日本一高い場所へ〜最終章その2〜 | 内田政徳 夢うららブログ

日本一高い場所へ〜最終章その2〜

ジグザグ…ジグザグ…
本当に長い。

途方に暮れるという言葉を純粋に頭に思い浮かべたのは初めてだ。
でもあきらかに温度が上がっている。
それに空気も濃くなってきている。


頭痛も少しずつひいてきた気がした。
あんなに見下ろしていた街並みが少しずつ上がってきた気もする。

ただとにかく時間がない。
バスの最終時間までには間に合わなければ。


ただ相変わらず石ころや岩には顔がついているし、笑いかけてくる。
降りはじめてもう4時間くらいかな。

少しだけ景色が変わってきた。
ジグザグにプラスαが現れ始めた。

ジグザグ小屋ジグザグみたいな。
ただのジグザグではなくなってきた。

これは地上は近いかもしれない!!

地図を見た限りでは13ジグザグが終わって少し歩けばバス乗り場のはず!
よし…帰れるかもしれない!

この辺でやっとぼくは
「あぁ…死なずに済むんだ」
と思えた。

これも力尽きた山田さんとがんばってひっぱってくれた田実さんのおかげだ。


そうこうしてるうちについに13ジグザグが終わった。
本当にこのときの喜びはハンパなかった。

よし、もう少しだ。
時間もわりと余裕がある。
そう思いながら残りの山道を進む。
もう楽勝だろう。

この辺から御来光目的だろう若者たちとすれ違い始める。
あれだけ孤独な暗闇を何時間も歩いて来たぼくらにとって「人とすれ違う」ということはものすごく心強いものだった。

しかもすれ違う子たちはみんな
「こんばんは」と声をかけてくれる。
おぉ。
生還したんだな。

若者「こんばんはー!!」

内田「うぅぁはぁ…」

なんとか挨拶を返す。


よし、この調子でバス停まで急ぐぞ!
調子は良い!
がしかし…

楽勝だろうと思ったジグザグ以降の道はまた険しかった。
長い…ゴールがまるで見えない。
補強しかけの道や落とし穴。
トラップの連続だった。

でも山の中から街の居酒屋さんが見えた。
あぁ…下山したら3人で行きたかったなぁ。

そうこうしているうちに少しずつ見覚えのある道が見えてきた。
あ…登り始めに通った道だ。

今の状態の体調、シチュエーション、山田ロスの精神状態では行きには笑って通ったこの道が辛い。
少しずつ足も動かなくなってきた。

が、ここで有無を言わさず田実さんがラストスパートをかける。
一気に内田を突き放す。

た、たじつさん…ぼく…そのペース無理っす…
どんどん田実さんが見えなくなっていく。

まさか…今回の登山では山田さんだけではなく内田までも力尽きるのか…

「死んでたまるか!」
必死に追いかけた。

たまにすれ違う軽装の若者。

若者A「けっこう山!って感じの道とかあるのかなー?」

若者B「いや、大丈夫っしょ」


!!!!!!!!!

何を舐めたことを言ってやがる!この阿呆が!

「山を舐めるな!!!!」と心の中で叫ぼうと思ったら


若者AB「こんばんはー!」

内田「あ、うぅぁはぁ…」


そうだそうだ。
でもこんなこと言えないんだ。

ぼくも登山グッズを買いに行ったときに…

~靴屋~

内田「富士登山1回なんで…安くて疲れない靴ください」

靴屋さん「はっ?富士山登るんですよね?気楽に登れると思ってんすか?」

と山を舐めんな!ばりに怒られ…


~アウトドアショップ~

内田「日帰りで帰るんで小さくて一番安いリュックサックください」

リュック担当「はっ?富士山登るんですよね?最低限の荷物とか考えてるんすか?」

と山を舐めんな!ばりに怒られ…


散々怒られたんだった。
買い物してあんなにへこんだのは初めてだったもんな。

でもお天気も落ち着いたし。
これから登る子たちは楽しく登れると良いな。

もう田実さんも見えないや。
でもたぶんぼくも最終のバスの時間には間に合いそうだ。

おぉ!!!
五合目のバス乗り場が見えてきた!

田実さんがチョコマカしてる!


内田「田実さん!」

田実さん「先についてバスを止めて内田さんを待とうと思って急いできました!」

内田「(泣)」

田実さん「でもバスがいないんです」

時刻は最終バスの10分前。
まさか行っちゃったのかな…?

仕方ない。

内田「田実さん、とにかくちょっとバス乗り場で休みましょう」

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登り始めの山田さん…


続く…