあんまりだわ。オラには金もなければ住むところもねえだ。務所に入れなければ野垂れ死にしてしまうだよ」

 弁護士 「この判決は被告人の人権を甚だしく無視しており承服できない。禁固刑を勝ち取るまでは上告して断固戦うことになるだろう」

 傍聴席「・・・・・🤣」

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 豊かな国ニッポン、世界一安全な国ニッポンも今は昔。今年の犯罪白書(11月発売予定)を待つまでもなく、貧しさは犯罪の目的までをも変えようとしている。少子高齢化による衰退著しい中、この国は一体、何処へ向かうのだろうか。以下は、旧年の白書に基づいていることから、最新版に示される数字とは異なりますこと御容赦下さい。

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 平成13年から増加していた刑法犯の検挙数は、16年の38万9,297人をピークに減少に転じ,令和元年には19万2,607人(前年比1万3,487人=6.5%減)と戦後初めて20万人を下回った。

〈高齢者犯罪(検挙人数)の推移〉
(警察庁データより)

 こうした中、65歳以上の高齢者だけは別格で、平成2年の2.2%(6,344人)から令和元年には22.0%(4万2,463人)まで急伸し、高齢者の犯罪だけが際立ってきている。数で6倍、率では10倍にもなっているのだ。しかも、約7割が入所2度目以上であることから、刑務所はもう『更正の館』でなく『老人介護施設』になりつつある実態だけが浮かび上がる。

〈外国人犯罪の実態〉
(警察庁データより)

 一方、少年犯罪、外国人の犯罪はどうか。マスコミがこぞって取り上げるため、なにかと誤認するが、こちらは増えていない。ことに外国人はそうだ。犯罪率では日本人より低い。急増する在留外国人にあって安全神話に浸る日本人よりも遥かに健全なのだ。「外国人は危険」「犯罪の温床になる」、こうした偏見を除去しない限り、この社会は日本人の、それも高齢者による犯罪天国になってしまうだろう。

《参考》

〈来日外国人の国別検挙件数〉
(警察庁データより)

【先日、北関東の山あいにある一軒家だけを狙った連続強盗事件で、ベトナム人の二人が逮捕された。マスコミにも大きく取り上げられたことからご存知の方も多いと思う。そしてまた「外国人は危険」を助長する結果になったのはいうまでもない。確かに憂慮すべき事態ではあろう。でも考えて欲しい。現在、520,154人が在留するベトナム人の年間の検挙者数は1908人で、その比率は0.36%。一方、日本国全体では約70万人が検挙されており、全人口に占める割合も0.58%と日本人の方が遥かに高いのだ。これは流入の多い其々の国を見ても変わらない。ならば、犯罪の温床は外国人よりも日本人であり、それも高齢者ということになるが、はて??】

〈高齢者人口の推移〉


(総務省統計局データより)

 高齢化社会とはいえ、こうした背景には何があるのだろうか。1997年の高齢者(65才以上)人口は1976万人だった。現在(2023年9月15日で)は3623万人である。この間、高齢者は約1.8倍なのに対して、高齢者の犯罪件数は6倍(比率で10倍)にもなっており、それも益々凶悪化する傾向にある。そう、犯罪に関する限り、組織亡力団『老人会・天寿組』の一人勝ちなのだ。

 老後は我が子に頼れない。老々世帯が過半数に迫る。何より身寄りのない単身高齢者で溢れる我が国の歪んだ社会事情。老人ホームは、今でも入所まで3年から5年を要するのに、やがては10年から15年待ちが常態化する。これでは存命中に入れない。即入所可は、いずれも高額な有料施設ばかりだ。10年利用なら億単位の出費を覚悟せねばならない。そんな金はどこにもない。さあどうしよう。

 高齢者とはいえ万引きといった軽犯罪だけではない。窃盗や謀殺のみならず、架空投資話に加えて結婚詐欺までが増加の一途にある。現に大量殺戮の首謀者も高齢者に多い。銀行強盗だって(覆面を)開けてビックリ、80代がいる時代だ。老々介護の果てに、を含め、晩年を悲観した覚悟の上の蛮行も多いのではなかろうか。

 アベノミクスやキシダノミクスの恩恵も底辺までは行き渡らず貧富の差は開く一方にある。非正規社員だけが増え、ついに全体の40%を超えた。平均年収たるや180万円にも満たない。どん底の生活では貯金なんて夢また夢の悲しい現実。老後はどなってしまうのだ。

 半世紀前の定年退職者でさえ晩年(1980年代)は、80から90代にして(満額なら)月30万円近い恩給や年金も珍しくなかった。それが今では20万円前後でしかない。国民年金なら全納でさえ月6万5千円にしかならない。生活保護を申請しようにも、家屋がある、年金受給者に資格はない、といった理由から却下されてしまう。生きては行けない。

 刑務所では高齢入所者が急増する。受刑者の高齢化も進む。老々介護の果てに、やむにやまれぬ犯罪も増加の一途にある。最近では90才を過ぎての逮捕さえ珍しくない。収監されたまま老後、そして最期を迎える。新たに高齢者が収監される。刑務官は介護に追われる。これでは看守は『介護守』に名を変えねばならない。

 体が動く間はいい。古典に倣い「食い逃げでもしよう」がある。だが不自由になればこうはいかない。ならば奥の手はひとつだ。

「そうだ、今の内に刑務所に入ろう。あそこなら、衣食住のみならず、タダで手厚い介護が受けられるぞ」

 なんて輩が増えるのではないか。いや、この数年の急増ぶりからして、既に服役狙いの犯罪が横行しているのかも知れない。

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《そして🐖○○まで満員御礼に》


「えっ、豚箱が満員御礼だって!?」

「これって、トンだ迷惑だわな」

「・・・・😩」