大学3年生などを対象にした就職活動が、この1日から解禁になった。新型肺炎の感染拡大以後、ウェブでのやりとりが主流だったたけに、やっと正常に戻ったということか。この就活、人手不足もあって売り手市場とはいえ、これからはどうなるのだろう。弊社は『人物本位』なんて言いつつも、あくまで『指定校ありき』が前提なのだ。もしや、不況になるにつれ、またあの時代に戻ってしまうのだろうか。
👥《《《就活解禁》》》👥
《ポンポコ会社の入社試験》
家柄は◎優、学力は●以下、筆記試験は、う~ん?? でも、村長の紹介だから、まっいいか! はーい、合格!! かどうかはともかく、家柄も学歴も申し分なし、筆記試験も好成績で、理路整然とした受け答えに面接官には抜群の好印象。同然、採用決定。
でも、上位合格者の十年後の在職率は平均を大きく下回る、なんと20%未満とか。これじゃ人気ドラマの視聴率にも敵いません。
一方、企業のトップに入社当時の成績を問えば、「ありゃ、滑り込みだったな」や「全然だめやったわ」といった返答が最も多く、しかも、当時の上位合格者のその後の動向には、これも「知らん」や「確かすぐに辞めたかな」が圧倒的に多いとか。
では、なぜ反省もなく、同じ過ちを繰り返すのでしょうか。聞けば、我が社には〇〇家の子息がいるとか、〇〇大学卒が何人だとか、ただ単に対外的な見かけ重視だというから、もう呆れるばかり。
面接も然りで普通なら緊張でシドロモドロになるのは当たり前。むしろこうした若者の方が伸びしろ多く「大化け」するのです。役者の採用ではないのですから芝居上手はいりません。
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てなわけで、ここポンポコ会社では、家柄も学歴も不問。加えて、お決まりの採用試験も実施せず、極めてユニークな手法で合否を決めようと考えました。
選考の日です。ポンポコ会社の会場には数多くの希望者が集まっていました。
さあ定刻です。人事担当者が現れました。すると早速、ポンポコ腹をドーン!と叩いて、風呂敷を持たない者に退場を告げたのです。
今どき風呂敷持参などいようはずもありません。全員が席を立とうとすると、すかさず理由を知りたい者に限り席に留まることを許しました。先ずは物事に対する疑問の有無を試したのでしょう。
会場から人が半減しました。更に、想像力の貧富を試そうと風呂敷持参の必要性を問えば、お決まりの口上ばかりで期待する答えは殆んどありませんでした。
さあ佳境です。残った者も僅かになりました。その数人には次の難問を投げ掛けました。なんと「ライバル会社の社員になったつもりで我が社の弱点を突きなさい」というのです。
誰も企業賛歌しか考えていなかったから、もうダメ、かと思いきや、、。でっでっでも、いっいっいたじゃありませんか。緊張でシドロモドロながら見事に的を射た者が一人だけ・・。
続いて、今抱える社内の問題を列挙され、その解決策を求められたのですが、あらら! 慣れとは不思議なものです。自信も手伝って、もうさっきのシドロモドロはどこへやら。返答もスラスラになっていました。しかも企業が抱える難題を一挙に解決するような名案奇案ばかりなのです。
その噂は社内を駆け巡りました。勿論、社長の耳にも届きました。
こうして連続99回にも及んだ不採用も晴れて100社目にして打ち止め。その後、予想通りに「大化け」したこの者こそ、重責を担い、ポンポコ会社を世界有数の規模にまで押し上げたことは言うまでもありません。
「でも、ポンポコ会社って、誰が経営するどんな会社なの?」
「もちろん、その大胆さからして経営者は『太っ腹』・・」
「あららっ! どんな会社なのかは『タ・ヌ・キ』の広げた大風呂敷(大化け)に惑わされて忘れてしまったわ! 」
『ドタッ!!』



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《折り紙》
(採用の実態)
〈人物本位とは言いながら〉
「実際は指定校と縁故優先で、もう他ヌキばかり」
「グヂュ!!😂」
「職場選びはくれぐれもチュウ意せんとね」
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時代と共に変わる就活事情。学歴崩壊も表向きだけで見栄と外聞に拘るだけの採用基準。少子化の影響は就職活動にも及び会社説明会のみならず面接から入社式まで父母同伴が増えているとか。幼稚園から大学まで、節目のイベントには両親に加え祖父母まで参加するご時世だから当然の流れとはいえ、あまりにも情けないような。
これではいずれ、社内会議には母親が同席、営業活動には父親が同行する、こんな時代になりかねない。これが警察や消防だったらどうだろう。捜査会議には母親が、救助活動には父親が・・。う~ん、笑い話で済むだろうか。
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《余談》
【H3ロケット打ち上げ失敗】
大変なのは学生だけではない。人材を集める側も大変なようだ。少子化で就業者は減るばかり。理工系、ことにITに関わる分野ほど深刻である。日本人だけではない。外国人からも敬遠される悲しき現実。今や、アジアであれ日本より豊かな国はいくらでもある。しかも、このところの円安が追い打ちをかける。最早、本国より貧しい国へ、わざわざ出稼ぎに来る必要などいないということか。
一昨日、打ち上げに失敗した我が国の新型ロケット『H3』初号機。ここにも人材不足を垣間見ることができる。NASAのみならず、どこの国も指令センターは国際色豊かだ。だが日本にはそれがない。各国の現場をリードするインド系技術者とて誰一人として見ない。そもそも東大から三菱重工に移管したのも予算の問題だけではない。人材不足が背景にある。その三菱であれ(科学)技術者の不足は危機的なのだ。技術大国ニッポンは昔話。この先、この国は大丈夫なのだろうか。