さてみなさん。

 

「単車のホイールからブレーキディスクを外さねばならぬ時」

 

ってどんな時デスカ?
そんなのブレーキディスクを交換する時以外にないですよね。ふつうは。



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私のマジェスティ4D9のフロントブレーキディスクは、純正で267φのところを310φにまで大径化してあります。


リム径13inchのホイールに12inch以上のディスクをブチこんでいるワケですから、そらもうパツパツですわ。キャリパーとホイールリムとのクリアランスは最狭部で2mm以下とゆーね。
(A;´・ω・)


ブレーキ関連でこういうイレギュラーなセッティングをしていてタダで済むはずはなく、走行は支障なくてもメンテには支障が生じています。

例えば、外径375φの超大径ディスクをリムマウントしているBUELLの場合、フロントブレーキシステムまるごと車体から外さないとブレーキパッド交換すら出来ないと聞きますね。

その点、私のマジェスティは一般的なハブマウントのディスクなので、プレーキパッドの交換はキャリパーを外さなくても問題なく可能です。
…パッド交換だけは。


それ以外のメンテは非常に難儀する仕様なのです。
何が難儀するのかと言いますと、クリアランスが少なすぎるせいで「キャリパーがホイールリムとブレーキディスクに挟まれて抜けない」のです。
文章だけではちょっと分かりにくいかも知れませんが、まあ「物理的に絶対に外れない設計ミスの知恵の輪」みたいなものだと思ってください。

すなわちホイールを外す必要のあるメンテをするならば、何よりも先にブレーキディスクをホイールから外さないと以降全ての作業が不可能ということなんす。

むろんこの仕様を組んだ時点で問題は全て把握しておりましたが、実際にその場面はやってきませんでした。あれからタイヤ交換すらやってないんで。







そして1年経過。


そろそろタイヤ交換はしなきゃな…と考つつも、その前にマジェスティのフロントサス整備だけでもやっておこうかと思い立ったんです。タイヤは買わない限り手元に来ませんが、ベアリングだのフォークオイルだのは在庫あるんで。やる気と時間の問題だけで掛かれます。



とうぜんブレーキディスクを外しにかかりました。そして、あっけなくボルト穴を舐めてしまいました。

6本中3本も逝ってしまった…
ぴんちゃんは刻の涙を見ました。

しかも。
運よく緩んだ3本ですら、たった4mmの六角レンチに、なんと延長パイプ40cm(!!??)を挿しこんで回し、ようやくバキッ!って緩んだくらいなので、まあムチャクチャですわ。

ただ、カタかったのは最初に回る“瞬間”だけで、あとはスルスル回ったんですよ。抜けたネジもサビや褪色など無く非常にキレイでした。

つまり固着ではなくて皿ネジ頭のテーパー部分の締結力(≒摩擦)が異常なほど効いていて、その必要トルクに対してボルト側の六角穴がショボくて舐めてしまったのですね。
※一般的なM6キャップボルトの六角穴は二面幅5mm×深さ3mm。対して今回のM6皿ビスの六角穴は二面幅4mm×深さ2.5mm。

と、見かけの原因は分かったんですが、問題はそこではありませぬ。
そもそも、なんでそこまでの締結力が掛かっていたのか。それが全く分からんのですよ!

 

だってこのボルトM6なのに…

そう、たかがM6なんやで!
だいたいやな、ディスク取り付ける時点でこぉんなアホなトルクで締めた覚えなんかコレッポチもないんですわ。4mmの六角レンチを、素手で、親指始点に中指と薬指の力だけで締めたんでっせ?馬鹿力入れたくても入れられへんっちゅーねん。

…てなモヤモヤが消えませんが、とにかくボルトは抜かなきゃなんない。それには締結力を抜いてやらないとムリ。ここまでカタくてはどんな特殊工具使っても(持ってないケド)虚しくボルトをエグるだけですよ。

>頭飛ばすしかないよね~
>でも皿ビスだから残りのネジ部は完全に埋まっちゃうけどね~


今回の場合は、あらかじめエキストラクタ―用の下穴を掘ってから

 

φ6のキリでボルト頭を飛ばし、

 

