私の地元愛媛松山。四国の北海岸線中央より西にあり、そこを拠点として東四国それも剣山へツーリングに行くには、往復だけで400km前後に達します。
日帰りだととうぜん移動だけでかなりの時間を喰います。つまり現地での滞在時間を長くとれない制限がかかります。
その制限のひとつが
「現地での夜間ツーリング」がなかなかできないこと。
夜の剣山を走りたいなら、当たり前ですが夜まで待たねばなりません。そして夜道を堪能したあと松山へ帰るとなると…こりゃそうとうしんどいです。
まあ、実はそういうの過去に何回かやってはいるんですが、現実問題「夜道を楽しむより、早く家に帰りたい!」という気持ちが大きかったです。しょうじき記憶の限りでは心に余裕がなかった。
松山発着で本気で楽しむなら1泊2日以上の日程を組まないとキビシいなあ。と思いました。
しかし現在は高松に拠点がある。
せっかく「今は」高松に居るのです。ならば、松山からでは難しい「夜の剣山ツーリング」も問題ありません。
行ってみたくなる。てか行きました。
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夕方17:00くらいに高松市内を出ます。
たんたんとR32を南下。
18:40。WEST-WESTで休憩。
空はまだ明るいままです。
R32をしばらく南下し、R439に入って酷道スタート。
京柱峠に到着。
19:30。日没直後。
京柱峠の西側ここまでの道は整備状況が比較的良く、もはやそれほど「酷道」では無くなっています。
でもクルマはキツいでしょうね。狭いから。
京柱峠で一服したら東へ下ります。
20:00。完全に暗くなり、ふもとの県道32号分岐の三叉路にある、栃の瀬停留所公衆トイレに到着。
画像奥が京上トンネル、電光掲示板には19℃と表示されています。
では剣山見ノ越まで上がります。
20:45到着。
誰もいな~い…と言いたいところですが、剣山には登山客宿泊施設もあるので駐車場には数台クルマが止まっています。
見ノ越の標高は1,420m、さすがに下界より気温は低くなります。10℃くらいでしょうか。夏装備ではかなり寒いのですぐに下山します。
ちなみにササヤカな目的として、ココなら星空がよく見えると期待してたんですが、下界よりはちょっとマシな程度でした。まあ日没後間もないですし、人工照明も皆無ではありませんから…
下山はR438を木屋平方面へ。
R492交差点から美馬市穴吹に抜けます。
22:00。セブンイレブン美馬市穴吹町店到着。
無事高松まで帰れました。
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夜の剣山ツーリング、無事に終了しましたが、本来なら「夜・山・単独」でのツーリングは避けるべきというのが常識です。理由はもちろんトラブルが起こった際にリカバリーが効かないから。これについて多くを語る必要はないでしょう。ですから他の人に強くオススメはしません。
しかし、起こり得るトラブルがある程度想定出来、かつ夜間走行に経験と耐性※1があり、意外と面白いかもしれないと感じているならやってみてもいいでしょ、というのが、私の率直な意見です。
※1:夜を本能的に怖く感じる人・感じない人の違い
山の夜は夜で昼間とは違う世界なのです。たまにはそれを感じてみるのもアリではないでしょうか。
もちろん気軽に実行したはいいがトラブルを起こせば台無しです。やはりある程度の経験値と心構えは必要でしょう。
このへん、登山経験の豊富な人ならいろいろ知っていると思います。私はそのへんの知識がないのであくまで道路上に限った事しか分かりませんが、以下、夜の山のツーリングについて想定されるトラブルについて最低限意識しておくことを語ってみませう。
【マシントラブル】
身体に異常は無く事故を起こしてもいないが、自走が出来なくなる状況です。
想定される原因はエンジンの故障、足回りの破損、部品の脱落などですが、ガス欠やパンクも含まれます。
これらを完全に回避するのはムリですが、普段のメンテをしっかりやっていれば確率は下げられますし、走行ルートに応じた給油タイミングを考えるコトでガス欠は回避できます。
