《満開の桜の裏で》
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《一部、過去記事と重複》
働き方改革が大きな節目を迎えた。いわゆる2024年問題である。我が国は今、深刻な少子高齢化もあって人手不足による過重労働は目を覆うばかりにある。ことに運輸業界はそうだ。疲労は健康被害だけではない。事故の危険性まで増幅する。そこで、トラックドライバーの時間外労働を年間960時間に規制しようというのだ。表向きは素晴らしい。でもこれですべて解決なのだろうか。
安堵する者は多いだろう。だが、その逆もまた多い。残業代が減ることで、住宅ローン、子供の教育費といった家計に大きな狂いが生じることだ。そもそも、こうした業界は転職組が多い。それも我が国を代表する職場でエリートだった者までが多数在籍する。理由は他でもない。これまでの収入を維持出来る数少ない職種だからだ。それがどうだ。残業代が稼げないなら悲惨以外の何ものでもない。結果、生え抜きのみならず、こうした転職組まで次々と辞めてしまうのではなかろうか。
運輸だけではない。これは、サービスや製造業にも適用される。医療や介護の分野とて例外ではない。残業が減ること自体は大歓迎であろう。だが収入も減るのだ。一部、賃上げで補う向きはあるものの、これとて少数派に過ぎない。結果として生活は苦しくなるばかり。何より、最も影響を受けるのは顧客であり、そう国民なのだ。
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【過去記事/働く者と働き者の違い】
https://ameblo.jp/rohitigu/entry-12705454688.html
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そもそも、この国は本当に働き過ぎなのだろうか。『働く者』と『働き者』を履き違えてはいないだろうか。仕事とは成果を上げて意義あるもの。バブルや高度成長期の定説「日本人は良く働く」も、その多くが上司や周囲の顔色を伺った『居残り残業』であり、お世辞にも『働き者』ではなかったと思うのは愚生だけたろうか。
《主要各国の労働時間を見比べて頂きたい》
〈OECD加盟国のみ/2015年〉
(01)メキシコ、2246(時間)
(02)韓国、2113
(03)ギリシャ、2042
(04)チリ、1988
(05)ロシア、1978
(06)トルコ、1832
(07)米国、1779
(08)イタリア、1725
(09)日本、1719
(10)カナダ、1691
(11)スペイン、1676
(12)英国、1674
(13)オーストラリア、1665
(14)フランス、1482
(15)ドイツ、1371
(ランキングはフォーブスより)
このように『働き過ぎ?』は日本人の専売特許ではない。それどころか誰もが怠け者(失礼!)のとして信じて疑わない『ラテン民族』にも劣る我が国の勤務実態。サッカー界の至宝、ジーコがブラジルからやって来た折、「日本人は働かない/練習をしない」「ふりだけは一人前なのだが」と嘆いていたのを思い出す。失われた30年も、この『働く者』を『働き者=働き過ぎ』と勘違いした結果とするなら実に悲しい。
因みに、働き方改革が必要なのは、サービスや運輸、医療に福祉といった業界だけではない。最も過酷な職種を忘れてはならない。警察や消防といった公僕のことだ。少子高齢化はこうした分野をも直撃する。減り続ける人口にあって高齢者だけが増え続ける歪んだ社会構造。僅かな署(隊)員で、より多くの市民を支えねばならないのだ。いずれ、こうした職場も(働き方改革を)余儀なくされるだろう。すると・・ 。
「はい、11○番です。事件ですか、事故ですか」
「・・・・・・・・」
「只今、残業規制中につき出動できません。改めて明日9時以降にお掛け直し下さい」
「✧\(>o<)ノ✧」
なーんてことにも。
これは笑い話ではない。あと数年で出生数50万人割れが現実味を帯びる。こうした世代が成人を迎える頃、人手不足は絶望的な水準に達する。警察や消防だけは外国人に頼れないのだ。有識者の御託「AIが解決する」も夢のまた夢でしかない。如何に科学立国とはいえ、ロボコップの登場には、まだかなりの時間を要する。人手不足のピークは今現在だというのに。
解せないのは時期だ。政府は、この未曾有の人手不足にあって、どうして働き方改革(残業規制)なのだろう。これじゃ、大規模災害で怪我人殺到の最中、医療関係者の残業を禁止するようなものだ。永田町からすれば、人気取りであり選挙対策の一環なのだろうが、お上の気まぐれで振り回される国民は堪ったものではない。労働力は足りない。かといってこの薄給では外国人も来ない。やはり少子化(人口減少)を是正しない限りは何も解決しない。2024年問題が散別の始まりでなければ良いのだが。
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《そして猿の惑星へ》
「何せ『去るもの(猿者)は追わず』の社会ですからな。我々が負ける道理はありませんぞ」
「・・・・😩」