マスクの着用義務がやっと解禁になった。とはいえ「はい、そうですか」とはいかないところが難しい。コロナもまだ終息したわけでもなく何よりスギ花粉の真っ只中にある。そのせいか、レストランや公共交通機関だけでなく、どこもこれまでと変わらないように見える。何より『右へ倣え』の日本人の習性からして、元の姿に戻るには、まだまだ時間を要するのではなかろうか。
▶▶これじゃとてもマスクは外せない▶▶
介護にしても然り。この数年、高齢者(世帯)にとっては受難の年であった。重症化率が高いだけではない。施設にクラスターなら、その都度帰宅を余儀なくされた。通所型であれ在宅(介護)が基本になった。人手のある家庭はまだいい。多くは休職するか辞めざるを得ない状況にまで追い込まれている。高齢化社会のピークはこの先数年にある。コロナによる混乱どころではない。介護難民は様々な問題を生み出してゆく。この先は一体、どうなるのだろうか。
新型肺炎では、マスク不足に始まり、その不法投棄が社会問題になった。だがこれとて序章に過ぎない。介護士不足は深刻になるばかり。増え続ける高齢者には対応出来ない。頼りの外国人も来ない。介護は家族に委ねられる。すると様々な困難に直面するが、その一つ、在宅が増えれば、あの任務も負わねばならない。そう下の世話のことだ。
介護保険制度における要介護又は要支援の認定者数は2022年度末で689万1千人である。2003年度末(370万4千人)からは約318万人の増加。現在は、急増する高齢者からして、700万人は下らないものと推定される。この先、団塊世代が加わる。あと十年もすれば全人口の1割(約1200万人)に達してしまうだろう。
〈要介護別、認定者数の推移〉
日本衛生材料工業連合会によると、乳幼児と大人用を合わせた紙おむつの国内生産量は229億枚と、この十年だけで60%も伸びたとか。とりわけ大人用が顕著で、こちらは5割もの急伸である。一方、心配なのは使用後の処分だが、環境省では一般廃棄物に占めるおむつの割合が、2015年の4%から2030年には7%まで拡大するとしている。
でも実際はどうだろう。コロナ渦の下で急拡大した高齢者介護の在宅回帰までは見越していない。事業者ではなく家庭から排出されることで何が起こるのか。事業ゴミではない。家庭用(生=燃える)ゴミとして排出されるのだ。今現在の4%も平均値である。高齢者率の高い旧市街地や地方ならこの比ではあるまい。その量が如何に凄いことか。介護経験者ならお分かりかと思う。
絞った上での袋詰めなど不可能に近いことから重さも含めてその量たるや尋常ではない。今でも可燃ゴミの収集は屎尿運搬車の様相にあるのに、このまま増え続けたらどうなることやら。恐らく新たな分別が模索されるだろう。だが、専用の(屎尿)収集車など存在しない以上、これまでにない大混乱は避けられないのではなかろうか。
※(現在、水溶性にしてトイレに流す方式と、リサイクルが検討されているが、前者は量、後者は工程と、まだまだ解決すべき課題が山積する)
202〇年、あの忌まわしい新型コロナは終息したものの介護制度は全く機能しない。介護士は集まらない。いても、その高いスキルを買われ、多くは海外へ流出してしまった。欧米や中国のみならず東南アジアであれ日本の2倍以上の報酬が約束されるのだ。国内には高齢者だけが取り残された。老々介護が出来るうちはまだいい。誰もが自己責任を強いられることになる。こうして街中は不法投棄された紙〇〇〇で溢れていった。
まあ、こうはならないにせよ、あながち作り話で済まないところが恐ろしい。人口構成からも若者が枯渇するのは紛れもない事実なのだ。しかも、失業者で溢れた時代ですら介護職だけは敬遠され不足著しかったのに、どうして○○処理(運搬)業に就こうか。この日本が、マスクのポイ棄てに続いて、芳香漂う廃おむつ列島にならないことを願うばかりだ。
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《余談》
【WBC一色で話題にもならない日本の野球事情】
〈イタリア戦に勝って歓喜のサムライジャパン〉
WBCは5戦全勝で日本の準決勝進出が決定。これで第一回大会から全てベスト4以上の成績を達成したことになる。視聴率も凄い。5戦共に40%半ばである。これは昨年のサッカー・ワールドカップをも遥かに凌ぐ。さすがに『野球は違う』ということか。だが喜べないことも。“同時開催組”が蚊帳の外にあるということだ。
この時期、例年なら甲子園(高校野球)一色にある。シーズンを前に、オープン戦(プロ野球)だって話題は尽きない。マスコミに大きく取り上げられることから、茶の間は球児に、酒席では各球団の品定めで大盛り上がりなのだが、それもない。ことにプロ野球は寂しい。全国紙は結果(スコア)だけを掲載し、試合経過は一切シカトなのである。TVのスポーツニュースとて同じだ。これで本番(リーグ戦)に、どうして結び付こうか。
先日(2月27日)の記事と重複するが、WBCの結果はリーグ戦に反映しない。それどころか観客動員数を落とす傾向にある。リーグ戦が凡戦にみえるのか、そうでないのか、優勝した年でさえ芳しくないことからもお分かり頂けると思う。アメリカだけではない。日本だって主戦場は其々のチームであり、リーグ戦なのだ。マスコミは、もう少し、こうした事情にも配慮して欲しいものだが。