さすがにパンクは予測困難なので修理キットの携帯で備えましょう。
マシントラブルに関しては、昼も夜も心構えは同じだと思います。強いて言えば、街灯はない山中でトラブルが発生すれば何も見えなくなること。まあ最近の人であれば最低限スマホとポータブルバッテリーくらいは持っているでしょうからなんとかなりますが、できれば作業灯は携帯していた方がいいかと思います。
【自損・転倒トラブル】
操作ミスや判断ミスの結果、スリップやオーバーランで転倒・衝突に至る状況。
マシントラブルと決定的に違うのは、「万全の予測と対処で1000回の判断を999回ノーミスで過ごしても、最後の1回をミスればアウト」なことです。
剣山なら最悪の場合崖から滑落する事まであります。それによって受けるダメージは状況により様々ですが、もし自走不可能なほどの大ダメージであれば自分の体だって無事で済むはずはありません。
すなわちどうあっても避けたいトラブルです。
夜は視界が極端に制限されるので非常に厄介なのは間違いありません。しかしですね、では昼間はどうか?当然ですが昼間だってミスしていいワケはありません。その点ではやはり昼も夜も同じなんです。
これに確実な回避策はなく「自分が、今、これから進む方向がクリアである事を確認しない限りアクセルを開けない」事を厳守して運転するしかありません。
あと昼と夜で変わってくるのは、視界の狭さだけではなく「質感」もです。路面の凹凸がクッキリ現れ、乾燥した路面はより明るく濡れた路面はより暗くなる。ようはコントラストが極端になるワケですが、そのぶん微妙な違いが分かりにくくなります。例えば路面に砂が浮いていても分かりにくくなったり。これは意識しておくべきでしょう。
【第三者・対向車との接触】
どんなに山奥でも公道である以上、他のクルマや単車自転車は通りますし、人が歩いている事もあります。
第三者が絡むトラブルは警察を呼ばねばなりません。これは大変な時間のロスになりその日の予定が白紙になります。ましてや負傷したりされたりすると生命の危機に直結します。
夜であれば対向車側もヘッドライトは点いています。そのためかなり離れた場所からでも接近を察知する事じたいは昼間より簡単ですが、反面、至近距離ではヘッドライト光源しか見えなくなり、対向車体そのものが判別しにくい場合があります。接近を感知したらすみやかに道幅の広い所で待機しましょう。
自転車・歩行者と夜間に遭遇する事は稀ですが皆無ではありません。そして事前に察知することがほぼ不可能です。これは先に書いた自損・転倒トラブルで注意する事と同じ「自分が、今、これから進む方向がクリアである事を確認しない限りアクセルを開けない」ことです。
【動物との接触】
先に書いた3つは好きで山道を走っている人であれば経験を積んでトラブル回避率を上げていく事ができるでしょう。
しかし動物相手ではそうはいきません。
タヌキなど小動物の場合、こちらが接近すればたいてい一目散に逃げてくれるので危険度はそれほど高くありません。でもウリボーは全く予測のつかない動きをしますが。
そしてシカくらいの大きい動物になれば、飛び出してくることも、あるいは目前まで接近しないと動じないこともあります。型にはまった挙動はしてくれません。
今回の夜ツ―リングもシカにギリギリまで接近して私が気付かなった場面がありました。
あと大型動物の中には攻撃的な雰囲気を出している個体がいます。かなり緊張しますが、刺激しなければどこかに行ってくれます。
以上これまで書いたのはあくまでも「進行方向前方に動物が出現した場合」ですが、実際は「真横から出現する場合」もあります。この場合、ぶっちゃけ運のハナシかもしれません。
これら動物との衝突を回避できる確率を上げるにはとにかくスピードをおさえるしかありません。
普段なら60km/h出せるところを55km/hにする、そんな程度でもかまいません。これを意識するかしないかでそうとう違うんですよ。
なんだかんだで私は今まで動物に当たった事はないのですが、単なる幸運に過ぎなかったと考えています。
(おわり)