《これは犬介🐈と猿太🐒の物語です》


 ある日のことです。人里離れた山道に、美味しそうなバナナが一本、落ちていました。

 偶然に通りかかった犬介ですが、いかにお腹を空かしていたとはいえ、バナナなんて食べたことがありません。仕方なく、口にくわえてトボトボと歩いていると、物欲しそうな仕草で木の上から眺めている猿太に出会いました。 


 「そうだ!」

 犬介は、あることを思い付きました。そこで悪知恵を働かせ・・。
 
 「こんな旨いバナナは滅多にないぞ」「これが欲しけりゃ骨付き肉2本と交換してやってもいいが、どうだい」と話しかけました。


  猿太には願ったり叶ったりでした。でも、それでは面白くありません。色々考えた末、猿太は2本の骨付き肉を手にこう言いました。
 
 「こんなご馳走は滅多にないぞ」「これが欲しけりゃバナナ3本でどうだい」

 犬介は悩みましたが、ご馳走の誘惑には勝てません。早速、里に戻って3本のバナナを仕入れてきたものの、これでは納得いきません。

 「俺らの大好きなバナナを3本も与えるんだから骨付き肉も4本はないとダメだな」と、もうエスカレートするばかりでした。

 お互いの足元には山のようなバナナと骨付き肉が集まりました。

 その時です。見るに見かねたのでしょうか。大空を舞っていた変な色のトンビが降りてきたのです。


 トンビ 「オイオイ、それじゃいつまでやっても同じだよ。ワシが平等にしてあげよう」

 こう言うと、多い方を一本少なくなるようにして、ペロ~リ😋と、すかさず自分の口の中に放り込んでしまったではありませんか。

 犬介 「最初にバナナを見つけたのは俺らだ。骨付き肉の方が多くないと嫌だ」

 トンビはバナナを食べて減らしました。

 トンビ 「これでどうだい」

 猿太 「こんなに立派な骨付き肉よりバナナの方が少ないなんて、とても納得できないなー」

 このトンビ、今度は骨付き肉を食べて減らしました。

 トンビ 「じゃあ、これでどうだい」 

 犬介 「ダメー」 

 猿太 「ダメ、ダメー」

 犬介 「ダメ、ダメ、ダメー」

 猿太 「ダメ、ダメ、ダメ、ダメー」

〈〈〈〈〈〉〉〉〉〉

 最後にバナナが一本だけ残りました。

 これも口に頬張ると・・。

 トンビ 「これでどうだい? ゲップ!」

 犬介 「・・・・・」
 
 猿太 「・・・・・・」

<< お し ま い >>

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《余談》

《こんな詐欺にも注意re》

◆◆金満自慢は悪魔の囁き◆◆

 人は『富める者』を崇める傾向にある。だから『金持ちは偉い』といっ勘違いが絶えない。そして、お溢れにあやかるべく接近を計るが、その結果として富める者が富み、貧しき者がより貧しくなる構図だけが浮かび上がる。この季節、恒例の付け届けなどは、その典型であろう。「世話になったから」ならいざ知らず、「世話になりたい」一心で貢ぐ者が如何に多いことか。

(画像は県警データより)

 ネットの世界ならどうだろう。何せ顔が見えない。実在の有無すら分からない。頼りは文体から導き出される連想だけである。いや妄想というべきか。しかも、この妄想が恐ろしい。仮想空間の中では期待値をより大きくしてしまうからだ。

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〈こうした自慢話を耳にしたことはないだろうか〉

 私こと騙野魔央(仮名)は数々の事業を手掛けて莫大な財を築いてきた。だから人望もあり社会的地位も高い。国内のみならず海外の一等地にも別荘を所有。車も、ロールスロイスにフェラーリと、もう数え切れない。好きなブランドは○○○といったように、こうした講釈が延々と続く・・。

〈特殊詐欺の年次別推移〉

(警察庁データより)

 これでは誰もが怪しむかと思いきや、そうでもない。こうした胡散臭い記事に限ってフォロワー数も桁違いに多い。コメント欄にまで溢れる賛辞の数々。返コメでもあろうものなら、もう天にも昇る心地である。あたかも憧れのハリウッドスターと連絡が取れたかのように。

【間もなくして、こうした案内が届く】

 これは私が敬愛する友人にだけお送りしています。この度、騙田魔央グループは新たな事業を立ち上げることになりました。本来ですと出資者は公募するところですが、これでは希望者が殺到して収拾が付かなくなる恐れがあります。そこで、突然ではございますが、こうして○○様のような信頼に足る方のみに限定してお知らせした次第です。

 無論、元本は保証します。年利100%も確実な状況にあります。手持ち資金が僅か数年で何倍にもなるんですよ。どうですか、一緒に夢を叶えてみませんか。貴方も誰もが羨む大金持ちになれるんですから。いつしか○○○ヒルズの別荘でお隣さんになる日を楽しみにしています。

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 これがネット社会の落とし穴とでも言うべきか。普通なら怪しむような内容であれ、夢心地の中で妄想を膨らましているだけに、それがない。実在を疑うこともなく「理想の人物像」創り上げてゆく。あくまで『未だ見ぬ憧れの教祖様』なのだ。

 現在、詐欺までが『騙すならネットで』になりつつある。結婚詐偽とて相手を知らぬままに引っ掛かってしまう時代だ。捕まってビックリ! 若くて美人(イケメン)のはずが、実は70代のキモ悪オヤジだった、では笑い話にもならない。ITとは『Ikasama technique」の略称だったのだろうか。

《日本の巨額詐欺事件》
 因みに、悪は景気の後退期ほど栄えるもの。巨額詐欺事件も、失われた30年といわれる、この僅かな期間に集中している。ことに、バブル崩壊や株価の急落時に増える傾向にある。損失の回収、貧困からの脱出を焦る余りに、より騙されやすくなってしまうようだ。『なけなしの、銭をお布施に、神頼み』、、どこかの新興宗教のようではあるが。