今回の選挙で、NHK党のガーシー氏の当選はやはり世間には衝撃のようだ。そりゃそうだろう。あんな冗談のようなやり方で国会議員に当選したのだから。日本にいないばかりか、さしたる選挙活動もせず28万票以上も票を集めたのだ。

 

しかし、間違えてはいけない。ガーシー氏がすごいのではなく、NHK党の立花孝志がすごいのである(ガーシー氏は別の面ではすごいと言えるが)。

大方の世間は、「あんな冗談みたいなやつが当選するわけがない。ふざけている」などと思っていたに違いない。ガーシー氏が思いつきで出馬したように思われているだろう。汗水垂らして選挙活動をして落選した人にしたら腹立たしくさえあるだろう。

 

ガーシー当選については批判も多い。昭和頭の人にとっては、当然だろう。「あんなやつが当選するなんて日本は終わっている」とか「ふざけている」とか。

では、モリカケ事件はふざけていないのか?アベノマスクの保管料だけで何億というお金を使うのはふざけていないのか?それらのふざけように比べたらガーシー当選なんてかわいいものではないのか。日本の賃金の安さ、ITその他多方面での遅れなど、ある面、日本はもう終わっているのではないか?

しかし、ガーシー氏を当選させる日本は、まだ捨てたものではないと言えるかも知れない。

 

NHK党を内心イロモノとしてバカにしてきた世間には、かれらの表面しか見えていないだろうから、まぐれで当選した程度にしか認識できないかも知れない。しかし、立花孝志は何年も前から虎視眈々と戦略を練って実行してきているのだ。今回のできごとは、その一場面に過ぎない。だからガーシー氏を軸に考えても本質は見えないし、「YoutuberあるいはYoutubeの威力」程度に捉えているのは認識が浅い。

 

次回の選挙では、Youtuberが大挙して立候補するかも知れないし、既存政党もYoutubeに力を入れるだろう。しかし、相変わらず昭和な発想しかない既存政党が突然Youtubeを使い出してもそう簡単にはいかないだろう。立花孝志を始め有名なYoutuberはもう10年も前からYoutubeでのやり方を研鑽してきたのだ。

 

今回のガーシー氏当選が何を意味し、何が違っているのかを真剣に考えた方がよい。しかし、NHK党を小バカにしているような頭では分からないだろう。「あんなふざけた奴らが国会に来るなんて」としか思えない人には本質は見えないだろう。

 

立花孝志のやり方の何が巧妙でどこにツボがあるのかは、経緯を追っていないと分からない。

イロモノに見えるが、立花孝志と言う人はNHK時代は若干30代でNHKの会長から直々にイベントの仕切りや政府機関との渉外を任されていた人だ。どれだけ切れ者なのかが分かる。

ガーシー氏は立花孝志の戦略の1つの駒にすぎないのだ。これは立花自身も公言しているしガーシー氏自身も認識している。瓢箪から駒の偶然で当選したのではないのだ。なかば確信犯的に当選した。そこがすごいのだ。しかもほとんど特別なお金を使っていない。今までの選挙の戦い方とは何から何まで異なるのだ。

 

次回の選挙からは、ひょっとしたら今までの選挙にはない、ベクトルが働き、既存の勢力図が緩んでくるかも知れない。

NHK党やYoutuberをなめて小馬鹿にしているウチは、彼らの台頭についていけないだろう。登録者が百万人、再生回数が何百万回ということがどれだけすごいことなのか考えた方がよい。TVの政見放送や、ましてや街頭演説など比較にならない。

 

ガーシー氏には、暴露という戦略上のもうひとつの役割があるが、それがどういう風に作用するのかとても興味深い。