ブレーキパッドに続いて、フロントスプロケットも交換しました。


フロントスプロケットはムチャクチャ硬い材質で造られており簡単には摩耗しないものですが、ゆえに目視で「ん?ちょっと減った?」レベルになる頃には実は寿命が近づいており、以降急速に摩耗が進行します(ような気がする)。

しかも普段はカバーに隠れていて、点検しない限り見えないものなので、結果として「気づいた時にはビックリするほど摩耗してた」りします。

(前回交換2019/04/末 ODO:約5万4千km)

(今回交換2024/01/02 ODO:126,354km)







フロントスプロケットを外すためにカバーを取ります。いっけん異常ないように見えますが歯がしこたま摩耗しています。


見ての通りルブまみれ。私はチェーンメンテにKUREスーパーチェーンルブを使用しています。その性能には文句ありませんが代償としてこうなります。たまには(1,000~2,000km毎)掃除しているんですけどね。これだけ見ればチェーンメンテ不要論の人の気持ちが1㍈くらいは分からないでもないです。


YZF-R25/3のフロントスプロケットはセンターナット方式で固定されており、ナットの規格は対辺29mmの六角です。


自分で単車のメンテを長年やっている人なら「特定車種の特定部位にしか絶対に使用しない工具」というものをいくつか持っていると思うのですが、この29mmソケットもまさにソレ。この場面だけでしか使えません。


スプロケットを外しました。ここのナットには凄まじいトルクが掛かっており、締めたり緩めたりするには①チェーン装着状態で②車体に跨って③右足でリヤブレーキをチカライッパイ踏んだまま④ソケットを回す。…という曲芸じみた作業が要求されます。


ココでインパクトレンチを使う人もいるようですが、プロが「分かっていて」使うのならまだしも、素人が安易にインパクト使うのはオススメできません。あとこれでも軽く掃除したんですが私はシャフトシール近辺にクリーナーの類いを直接吹き付ける事は絶対にしませんのでこれ以上キレイにはなりません。


使用前使用後。右が新品です。両方とも純正部品ではなくてSUNSTARの325-14です。


こうやって並べてみるとそうとうに摩耗しているのが分かりますよね。まあ7万km以上ですからムリもない。ちなみに純正部品だとラバーが貼られていてチェーンノイズがそうとう抑えられています。チェーンノイズがどうしても耳に障る人は純正部品を使いましょう。


フロントスプロケットの「裏側」つまり右側面は取り外さない限り見えないのですが、外してびっくり。


側面で当たっていた跡がありました。チェーンの内プレートのアタリが強いんです。この原因はチェーンラインが少し狂っている(リヤスプロケットが左に寄っている)か、リヤホイールが斜めに装着されているかでしょう。でも確か前回交換の時には全く気づかなかったので、おそらくはワイドホイールに換装してからではないかと。ベアリングピッチが少しだけ広いんではないでしょうか。ならばリヤホイールのディスタンスカラーを純正品に入れ替えれば解消すると思います。まあそのうちね。


新しいスプロケを取り付け、チェーン張り調整をします。


このナットには緩み止め機能が全くないので、一度走行して負荷を掛けたあと増し締めが絶対必要です。ここが緩んだまま走っているYZF-R25/3は意外に多いと思いますよ?まあかくいう私も緩んだまま数万km走っていたことあるんですけど。


この作業のついでにリヤサスも外して清掃とグリスアップやります。


YZF-R25/3のリヤサスは上部がラバーリジット、下部がメタル+カラー、リンク機構なし。実用車そのものの究極シンプル構造で、ゆえに下部カラーの手入れ如何でフィーリングが激変します。


下部カラーを抜いた状態。


ベアリングなんぞ使われておりません。中の溝にグリスが充填されているだけなのですが、それすら距離を走るにしたがい少しずつ漏出してグリス切れに至ります。できれば1万km以内でメンテしたいところ。


リヤサス上部。カラーは固定されており、回転モーメントはラバーがねじれる事で吸収します。つまり長く乗っていると確実に「へたる」構造です。


私のはスプリング上部にスラストベアリングを追加しています。ほんとはココも完全にバラして清掃したいところですが、そうとう面倒なのでチェーンルブを少量吹いた注油追加だけやりました。チェーンルブは「粘度が高いだけのオイル」だと思われがちですが「粘度が高いけど浸透性が抜群に良い」という特徴があるので、意外といろんな場所に応用が利きます。


フロントスプロケットカバー裏側の清掃もします。


すんげえギトギトですが、放置してもまあ…実害はないです。ただしあまりにも放置しすぎてチェーンとの隙間が埋まるレベルになると、このギットギトのオイル塊が回転中のチェーンに弾き飛ばされていくので4ストなのにリヤがオイルまみれになってしまうんですね。たまには清掃しませう。


最後にチェーンおよびスイングアームやフレームを清掃して終了。


チェーン4万km超えてるし、シールOリングの硬化も始まってきたみたいだし、ハブダンパーへたってきているしで、一式替えてやりたいです。







ところで。
シールチェーンを使っているのにも関わらず2万km程度でチェーンが伸びたり、スプロケットがギザギザになってる人がたまにいますが、ほぼ間違いなくチェーンの張り過ぎです。


おそらくマニュアルの「たるみ量」を神経質になって合わせてるからだと思うんですが、アレだけではぶっちゃけ全然アテになりません。


チェーン張り調整で一番良いのはリヤホイールがフルボトムの状態(現代の単車の場合)で作業することですが現実には不可能なので、少なくとも車体条件が厳密に設定されていないとダメです。例えば最低でもメンテナンススタンドを使ってガソリンタンクは満タンにしておくとかね。


まあ実際はそんな細かいこと考えなくてもアバウトに「ちょっと緩めかな」であればコト足ります。私のはサイドスタンド+リヤホイール接地状態でチェーンをスイングアームに当てながらアジャストナットを締めていき、チェーンにテンションが掛かり始まるポイントでたるみ量を決めています。