スクーターの駆動系=プーリーやクラッチを脱着するのに、世間一般常識では下の画像のようなホルダーを使う事になっています。

(ユニバーサルホルダー)

 

 

(プーリーホルダー)

 

 

スク―ターを自分でいじる人なら必須と言っていい特殊工具で、これらを使わないと、プーリーやクラッチのセンターロックナットを緩めたり締めたりすることができません。

ところがこの工具、個人的に言わせれば欠陥とは言わないまでも不完全な工具でして、私も原付小僧時代に使っていましたがとにかく苦労した思い出しかないです。

この工具どちらも根本的に全長が短いうえ「手で」ホールドするデザインになっています。

見たままで解釈すると「片手でこれを保持しながら、もう片方の手でラチェットなどを持ってセンターロックナットを回す」格好になりますね。

実際に作業した人なら分かると思うんですけど、なんとか緩める事はできても、締めるにはイマイチ力が出し切れなかったりとかしませんでしたか?またはその逆とか。利き手の違いなんですけどね。

ようは上記の工具は純粋な「腕力と背筋力だけ」でしか使えないんです。センターロックナットの大トルクを扱うのに、ですよ?
 

現実にそんな剛腕の持ち主はそう多くありません。

ですからたいていの人は、場当たり的にホルダーの端を地面に当てたり、車体のどこかに引っ掛けたりして(足を使う人もいる)センターロックナットを回していたハズです。


先に書いた「苦労した思い出」というのはこの場面です。

本来は手で握ってホールドするべきものを、適当な場所に引っ掛けて固定するってのはとてつもなく不安定な状態であるワケです。しかもその不安定な状態のものに対して渾身の力を込めるのですからそりゃもうね、スッポ抜ける予感しかしませんでした。で、実際それをやってもんのすげえ痛いメに遭った思い出があります。

原付でさえそうだったんですから、250ccスクーターのロックナットなんか(同じ工具を使うのであれば)私には絶対に手に負えないのは最初から分かっていました。


そこで既存の工具に頼らずに、自作加工でスッポ抜けない工具や方法を編み出したので紹介しませう。







プーリーホルダー。

先代のマジェスティ5SJから使っている自作品です。



木造住宅に使う3.2mm厚の金物をベースに、キリトリと穴あけをしてボルトナットを取り付けたモノで、実際使っていると剛性が足りなかったため、最近になって細い部分に1mm厚の金物を重ねて補強しています。


実際の作業風景


センターナットを締めています。



センターナットを緩めています。

 

缶や木片を敷いているのはセンタースタンドの干渉を避けると同時に、ホルダー角度を水平よりに(できれば45度より浅い角度)に調整しているんです。ホルダー端を地面で受けている状態で角度が立ちすぎているとナットを回す反力で車体が浮いてしまうんですよ。センタースタンドを立てるのと同じ原理ですな。


この自作金具はプーリー側のボルト径とピッチ(穴あけ)を変更して5SJと4D9両方に使用できるようにしています。特に何か保持してなくてもスッポ抜けることはありません。体重を掛けたり延長パイプを使うのも安心してできます。

 

 

(いちおう続く予定)