健康志向の高まりなのか、そうでないのか、出ては消える『体に良い』とされる食材の数々。メーカーの販売戦略もあるだろう。医者や著名人を使った宣伝は増えるばかりにある。医者とはいえ誰もが倫理観豊かとは限らない。貧しい者だっている。食わねばならない。高額のオファーがあれば飛びついてしまう。そして台本のままに芝居を打つ。『○○で末期ガンが治った』といった“ゲテモノ”にまで必ず登場していることからもお分かりかと思う。
韓国では数年前から学校(小中高)でのコーヒーの販売(摂取)を全面的に禁止している。理由は、誤った眠気防止に対する認識や、それによる健康被害を案じてのことらしい。正誤の程はともかく、薬効と害毒、どちらが正しいのだろうか。
(この数年は、コロナ渦による外飲の手控えからマイナスに転じはいるものの人口減少の社会にあってさえ右肩上がりで消費される数少ない飲料でもある)
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最近は医療や健康に関する番組がやたらと多い。ことにコーヒーが多い。民放だけではない。NHKでもコーヒーの効用は度々特集している。糖尿病は無論のこと、高血圧や心臓病といった三大成人病に加えて、美肌、肥満、老化防止まで、あたかも不老長寿の如くである。健康志向の現れとはいえ、どこまで信頼に値するだろうか。よもや逆効果であることはないのだろうか。
「食事は野菜から」や「バナナダイエット」など、次々と登場する健康法は枚挙にいとまがない。でも、ここにも落とし穴はある。
確かに、前菜によって総量が抑えられるなら、血糖値の抑制やダイエットにも効果はあるだろう。だが実際には前菜神話に浸り、それまでの食習慣を変えない者が多い。野菜だってカロリーゼロではない。ことに最近の野菜は栄養価が高い。従前の食事を続けるなら、この野菜のカロリーが加算され、より高血糖に、より肥満にもなるということだ。
コーヒーは更に根が深い。コーヒーメーカーや、その委託を受けた医師からは、コーヒーが血糖値の上昇を抑えることから、一日4杯程度の飲用を推奨するケースが良く見られる。
コーヒーによる糖質抑制効果は学術的にも認められている。だが、それも未病者に対する効果だ。糖尿病を“予防”するといった意味での効用に他ならない。あたかも糖尿病患者にまで効果絶大である如く報道(番組)の盲信は危険(病状悪化)の裏返でもあるのだ。
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《糖尿病を専門とする医療機関の見解》
(以下は原文のまま引用)
コーヒーの2型糖尿病予防の効果は、世界各国から相次いで報告されていますが、これは糖尿病をまだ発症していない人に限った話です。糖尿病患者へのコーヒーの影響は、はっきりしたことがまだわかっていませんが、コーヒーに含まれるカフェインがインスリン感受性に悪影響を及ぼしたとする研究結果も報告されています。
この研究によると、コーヒーと炭水化物を同時に摂取した場合のインスリン感受性は、カフェインの含まれない飲料とほぼ同等でしたが、その後またすぐに同じものを摂取させて計測した場合は、インスリンの感受性が低下したとの結果が出たそうです。
つまり、まとめると下記のような内容になります。
コーヒーと炭水化物を一緒に摂取した場合、インスリンの感受性はある程度低下する。
その影響が続くため、すぐに同じよう内容の食事(カフェイン+炭水化物)をした場合は、インスリンの感受性は大きく低下する。
結果、「耐糖能やインスリン感受性が問題になる病態(たとえば、糖尿病やその予備軍の人)は、「食後に単純炭水化物(甘いケーキなど)とカフェイン入りのコーヒーを一緒に摂取するのは、好ましくないかもしれない」と考えられていす。
糖尿病を発症している方は、コーヒー(カフェイン)の摂取には注意が必要かもしれません。
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このように、コーヒーは糖尿病の予防にはなっても改善にはならない。他の疾患でも同じではと思う。だが報道とは不思議なもので、商業(売らんかな)主義に支配され、こうした事実は表に出ない。結果として病状がより重篤になってゆく。情報を信じる限り健康も「自己責任」ということか。
因みに、コーヒーとはいえ、一国の経済をも左右する巨大産業である。日本だけでも2兆9千億円(末端消費額)に達する。緑茶が5千億未満であることから、その大きさが分かる。雇用の上でも、或いは政治献金の上でも、どれだけ大きな役割を果たしていることか。だから“阻害要因”は公表しない”なんてことはないと思うが・・。
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《参考》
(緑茶の年間支出額の推移)
同じく健康に良いとされながら後退する一方の緑茶消費量。この違いは何だろうか。香港、台湾、シンガポールなど、世界の長寿地帯はアジアの緑茶消費圏に移行しつつあるのに。マスク着用率世界一に反して、また増え始めたコロナ感染に、この暑い最中に蔓延するインフルエンザの怪も含めて・・。
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《余談》
マスク天国のニッポン。コロナだけではない。インフルエンザにも大流行の兆しがあることから、今以て、どこもかしこも『マスク、マスク』である。確かに予防効果はあるだろう。でも『免疫』の点ではどうなのか。うがいに手洗いを含めて日本人の清潔志向は世界随一と聞く。除菌は免疫力の低下を意味する。ウィルスから見れば格好の”住環境“にもなるのだが・・。
〈百年前のマスク風景〉
日本人のマスク好きは今に始まったことではないようだ。1918年から20年のスペイン風邪でも浸透していた。日本でも約48万人が亡くなっているが、それでも人口比では世界最少の部類に属するという。地(島国)の利なのか、それとも本当にマスク効果だったのか、はて??