【食の安全も裏を返せば】

 〈濃厚ショコラテリーヌ〉
(画像はネットから借用)

 菓子メーカーのシャトレーが賞味期限の改竄で揺れている。同社の子会社が店舗で販売する冷凍スイーツ(濃厚ショコラテリーヌ)の賞味期限を3からから5ヶ月も先に書き換えていたことが発覚。冷食だから大きな影響はないとはいえ由々しき問題に違いはない。正しく犯罪であろう。食の安全も表向きで、その裏で蠢く『利益第一主義』の実態。これまでには、どんな“事件”があったのだろうか。

 2007年、食の安全を揺るがす事件が起きた。中国の天洋食品が製造した冷凍餃子を食べた千葉県千葉市、市川市、兵庫県高砂市の3家族計10人が下痢や嘔吐などの中毒症状を訴え、このうち、市川市の女児が一時意識不明の重体になったのだ。県警の鑑定から、メタミドホスを検出。これは有機リン系殺虫剤の成分でもある。その後、ギョーザに毒物を混入させた容疑で天洋食品の元従業員が拘束された。

〈中国・天洋食品〉
(画像はネットから借用)

 同年には段ボール入り肉まん事件も発覚する。挽き肉の代わりに使い古しの段ボールを粉砕して混ぜていたのだ。日本への影響はなかったものの、メタミドホス事件の直後だけに、これもまた大きく取り上げられた。

 結果、これまで以上に、、中国の食材は危ない。何をするか分かったものではない。やはり国産に限る。安全安心のうえでも国産に優るものはない。こうした風潮が定着してゆく。

 だが、こうした事件は中国だけではない。日本でも数多く起きているのだ。

〈雪印乳業の集団食中毒を伝える記事〉
〈画像はネットから借用〉

 雪印乳業の集団食中毒を覚えているだろうか。製造工程で病原性黄色ブドウ球菌が増殖していたにも関わらす、その後数ヶ月に渡って供給し続けた結果だが、この事件は、2000年に近畿地方を中心に発生し、認定者数は14,780人に及んだ。第二次世界大戦後最大の集団食中毒事故とされ、雪印乳業の社長・石川哲郎が引責辞任に追い込まれている。記者団の追求に対して、「そんなこと言ったってねぇ、わたしは寝ていないんだよ」の名言(捨て台詞)を吐いていることからも覚えている方も多いと思う。

〈謝罪?に追われる会長〉
(画像はネットから借用)

 船場吉兆の事件も記憶に新しい。これも2007年のことだが、賞味期限の改竄、地鶏の産地偽装、味噌漬けの産地捏造と続いた後、極めつきは「客の食べ残し再提供」だろうか。4店舗全店で客が残した料理をいったん回収し、別の客に提供していたのだ。これといった被害はなかったものの、高い料金を払う高級割烹で前客の食べ残しを食わされていたとは・・。

 2007年は、こうした不正が相次いだ年でもある。三重県の和菓子製造業で、創業300年の伝統を誇る老舗・赤福は、製品の冷凍保存によって製造年月日を偽装。「白い恋人」で知られる北海道の石屋製菓も、一部商品が賞味期限を改竄して販売されていたとして、食品衛生法並びにJAS法違反で出荷停止に追い込まれている。これとて氷山の一角だったのではなかろうか。

 薬物混入や衛生管理上の不備は論外としても、賞味期限には、まだまだ疑うべき点が多い。そもそも消費期限と違って賞味期限に法的拘束力はない。あくまで“売らんかな主義”の副産物なのだ。早めに棄てさせて商品の回転率を高めることにある。ならば被害者は消費者だけではない。小売業とて莫大な不利益を被っていることだろう。経済的損失たるや如何許りか。

 経済産業省と食品業界は、賞味期限の表示を「年月日」から「年月」だけの表示にするなど、これまでの(定義の)見直しを始めた。日持ちの良い加工食品が対象だが、食品メーカーや小売企業は在庫や販売管理を効率化でき、まだ食べられるにも関わらず廃棄されてしまう食品ロスの削減が目的である。当面は、缶詰や料理酒、瓶詰めジャム、マスタード、粉末スープなど、賞味期限まで1年以上あるような食品で実施。日持ちのしない生鮮食品は従来通り消費期限(年月日)だけの表示になるという。

 では一体、何(誰)のための賞味期限だったのか。前述の如く、メーカーの利益第一主義に支配されていただけではないのか。日本では、国産品のみを美化し「外国の食材(主に中国)は不安」の対象でしかないが、その中国では「日本産こそ危険」として、多くの食糧に対して輸入さえ認めていない。放射線や害虫だけではない。農薬や添加材に対して認めないのだ。


 賞味期限で管理される日本は素晴らしい。食の安全で日本は世界一だ。真相を知れば知るほど、こうした声も虚しく聞こえる。欧米の胃ガン発症率は膵ガンよりも少ない希少ガンになりつつあるという。ピロリ菌の有無を原因とするが、それだけだろうか。食の世界には、まだまだ我々の知らない重大な事件が隠されているような気がしてならない。

□□■■□□■■□□■■□□

《おまけ》

【半信(半疑)タス】


「今年の虎は強いで。猛牛なんて目じゃあらへん」


「何言うとんねん。それこそ『トラぬ狸の皮算用』やで」

「・・・・ん??🤔」