(1)宝くじ哀話
年末、懐具合が淋しくなるにつれ縋るものがある。神頼みではない。宝くじのことだ。でも当選して豊かになったという話をあまり聞かない。高額であればあるほどその後日談は虚しいものばかり。浪費による金銭麻痺もあるだろう。使い切った途端に自己破産なんてことにも。だがそれだけではない。実態は、『好事魔多し』、いや『一攫千金は呪いの始まり』なのではなかろうか。
〈タ・カラくじも使途を誤ると・・〉
かつてこんな話があった。ある日、田舎に住む爺様が偶然買った年末ジャンボで当選する。それも億単位の高額である。女房は既に亡くしている。とても使い切れる額ではない。こうした場合、我が子、そして孫の顔が思い浮かぶものらしい。それも喜色満面を連想して。ならば、当然のこと、「そうだ分け与えよう」となる。だがそうは問屋がおろさないもの。
高額当選を知った以上、子や孫だって、その心情たるや尋常ではない。誰しも自分が一番多く貰えるものと信じて疑わない。身近で関わるなら特にそうだ。狸の皮算用は膨らむばかり。
あげる側としては堪ったものではない。合算すれば当選金額を大きく超えてしまうのだ。落とし所は均等な分配であるが、これがなかなか難しい。『自分が一番』を期待する者からすれば耐え難い屈辱でしかない。バトルロワイヤルが始まる。結果、均等で落ち着くものの、これで一件落着にはならないから恐ろしい。
何れもが相続権者である。だから有難味などまるでない。当然の権利としと感謝することもない。それより自分の取り分が一番でなかったことを根に持ち不満だけが募ってゆく。
その後、あの高額当選者はどうなっただろうか。宝くじで夢見る『バラ色の人生』もどこへやら。嫌われっぷり著しく誰一人として寄り付かなくなっていたことから孤独な生涯で終えたことは言うまでもない。それも(共同購入が認められず)贈与税として全財産を没収されたままに、、トホホ!!
(2)お歳暮今昔物語り
また、その昔には、こうしたことも。年末は贈答のシーズン。とりわけ『お歳暮』は年間売り上げでも群を抜くビッグイベントである。
❋縮小する内需にあって安定した売り上げを維持するギフト市場。ことに年末はウェイトが高い。
あるところに郷土を代表する名士が住んでいた。当然のこと付け届けだって桁違いに多い。とくに年末はそうだ。感謝の気持ちか、それともお溢れにあずかりたいだけなのかはともかく、朝から晩まで配達車が横付けされてゆく。
ある時、その御仁が入院した。検査の結果、重度の糖尿病であることが判明する。飽食の反動だろうか。裕福な家系だけに食事の豪華さだって半端ではない。治療は長期に及んだ。それでも恒例の行事(中元歳暮)だけは途絶えることなく続いた。
問題は何を贈るかである。病気が病気だけに迂闊なものは許されない。試行錯誤の末、ある物に辿り着く。なんと「糖尿病になるくらいだから、きっと甘い物が大好きなんだろう」と考えたのだ。こうしたこともあって贈答品は甘味だらけになった。もう食べられたものではない。そこで新たな御触れが出されることになる。
それも、「今後『甘味は厳禁』、どうしても贈りたいならそれは『現金に限る』」としたからさあ大変。金・金・金の世の中で肥えるのは甘い汁を吸うかの妖怪ばかりなのだ。その後、永田町に移り住んだものの、こうした習慣だけは二世、三世、四世へと受け継がれているなんて、さすがに御大臣の家系はやることが違う。これで益々繁栄すること間違いなしなのだから。先ずは、メデタシ、メデタシといったところか。ん??😱
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《おまけ》
【年末雑景】
〈宇都宮ベルモール〉
〈アルパカの嘆き〉
クロ「人間はええなー、単純で・・」
クロ「オイラ、チカチカして一睡も出きねーだ」
シロ「だから貴方って、イルミ焼けで真っ黒なのね」
クロ「ギクッ!!🌚」
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今年も大変お世話になりまして有り難うございます
暖冬とはいえ、まだまだ寒い日が続きそうです。皆様には、くれぐれも御自愛の上、どうか良い年をお迎え下さいますよう。
来る年も宜しくお願い申し上げます。