【日本列島に忍び寄る危機】
〈街を壊滅させた『トルコ・シリア』地震〉
トルコ南部の大地震から十日。その規模(エネルギー)は阪神淡路大震災の約20倍とされるだけに、まだ全貌の把握には程遠い状況にある。犠牲者も増えるばかりだ。シリアの実態が明らかになるにつれ10万人に達するのではなかろうか。これは関東大震災にも匹敵する。先ずは被害に遭われた方々には心から御見舞い申し上げたい。
こうした地震には特徴がある。単発では終わらないということだ。それも一定の距離を伝播する傾向にある。これまでも、東南アジアはアラスカ方面、オセアニアは日本(近海)、チリは南太平洋や北中米といったように、その距離は地球外周の4分の1(約1万km)を伝いながら連動しているのだ。あの東日本大震災も、カンタベリー(ニュージーランド)地震の翌月であった。
今回だって然り。昨年末以降、南太平洋を震源にM7クラスの大きな地震が相次いでいた。
◆2023年01月08日、 震源地、南太平洋、M7.2
◆2022年11月22日、震源地、南太平洋、M7.3
◆2022年11月11日、震源地、南太平洋、M7.3
◆2022年11月09日、震源地、南太平洋、M7.0
トルコ南部からこの南太平洋もまた約一万kmの範疇なのである。
次はどこか。お手元に地球儀があればトルコから見た約1万kmを探ってみていただきたい。東に目を向ければ辿り着くのは日本列島付近であることに気付かれると思う。そう、歴史的にも日本に於ける鳴動は、オセアニアのみならず西アジアからヨーロッパにかけての地震とも深く関わっているのだ。
トルコと日本列島であった大地震を並べてみよう。この半世紀だけでも下記の如くになる。
◆(トルコで発生の大地震)
◇(日本列島で発生した大地震)
(M6以下は除く)
◆1971年05月22日、ビンギョル、M6.9
◇1971年08月02日、十勝沖、M7.0
◆1976年11月24日、ムラディエ、M7.5
◇1975年06月10日、北海道東方沖、M7.7
◆1983年10月30日、エルズルム、M6.9
◇1983年05月26日、日本海中部、M7.7
◆1992年05月13日、エルズィンジャ、M6.8
◇1993年07月12日、北海道南西沖、M7.7
◆1995年10月01日、ディナル、M6.1
◇1995年01月17日、阪神淡路大震災、M7.2
◆1998年06月27日、ジェイハン、M6.2
◇1998年05月04日、石垣島南方沖、M7.5
◆1999年08月17日、イズミット、M7.6
◆1999年11月12日、デェズジエ、M7.2
◇2000年01月28日、根室半島沖、M6.8
◇2000年06ー08月、伊豆諸島群発
◇2000年10月06日、鳥取県西部、M7.3
◆2002年02月03日、アフィヨンカラ、M6.5
◇2002年03月26日、石垣島近海、M6.5
◆2003年01月27日、ビュルミュル、M6.1
◆2003年05月01日、ビンギョル、M6.4
◇2003年05月26日、宮城県沖、M7.0
◇2003年07月26日、宮城県北部、M6.1
◇2003年09月26日、十勝沖地震、M8.3
◇2004年10月23日、中越地震、M6.7
◆2010年05月08日、エズラ県、M6.1
◆2011年10月23日、ヴァン県、M7.2
◇2011年03月11日、東日本大震災、M9.0
◆2020年10月30日、イズミル県、M7.0
◇2021年02月13日、福島県沖、M7.1
◇2021年03月16日、福島県沖、M7.3
このように、一年以内には、かなりの確率で伝播していることが分かる。日本側での発生が後か先かはともかく、イラン(アジア西部)やイタリア(地中海域)を含めれば、ほぼ100%である。
とはいえ、これがなかなか難しい。地球規模の伝播に規則性はない。定まらない方向に加えてタイムラグは如何ともしがたい。同日もあれば数年先だってあるかも知れない。だが、これだけは言えよう。311の余波は抜け切っていない。歪みは溜まる一方にある。有るか無いかではなく、いつ及ぶかが問題なのだと。
地球という星は宇宙空間に漂う極めて不安定な浮遊球体だ。そこで地球外周の4分の1、即ち、約1万kmを複数(2~4)回伝播させることで地軸の安定を保つのではないか。科学的見地には乏しいとはいえ、一つの領域でのみ大地震が続くなら、とてもバランスは保てまい。
だからこそ、この地球には(巨)大地震の巣が等距離に並ぶ。そして安定を図る。数年来、ニュージーランドやイランから地中海周辺で多発する地震も、2010年のチリ・マウレ地震や2011年の東日本大震災を起点とした伝播とすれば地球規模の波動として十分に説明がつくのではなかろか。
歴史的な大地震は秋から春に多い。ことに天候が安定する時期に限って増える傾向にある。荒天明けや強風(季節風含む)が収まった頃合いが危ない。今日だけは安全と思えるような恙無い日和はもっと危ない。ともあれ、この数ヶ月は、これまで以上に『油断は禁物』といったところか。
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《余談》
【今、海では何が・・】
最近、こうした事例が相次いでいる。原因は何だろうか。(1)海流の影響(2)水温の変化(3)感染症など諸説様々だがあまりにも多い。東京や大阪湾にはクジラまでが迷い込んでしまった。一部の週刊誌では自然災害の前兆として取り上げてはいるものの、これとて偶然の積み重ねに過ぎない。だが全てデマとして片付けて良いものかどうか。
かつて東京帝大に寺田寅彦という物理学者がいた。地震研究の第一人者であると同時に随筆家でもあった。そのためか宏観現象にも着目し、地震と発光現象や、地震と漁獲量の変化、といった研究にも熱心だった。だが多くはデマだとして批判の的にされたが、こうした渦中にあって、あの忌まわしい関東大震災に遭遇する。その時の名言『天災は忘れた頃にやってくる』は皆様も良く御存知かと思う。念の為。