《嬉しいのは現金、それとも…》
最近の子供は良く知っている。現金だと親に管理されなかなか使えるものではない。強制的な没収さえある。主に子供貯金だが、いくら将来のためとはいえ、これでは面白くない。そこで登場するのが電子マネー(での送金)である。これなら親に知れることもない。自由に使える。でも、お年玉って、平均すればどれくらい貰っているのだろうか。
社会学者、エズラ・ヴォーゲルの著書、ジャパン・アズ・ナンバーワン(1979年)から45年。日本も豊かになった、と言われて久しい。でもそうだろうか。四半世紀を超える景気低迷で個人所得は激減。年収180万円がやっとの非正規就労が全体の約40%を占め、その影響は子供達に及んでいる。今や日本は、OECD加盟国の中で、1,2位を争う貧困大国でもあるのだ。
(子供の貧困2018)
クリスマス商戦の売れ筋ランキングを番付にすると、3万円を超えるゲーム機が東の横綱、100Yenショップの品々が西の大関になるという。翌日、サンタクロースのプレゼントを見せ合って、任天堂とダイソーなら、子供達はどう思うだろう。仲良くなるか、苛められるか、その先はいうまでもない。
では、お年玉ならどうだろう。かつて話題になった鳩山元総理の(子供手当て)10億円や、巨人軍・原監督のお坊っちゃまへの小遣い800万円は別格にせよ、その差は開くばかりだ。しかも株高を反映して好景気を謳っていた近年(2015~2019)でさえ平均支出額は減少している。コロナの禍中(2020〜2023)なら推して知るべしであろうに。
(お年玉、平均支出額推移)
貰う側なら尚のことだ。下表の通り、小学生未満は1,000円以下、小学校低学年は1,001~3,000円、小学校高学年は3,001~5,000円、中学生以上は5,001~10,000円がボリュームゾーンとなっているが、注目すべきは最少ラインにある。
(年代別、子供のお年玉額)
中学年以上(高校と大学含む)で、1000円未満が6%、1001円から3000円なら約15%だ。これは子供の貧困率(2015年現在で、15.7%)とも一致する。当然のことゼロもある。教育方針上、一切出さない家庭もあるだろう。しかし、年々目減りしていることからも、こうした貧困社会を象徴しているのではなかろうか。
(生涯未婚率の推移)
今の若者は車も持てない、結婚さえ出来ない、本当に情けない、と嘆く前に、一体誰がこんな世の中にしてしまったのか。リーマンショックでは倒産が相次ぎ、失業で溢れたが、その後の受け皿が非正規(派遣)就労だけになっていた悲しき現実。彼(女)らは今、30から40、そして50代に差し掛かっている。手取り月収は約10万円。例え、甥っ子や姪っ子がいたにせよ、これでどうして『お年玉』など渡せようか。
ロシアのウクライナ侵攻に端を発した経済情勢は、やや落ち着きを取り戻したものの、まだ予断を許さない。中東での紛争のみならず世界的な社会不安もあって国際情勢は混迷を増すばかり。これに地球規模での自然災害でもあればもう収拾はつかなくなってしまう。1929年の大恐慌に匹敵する未曾有の危機に晒される可能性だってあるのだ。企業倒産が相次ぎ不動産の投げ売りが始まる。仕事はない。失業保険も年金も当てにはならない。そして最も影響を受けるのが子供達だ。たかがお年玉も、されどお年玉・・。子供の貧困が日本の未来図でもあるから恐ろしい。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
《おまけ》
『落とし玉??』
「お年玉って、こういうことかいな?」
「ゾウ〜😰」







