《クモ(雲)の糸(意図)》


 あるところに、それはそれは険しい峠道がありました。ここを通らなければ隣村に行くこともできません。麓にあるのは一軒の小さな店だけでした。そこには権兵衛という、いかにも意地悪そうな商人が住んでいました。


 ある晴れた暑い日のことです。道に迷ったコウモリの子供がやってきて、こう言いました。

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 (コウモリ)


 (バットマンだけあって得意はナイター)

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「おじさん、おじさん、ここで少しだけ休ませて下さいな。コウモリは目が見えないので危険の多い日中は飛ぶことが出来ないのです」

 権兵衛は嫌な顔をして、こう答えました。

「ダメダメ、ここは一休みする処じゃないよ」

『・・・・・😤』

 今度は、年老いて腰の曲がったペンギンがやってきて、こう尋ねました。

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 〈老いたペンギン〉

 (オラの故郷は水族館・・)

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「ワシも大昔は空を飛ぶ鳥だったんじゃが、この通り退化してしまってのう。この体じゃとても峠は越えられん。どうか杖になるものを一本貸して下さらんか」

 またまた権兵衛は嫌な顔をして答えました。

「なに、貸してくれだと! そんなのダメダメ、欲しけりゃちゃんと買いなよ」

 この裏手は広大な竹藪なのです。杖代りなどいくらでもあるのですが、それでも助けてあげようなんて気持ちはさらさらありません。老ペンギンは疲れ果てて、もう歩くことすら困難になっていました。

〈ヤタガラス〉

(ん!? 足は三本ないとおかしいって)

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 その時でした。見るに見かねたのでしょうか。天空に社を構えるヤタガラスの神が蜘蛛に姿を変え、その糸を伝って降りてきたのです。

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 (○○蜘蛛)


 (短~い足は〇〇クモ)

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 ヤタガラスの神は権兵衛の頭に手をかざして、こう言いました。

 「ごんごん権兵衛、ごーつく権兵衛、お前には邪悪な狐が取り憑いでおるぞ。このワシが取り払ってしんぜよう」

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 (キツネ)

(強欲で金太り?のキツネ)

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 するとどうでしょう。邪気が取り除かれるや否や権兵衛の目と手足は瞬く間に不自由になってしまったではありませんか。

 さらに神様は尋ねました。

 「お前が欲しいものは自由な身体か、それとも沢山の金か」

 権兵衛は、なんのためらいもなく、「この世に金に勝るものなど有るものかね」と答えました。

 その言葉を聞くなり、神様は山のような沢山のお金を商人に渡し、コウモリと年老いたペンギンを連れて去ってゆきました。

 権兵衛は大喜びでした。家の中が沢山のお金で溢れんばかりになりました。それはそれは嬉しくてなりません。しかし、それもいつしか虚しさに変わりました。なぜなら、身体が不自由になって初めて、この世にはお金より大切なものがあることを知ったからです。

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 (湯西川温泉)

イメージ 3

 (平家の里/本文とは関係ありません)

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 しばらくして権兵衛は、クモの糸(神様)に導かれたお金を元手に温泉を掘り、旅人や恵まれない人々の癒しためにとタダで解放しました。この温泉のお陰で権兵衛の身体もすっかり治り、今では悩める者の良き理解者として、多くの人々から慕われているそうです。

==おわり===

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 (オールスターキャスト)


 「おーい、カラスはどこだ」

 「今日は生ゴミの日で忙しいんでないかい」

 「・・・カァ~🦅」

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《余談》

【株価狂騒曲再び】

 史上最高値を更新した東証の平均株価。これでやっと『失われた35年』に終止符を打ったことになる。だが喜んでばかりはいられない。この間、各国の株価は大きく上昇し、米国だけでも14倍に膨らんでいる。まだ戻っただけに過ぎないのだ。ジャパン・アズ・ナンバーワンの時代からOECD加盟国の中でも最下位争いに転落した日本経済。果たして復権の足掛かりになるのだろうか。だが、こうした心配も。

  〈平均株価の推移〉
 (画像はネットから借用)

〈株価暴落では、こうした光景も〉
(新宿の都庁通りに溢れたダンボールハウス)

*〈都庁通りは、国会議事堂を中心に配置された永田町や霞が関と同様、我が国の顔でもある。それだけ各国の要人も多数訪れる。彼(女)らから見てこうした光景はどう映っただろうか。言わば、バッキンガム宮殿や凱旋門、ホワイトハウスの周辺が段ボールハウスで埋め尽くされたようなものなのだから〉

 過去の最高値は1989年12月29日に付けた3万8915円87銭である。しかもこの後が怖い。バブル崩壊の余波著しく、瞬く間に2万円、そして1万円台と急降下しているのだ。その後、リーマンショックもあって(2008年10月28日には)6994円まで暴落したのは記憶に新しい。現在、中国経済に忍び寄るバブル崩壊の影。チャイナマネーが焦げ付いたらどうなることやら。当時の日本とは影響力がまるで違う。見せ掛けのダウ平均に踊らされ、なけなしの金を注ぎ込んで大やけどを負うことはないのだろうか。何せ、前回(1990年代)は都庁通りですら、あの有り様だったのに・・