最後に埋まっているネジをサルベージしました。

クロモリ相手だから普通の鉄キリでは瞬殺されます。そのためわざわざハガネ用のキリを買ってきました。それでもまともに掘れたのは2本目まででしたが。



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…ヒデェ目に遭いましたわい。

しかもこれで終わりではないとゆーね。
今回はなんとかしのげたものの、元通り組み直せば次のメンテで、また同じ目に遭う事はもう火を見るより明らかだもの。いくら私でも、分かってて毎回毎回こんな苦労をするのはマッピラゴメンですわ。

固着するたびに新品のキリ買うのもアホやし。

であるからして、六角穴の皿ネジとはオサラバする事にしました。
ようは、低頭じゃないキャップボルトか一般の六角ボルトを使うって事です。それなら正規サイズの工具が正規の方法で使えるので舐める心配はほとんどなくなります。

ところがそれにはひとつ問題が。

現在使用中のディスクはDR-Z400用ディスクなので皿ネジ仕様です。


もちろんボルト孔にテーパーのザグリが入っています。


当然、この形状に普通のボルトをそのまま使う事はできません。


ムリヤリねじ込めば固定はできますけどね…ズッタズタなるわ。

これを解決する最も簡単な策は、ザグリ径を完全に覆い隠す大径ワッシャを併用する事です。


これで一応カタチにはなるんですが、繰り返しブレーキの負荷が掛かると間違いなく緩んでくるでしょうね。

ん~ダメです。


理想的なのは「六角頭でテーパーのボルト(もしくはスタッドボルト+テーパーナットでも可)」なんですけどねえ。自動車のホイールナットみたいな形状。


しかしこの形状のM6ボルトは存在しません。いや私が見つけられないだけかもしれませんが、仮に存在するとしても特殊だから容易に手に入らないと思われます。ブレーキディスクに使うボルトは原則として使い捨てなので、いつも何度でも簡単に入手できるモノでないと困るのです。
♪呼んでいる~夢~の~


他になんかイイモノないかなあと、いろいろ悩みながら調べていると、モノタロウで「球面ワッシャー」なるものを見つけました。


コレ本来は凹凸のセットで使ってボルト軸のわずかな傾き誤差を吸収するためのものですが、これのM6凸形状のやつを使って皿ビス用のザグリに埋めれば、ムリなくボルトを固定させる事ができるんではないでしょーか。


安いものでも1枚二百円以上はしますが迷いなく導入しました。







とまあ色々やって無事ボルトを入れ替える事ができました。


これでやっと次から安心してメンテの予定が立てられる…。
※ボルトを舐めたのは1月の初旬、対策を練ってモノを揃えたりして解決したのは先週の日曜日だからね。


低頭ボルトではありませんが、フォークアウターとのクリアランスは充分あります。


球面ワッシャーがディスク外面よりも少し沈んでいるので、全高のあるキャップボルトを使っても2mm以上空いています。


今回、ディスクローター取付のボルトはステンキャップボルトを使っていますが、いちおう事前にホイール側のボルト孔の深さを調べ、クロモリのボルト(SCM435)をちゃんと用意してたんですよ。でもイザねじ込んだらば全然長すぎて挿さらなかったんです。仕方なく在庫のステンボルトを使いました。もうバラしちゃったしとりあえず固定しないと走れないじゃん?
この失敗の原因は、ホイールのボルト孔深さの6~7割しかタップが切られてなかったのに気付かなかったためでして…冷静に考えればアタリマエですね。後日に適正長さのクロモリボルトに交換します。

 

 

 

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余談:
「ブレーキ廻りにステンレスボルトは使っちゃダメ」とはよく言われる事です。実際に純正でステンレスボルトは使われていません。これは主に強度や耐衝撃性の問題だと思うんで「向いてない」のは確実でしょう。


じゃあステンレスボルトを使ったらイキナリ不具合が起きるほどに危険なのか?ってゆーと、そんな事はありませんよね。


それに私もクロモリクロモリ言ってますが、強度があればイイってゆー考えも正しくないそうです。


まあそんなワケで私自身はステンレスボルトは使いたくないんだけども、他人にどうこう言うつもりまではないです。
 

個人的にステンレスボルトを使う事による最大の懸念は電蝕ですね。常用した結果、電蝕によってもしもボルトが固着してしまえば絶対私の手には負えません。いくら(最近ホトンド出番のない)スペアホイールまで持ってるとは言え、そんな理由でホイールをゴミにするなんて耐えられませんからね。


(おわり)