袴田事件の再審が始まるというニュース。

 

司法というのはしばしば現実からかけ離れている。

30才の頃に逮捕された袴田さんはもう90歳を目前にしている。

 

もし無罪なら(多分真相は無罪だろう)、

一体袴田さんの人生を誰が責任取ってくれるのか。

それにいまさらどう責任を取るのか。

多くの、いやほとんどの人が思うことだろう。

 

なぜこんなに時間がかかるのか素人には分からない。

まず、再審というのは、それについての法的なルールがないそうで、だから放置されてしまうらしい。

この裁判に関わった元判事の方はそこを指摘している。

なぜなのだ?なぜルールを決めない?早く決めろ。

 

ルールがないにしても、早く進められないのか。

 

いろいろな事情を聞くが、ほとんどは

法曹界の勝手な事情に聞こえてしまう。

それは、裁判官や検事などの身分の上下関係による利害だ。

 

例えば、高裁で有罪になったものをその下の家裁で無罪にはできないという類いのことだ。

その理由を聞くと、高裁の方が立場が上だからその決定に刃向かうことは、後々の処遇に響くというのだ。

はぁ?そんなことで司法の判断が決められているらしい。

まったく、司法を冒涜しているのではないのか。

 

冤罪といえば、和歌山毒入りカレー事件というのがある。犯人とされている林真須美は死刑判決を受け刑務所にいる。

この裁判も再審を求めているが、なかなか進まない。

 

この事件は袴田事件よりもっと無罪が明白なのだ。この事件は決定的な証拠がない。犯行の目的も不明だ。

検察側が有罪の唯一の根拠としている物的証拠はその後の調べで間違いであったことが専門家によって証明されている。

また、その証拠の検察側の解釈も間違いであったことが証拠鑑定人によって証明されている。

さらに、検察が示した目撃証言が矛盾だらけであることも証明されている。

これだけ問題要素が揃っているのに、再審がまったく進まない。

 

この事件は、子供のいたずらが原因だとする説が有力だ。

こういう意味のない、目的のない事を大人はしない。

事件を仔細にみていくとそこに行き着く。

 

当時の子供もいい大人になっているだろう。真犯人本人は分かっているはずだ。しかし、今更出頭したらどうなるのか。

それを考えると怖くて出頭できない。しかし、真犯人は心に一生闇を抱えたまま人生を送るのだ。

 

ひょっとしたら、その「子供」は地域の名士の子供だったりしたのかも知れない。だから地域の人には周知の事実だったりするのかもしれない。しかし誰も触れない、触れられないというのは、特に地方ではよくある話だろう。だとしたら林真須美も知っているのではないのか?

 

そもそも林真須美は、犯人に仕立てられやすい要素を持っていた。保険金詐欺の過去があるのだ。

要するに「悪い人」というレッテルを貼られている。

「またあいつに違いない」と言うのは非常に賛同を得られやすい。

だから地域として都合良く犯人に仕立てられてしまったのだ。

検察が恣意的にそうした理由はほかにあるだろうが、検察はその状況を利用したのかもしれない。

 

しかし、林真須美には犯行の動機が見つからない。何のために誰を殺すために毒いれる必要があったのか?

また素朴に考えて、保険金詐欺という緻密な犯罪をする人間が、何の得にもならないいたずらのような犯罪を行うだろうか?

悪事をやるとしたらもっと計算高く緻密にやるはずだ。それを考えても、林真須美が犯人である可能性はほぼゼロに近い。

 

これだけの状況があるのに、再審がまったく進まないのは何なのだ。人の命や人生がかかっているのだ。

こう言う場面に人権の考えは及ばないのか?

 

林真須美はもちろん、その子供たちは殺人犯の子だと言われ世間から酷い仕打ちを受けた。

挙げ句の果てに長女は自分の幼な子とともに海へ身を投げた。

一体彼らの人生の責任は誰がとってくれるのか。

 

司法や法曹界の身勝手な事情が、容疑者を翻弄する。検察官は自覚しているのだろうか。

一体何のために法律の仕事をしているのだ。法律というのは正義の味方、弱者の味方ではないのか?

 

いろいろな案件を抱えて忙しいのかもしれない。

しかし、人権を考えたら、真っ先に進めなければならないのではないのか。

なぜルールがないからと放置されてしまうのか。

どうしようもない事情があるならともかく、法曹界の身勝手な事情で再審が滞るのは人権侵害だろう。

人を法律で守るべき人間が、苦しめてどうするのだ。
変な上下関係が仕事を歪めるならそこを改善しなければならない。

 

袴田事件のニュースを見るたびにそれを思う。