◇来ても逃げ出すニッポン事情◇


 総務省が4月12日に公表した2023年10月1日現在の人口推計によると、外国人を含む総人口は1億2435万2千人。前年同月比では59万5千人の減少だった。日本人に限れば、83万7千人減の1億2119万3千人と、コロナ禍をも大きく凌ぐ危機的な氷解ぶりである。これは一年で佐賀県や山梨県が消滅するのに等しい。しかもこれでは収まらない。益々、拡大する傾向にある。労働力は足りない。だからといって外国人は来ない。これでこの国に未来はあるのだろうか。


〈労働力の争奪戦を伝える記事〉

〈日経紙より〉

 少子化から労働力不足にあるのは日本だけではない。韓国や中国でも同じだ。少子化でなくとも成長著しいASIAN諸国だって足りない。欧米では移民の激減で生産活動にも大きな影響が出始めている。人材の奪い合いは激しくなるばかり。こうした中、韓国では移民庁の設置を急ぐ。未曾有の少子化を移民の拡大で乗り切ろうというのだ。これは韓国だけではない。長年、労働力の供給源だった国々までが、その獲得競争に参戦する動きにある。


〈外国人就労の受け入れ実態〉
〈画像はネットから借用〉

(所得水準で日本を上回る韓国や中国からはもう来ない。高度成長に湧くタイも同じだ。そしてベトナムといった国々が後に続く。バングラデシュやジンバブエだって然り。好き好んで稼げない国に来る道理はない。日本より豊かな国はいくらでもあるのだから)


 一方、この日本はどうか。相も変わらず能天気である。各国の焦りを余所に『AIが救う』一辺倒なのだ。これでどうして乗り切れようか。人手不足のピークは今現在なのに。外国人は来ない。日本人は出て行くばかり。しかもこのところの円安が拍車をかける。外国人の流入に批判的な評論家諸氏も、それ以上に深刻な日本人の流出には触れようともしない。やはり、こうした面々は多く高齢者であり、十年後、二十年後にはいない。だから無責任なことが言えるとすれば、それこそ老害であろうに。


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 数年前、技能実習生の名の下、不足する農業従事者を補うべく多くの若者が東南アジアからやってきた。契約上は週40時間働いて月額報酬は約25万円(年収300万円)である。製造現場よりはやや低いものの、母国では農家の子息が多いだけに、すぐ溶け込めると思ったのだろう。だが現実は厳しいもの。想像とはかけ離れたものだった。

 朝から晩まで、場合によっては深夜まて働かされ、休みなど一切ない。日本の農業形態からすれば時としてやむを得ない日常とはいえ、あまりにも約束とは違う。週40時間どころではない。時間無制限の農作業に追われた挙げ句に問題はその対価だ。実習生である以上、授業料ぐらいは貰って当然と思われたのだろう。なんと、報酬はびた一文支払われないどころか、家賃や食事代を名目に月3万円を請求されたという。

 古来より日本の農業は、親、子、孫、そして嫁と、総力戦で支えられてきた。勿論、報酬なんてある由もない。食わして貰う以上“タダ働き”が基本である。農閑期は、出稼ぎあり、内職ありと、其々の収入が生活の支えであった。たが外国人は違う。家族でもない。あくまで就労なのだ。一部の出来ごととはいえ、これでどうして耐えられようか。

 外国人に期待するのは大規模経営の農場だけではない。代々続く農家でも同じだ。しかも農業従事者の枯渇著しく平均年齢は間もなく70歳に達する。そして80、90(歳)と高齢化してゆく。こうした農家ほど必要とするが如何せんヒトなど雇ったことはない。自分自身が勤めた経験すらない。だから外国人とはいえ都合の良い農機具であり、農耕馬や牛の代用品でしかなかったのだろう。これじゃ身が持たない。逃げ出して当然といったところか。

 かつてのTVドラマ(下町ロケット)に無人トラクターやバインダーが活躍するシーンがあった。操作は80歳を超えた老父の手に委ねられた。AIは本当に役に立つ。でも、80から90、場合によっては百歳になって、どれだけ使いこなせるだろうか。遠隔操作にせよ“若者”の介在なくして機能しないのだ。だからといって、こうした業務に外国人を採用したケースをあまり聞かない。アジアは経済成長著しい。ITの分野でも世界を牽引しているのに。このままなら誰もいなくなってしまうのではなかろうか。

(外国人就労の国際比較)


 (報道はされないものの、日本は今、低賃金と劣悪な労働環境から働きたくない国のひとつになりつつある)

 一方、外国人を最も必要とするのは製造の分野だ。悪辣な派遣業者を除き、直接雇用なら、それほどの心配はあるまい。組合の監視下にあるなら尚のことだ。給与も最低限の水準は保たれるだろう。だが彼(女)らとて正社員ではない。不足を補うだけの“季節工”であり“助っ人”に過ぎない。景気次第では真っ先に切られてしまう運命にあるのだ。

 この先、米中貿易戦争、不安定な中東情勢、そして主要各国にも極右政権誕生の兆しが漂う。株価暴落だっていつあるかも知れない。少子高齢化に伴う労働力不足を移民で補うにも希望者がいての話だ。就労となると尚厳しい。繁栄する母国を捨ててまでどれだけが来日するだろうか。今や日本人の出稼ぎが社会問題化する時代なのだ。それも若い女性の売春までが増加の一途というから驚く。人口減少の社会にあって流入よりも流出が懸念されるニッポンの実情。日出る国の面影は日一日と遠のいてゆく。

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《桜が散ったら○○○に注意》


(豊後水道で強い地震)

(画像はYahoo地震情報から借用)

〈補足/前回記事から〉
 例年のこと桜の季節に大地震はない。桜吹雪の終わりを見計らう如くに動き出し、そして北上する傾向にある。ならば、この先(数週間)は、東日本でも要注意かも知れない。念の為・・。