【明日(土曜日)は立夏】
新緑の5月。。とはいえ爽やかな日和ばかりではない。肌寒い日もあれば暑い日もある。三寒四温を繰り返しつつ夏本番へと向かってゆく。かつて、こうし季節になると、あちこちの工場で一斉に始まる行事があった。製造現場に冷房はない。敷地内外から巻き上がる熱気は尋常ではない。そこで、打ち水を兼ね、得体の知れない液体を活用した散水が行われていた。
得体の知れない、とは工場廃水のことだが、これならまだいい。汚水は川へ、焼却残さは空へが日常であった。有害物質が所構わず撒き散らされた。結果として未曾有の公害を生み現在に至ったのは言うまでもない。
そして今、疑惑は自治体や民間の廃棄物処理業者へと向く。否定はしない。一方、大手企業はどうなのか。産廃の99.7%はこうした製造現場からの排出である。一般の比率は0.3%でしかない。本当に大手企業の社内管理(産廃物の自社処理&委託)って信頼に足りるのだろうか。
環境機器は日進月歩だ。当然のこと最新式に優るものはない。双方の産廃処理設備を比較する限り、大企業の現場よりも、世間から嫌われる民間業者の方が明らかに優れているといった逆転現象が起きている。
高度成長は大量生産、大量廃棄の時代だった。有害物質であれ例外ではない。産業の栄華を誇るが如くに投廃棄された。林立する巨大煙突から放出された。国土は公害列島と化した。こうした状況から、昭和45年12月、廃棄物の処理及び清掃に関する法律が制定されたもののザル法は否めない。不法投棄で一攫千金を狙う悪徳業者の参入を許してしまった。
だが、現在の状況は、一昔前とはまるで違う。ある意味、書類審査を優先する(工場内の)自社処理よりもハードルは高い。大企業からの依託が大半であるため、常時、顧客たる依託先からも厳しく監視される。少しでも手を抜けば瞬く間に脱落してしまうのだ。
数年前、日本を代表する企業の埼玉工場から汚染水が流れ、川魚が大量に浮き上がる事件があった。当事、従業員やその家族は、地元に建設される産廃業者の中間処理施設の反対運動に追われていた。よそ者の排除に奔走している間に本丸が落城したことになる。
これとて氷山の一角であろう。誰も勤務先は疑わない。いや、聖域であり踏み込めない、と言った方が適切かも知れない。企業城下町なら特にそうだ。地域住民の大半が関わる以上、工場内での「産廃処分(中間処理)に反対」なんて、とても言えない。もし、工場敷地内外の土壌や大気分析でもしようものなら、それこそ明日の我が身さえ保証されまい。
有害残渣物に苛まれた豊洲市場も開場してから早4年半。豊洲は工場地帯として発展し、石川島播磨重工業や新東京火力発電所などが立地していた。前述の如く、投廃棄に罪悪感を持たない時代でもあり、企業そのものを責めることは出来ない。ならば、なぜ工場跡地を選んだのか。土壌汚染は豊洲だけの問題ではない。住宅地であれ公園であれ、こうした工場跡地は全国至る所にあるということだ。
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《スモッグに覆われた街》
(黒煙を撒き散らす“千住名物”お化け煙突)
〈東京も、こうした↓状況が長く続いた〉
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これは中国ではない。インドでもない。昭和末期の東京である。昭和30年から40年代にかけてはもっと酷い状態であった。当時、車の普及率は低く、排ガスだけではない。大半は、京浜・京葉といった工業地帯からの煤塵であり、それも大企業からの排出物で見渡す限りが灰色に覆われていた。主要河川では、あまりの汚染に、ボーフラさえ湧かない。主要各国の中で、ガンの発症率は日本だけが飛び抜けて高いらしいが、こうした影響はないだろうか。
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《余談》
【ゴールデンウイーク雑景】
コロナから開放された久しぶりの5月。行楽地はどこもかしこも、人、人、人の賑わいである。飛行機、列車、高速バスは満席ホテルは取れない。ならば「そうだ、それなら日帰りで・・」が主流になるらしい。これは都市近郊の大渋滞からも窺い知ることができる。だが不思議なことも。
都市近郊に位置する代表的な行楽地といえば東京ディズニーランドやUSJといったテーマパークであろう。これを大型遊園地として捉えるなら『主役は子供』なのだが、そんなことはない。入場者の平均年齢も上昇の一途にあるという。今や、高齢者施設に入居する面々でさえ『行きたい場所』の上位にランクインすることから、その名も『シニアーズパーク』の方が相応しいようだ。
子供の場合はどうか。アトラクションだけではない。レストランまで長時間待ちを覚悟せねばならない。その間、走っちゃ駄目、騒いじゃ駄目と拘束され、そして叱られたのでは堪ったものではない。結果、鬱積したストレスは、トラウマしか生まない。すると・・。
朝から舞い上がっている両親をよそに。
「ボクはいいよ。そんなに行きたいなら二人で行ってよ。お留守番してるからさ」
なーんて会話が増えてきているとか。
まあ、ゴジラやウルトラマン(の映画)に中高年が殺到し、いやいやながら子供が連れてこられる昨今。ドラえもん世代だって変わらない。初期(1979年)世代は間もなく還暦を迎える。行きたい場合NO1は、大人がディズニーリゾートで、子供がゲームセンターに近くの児童公園とは、これも時代の流れといったところか。
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