少子高齢化で衰退するばかりにある日本の実情。混迷する国際情勢の中、政府は防衛予算の倍増に舵を切ったものの、それを維持する隊員不足は如何ともし難い。警察や消防はもっと足りない。介護や看護、それに民間企業とは置かれた立場がまるで違う。これらの分野だけは「即・外人部隊(移民)で・・」という訳にもいかないのだ。こうした中、刻一刻と忍び寄る国家存亡の危機。

(国立社会保障人口問題研究所より)

✻こうした予測も“改善”を前提にしたものであり、ここ数年の激減ぶりは、あと90年(未満)での国家消滅を暗示している。

 今や日本は先進国ではない。ことに賃金水準はそうだ。しかも最近の円安が追い打ちを掛ける。外国人(就労)は来ない。既住者とて安泰ではない。薄給に見切りを付け帰国を急ぐ。それだけではない。日本人の脱出(移民)が深刻な問題になりつつあるのだ。

 数日前、驚くニュースがあった。このところ日本人の海外移住が急増しているという。それも出稼ぎではない。完全移住なのだ。昨年には50万人を突破したとか。報酬も凄い。介護士で(日本の)2倍、寿司職人で4倍、獣医なら4倍である。欧米や中国だけではない。Asian諸国(の一部)だって然り。米国なら皿洗いや犬の散歩でさえ年収一千万円は下らないそうだが、こうした現実からしてこの先、脱出組は一段と増えるのではなかろうか。外国人(就労)はいない。日本人もいない。いても超高齢者ばかり。これでこの国に未来はあるのだろうか。

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 202X年、この国は老々互助によってのみ維持されていた。街に若者はいない。見渡せば、どこもかしこも年寄りばかり。商業施設では80歳を優に超した“青年”しか目にしない。それも客ではない。歴とした社員なのだ。非正規にせよ良く働く。いや働かなくては食っていけないのだろう。不思議なのはAI機器が消えてしまっていることだ。聞けば「使い熟せる人材がいない」とのこと。いても、メンテナンスが出来ない以上、「壊れてしまえば只のガラクタ」というから悲しいやら情けないやら。

〈軍艦島が暗示する日本の近未来〉
(画像はネットから借用)

 医療や介護の分野とて同じだ。医者に看護、介護士と高齢化著しく、その覚束ない足取りからは、どちらが関係者で、どちらが患者(入所者)なのかの区別さえつかない。それでも、医療・介護保険制度が崩壊した今、診療や介護を受けられるだけでも恵まれているというべきか。しかも、最先端の医療機器は、ここでも見ない。買えない、使えない、あっても補修が出来ないのでは無用の長物でしかないのだ。

 今や、この国に製造業は存在しない。老骨に鞭打ち農業や水産業の一部だけが辛うじて生き延びている。1ドル200円にまで下がった為替レートに救われたのだろう。輸入食材など、余程の高額所得者でもない限りは、とても高くて手が出せないからだ。だが、これも風前の灯火にある。後継者はいない。年齢的にも、これまでのような重労働には耐えられるものではない。農業の近代化も今は昔で、外国人がいなくなった現在、頼りは自分自身(の肉体)だけなのだから。

 かつて、この国は「高齢化社会は『AI』が救う」とする文言で溢れた。しかし、それも無惨に潰えた。人材(若者)がいない以上、研究棟は砂上の楼閣に成り果てている。財政破綻の影響も計り知れない。海外から輸入しようにも財源がない。仕方なく老朽化した機器を使い続けたものの既に限界に達した。一時、在籍した外国人技術者も誰一人として残っていない。本国より遥かに貧しい国家に成り下がってしまったのでは、これも当然といったところか。

(凋落の一途にある我が国の所得水準)
(ネットから借用)

 唯一の頼りは海外からの送金である。2020年代も後半になるや貧困に耐え兼ねた多くの若者が海を渡った。中国や欧米、中・南米だけではない。豊かさを求めて、アジアからアフリカと、それは全世界に及んだ。最早、半世紀近い凋落の結果、我が国より貧しい国など数える程しかない。何処へ行っても日本よりは稼げるのだ。こうして残された家族を支えたものの、それも月日と共に途絶えてゆく。何せ、二世、三世と代替わりしてまで仕送りを続ける者など滅多にいないからだ。収入源を失った社会がどうなったか、、この先は言うまでもない。

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 こう書くと、誰だって「そんな馬鹿な!」と思うだろう。憤懣やるかたない気持ちになる方だっているかも知れない。でも考えて欲しい。昭和30年代の初頭、文明の利器といえば、ラジオに裸電球、それに自転車ぐらいのものだった。それが、昭和30年代の後半から40年代になるや、カー、クーラ、カラーテレビの時代である。いわゆる三種の神器だが、この間10年で今と変わらない時代を迎えているのだ。ならば、この逆があっても不思議ではあるまい。社会の盛衰は早い。「そんな馬鹿な!」と、どうして断言出来ようか。現に、バブル崩壊後は『失われた30年』と呼ばれ、後退の一途にある。ともあれ、この国の未来に奈落の悪夢が取り憑かないことを願うばかりだ。

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《余談》

【人口減少深刻】

 総務省統計局によると、2023年9月1日現在の総人口(推計)は1億2445万人で、前年同月に比べ52万人の減少。出生数は前年を4万875人下回る77万747人、死者数は130万人に達した。合計特殊出生率は過去最低の1.26だった。2021年に東日本大震災があった2011年の対前年増加数を上回ってから2年。高齢者が増えれば、それだけ死者が増えるのは当然のことだが・・。


 問題は先行きである。少子化に改善の兆しでもあれば心配はないのだが、それもない。悪化するばかりにある。出生率は一旦下がるとなかなか回復しないもの。しかも、コロナ渦による残影は計り知れない。あと数年後には、死者数160万人、出生数60万人が現実味を帯びる。一年で百万人の人口が消失するのだ、これが如何に恐ろしいことか。


 もし、今年の出生者(77万747人)が結婚年齢に達し、晴れて健全とされる出生率(2.07)を回復したとしよう。これでやっと、出生数は一世代(30数年)後に置換水準まで戻るものの、それでさえ77万人にすぎない。しかもその可能性すらゼロに等しい。氷解の如くに萎んでゆくニッポン。最大の危機はこの先5年から10年で迎える。とても間に合わない。政府の唱える『異次元の少子化対策』も言葉遊びにすぎない。ただ単に『焼け石に水』であり、『座して死(滅亡)を待つ』以外の何ものでもない。ならば冒頭の駄文だって笑い話で済まされるか否か。お上はどこまで認識しているのだろうか。