この15日、敬老の日に合わせて発表した厚生労働省の人口統計によると、全国の100歳以上の高齢者は9万9763人だった。前年からは4644人の増加。これで55年連続して過去最多を更新したことになる。内訳は、女性が約88%の8万7784人、男性は約12%の1万1979人。1963年には153人だったことから、この60年で約600倍にもなる急増ぶりである。この先は一体、どこまで増えるのだろうか。
(画像はネットから借用)
一方、65歳以上の高齢者は前年より5万人少ない3619万人だった。但し、これとて人口急減下では増加に等しく、総人口に占める割合も過去最高の29.4%と上昇の一途にある。そして出生率が改善しない限りは、40%、50%と拡大してゆく。これが如何に恐ろしいことか。発展途上国で懸念される人口爆発も、この国に関する限り老人爆発の様相である。
《我が国の人口ピラミッド2025》
❋(団塊世代に続いて団塊ジュニアが65歳に達する2040年頃、この国の人口構成は完全な逆三角になる。それも底辺が限りなくゼロに近付く逆三角形である)
介護に例えてみよう。ローテーションさえ組めれば、10人で90人の世話は可能としても、1人で10人を看ることなど絶対に出来ない。交代要員がいない以上、不眠不休が原則であり、とても耐えらるものではない。一部、日本の国土面積からして人口減少を歓迎する向きもあるが、これとて同じだ。出生率を改善しないことには何も解決しない。ただ悪化するばかり。今や、こうした社会へと突き進んでいるのだ。
▶すると、こうしたことが日常茶飯事に◀
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20ΧΧ年、日本の社会は深刻な状況に陥っていた。大きな事件や事故であっても警察は来ない。街は無法地帯と化した。怪我や病気も同じで119番通報も意味をなさない。少子化の影響も極みに達し、署員や隊員の危機的な不足から、警察、消防といえど機能しないのだ。
こうした中でも高齢化率だけは上昇の一途にある。今や65才以上だけで全人口の半数に達した。しかも単身(生涯独身)者が多数を占める。年金はない。健康保険や介護保険も使えない。白寿を迎えた高齢者までが様々な職場で働いている。さすがに重労働の現場では見かけないものの、スーパーやコンビニのレジ係は、足元もおぼつかない年寄りに取って代わっていた。
働ける内はまだいい。そうでない者は悲惨な最期を迎える。孤独死なら引き取り手さえいない。かつては市町村が全責任を負ったが、その自治体であれ人手は足りない。(荼毘に伏す)予算もない。結果としと放置され自然に土に還るのを待つことになる。
かつて、移民(国籍取得条件の緩和)の是非を巡って、この国を二分する大論争が沸き起こった。だが当時は排外主義全盛にあって尽く却下。外国人の就労拡大も体の良い季節工だったらしく、景気後退と共に、其々の国へと強制送還された。一部、法の網を掻い潜って残留はしたものの仕事に有り付けない以上、座して死を待つような状況にあった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
《参考》
〈かつての外国人就労は何処へ〉

❋(バブル期を覚えているだろうか。1980年から90年代にかけてのことだが、この当時も人手不足著しく、南米(日系人)、中国、そして中東といった国々から数多くの出稼ぎ組がやってきた。取り分け目だったのがイラン人である。それがどうだ。今では殆ど目にしない。そうバブル崩壊と共に追放されてしまったのだ。如何に外国人就労が増えたところで『移民=帰化』でない以上、何れは消え去る運命にある。世界一、国籍取得が難しい国、ニッポン。景気の動向次第では外国人が消える。少子化と移住(海外転籍)で日本人も消える。そして日本列島そのものが軍艦島になってゆく)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その後も国力は衰退。所得水準の低さからして魅力もないのだろう。最早、出稼ぎ労働者も誰1人として来ていない。逆に日本の若者の国外脱出だけが社会問題化していた。見渡せば年寄りばかり。若者一人に掛かる負担は尋常ではない。ならば海外に活路を求めよう。そう、人減らしの明治末期、食うや食わずの生活からの脱却を目的とした戦後に続く第三次移民ブームの到来でもある。
一昔前、不足する労働力を補うべく、人工知能(AI)を駆使した情報技術(IT)の開発と活用に期待する声で溢れていた。いわゆるロボットである。外国人はいらない。不足する労働力はロボットで代替すればよい。産業の活性化にも結び付く、といった考えからであった。
しかし目論見は無惨にも潰えた。何せ高齢化の進行は早い。如何に日進月歩の科学といえど追い付かない。実用化に程遠い段階で修復不能な人口減少(高齢化)社会に突入してしまったのだ。人材(労働力)不足は深刻を極め開発に携わる研究者さえいない。やっと集めた外国人(IT技術者)も待遇が折り合わずに出ていってしまった。莫大な国費を投じた研究棟とて哀れにも朽ち果てている。
そもそも「人口減少の下でも経済は成長する」や「ロボット(AI)を活用すれば全て解決する」『何の心配もない』は永田町や霞ヶ関に巣食う老齢な妖怪族の常套句でもある。10年、20年後にはいないから好き勝手なことがいえるのだろう。言わば「地球温暖化なんて心配ない」「科学が解決する」「ダメなら他の惑星に移住しよう」と同じ思考なのだ。末期患者(人口崩壊)に特効薬(科学技術)の開発を待つ余裕はない。底辺の拡大(少子化の是正)なくして何も解決しないと思うが。