日本一高い場所へ〜その6〜 | 内田政徳 夢うららブログ

日本一高い場所へ〜その6〜

な、なんてことだ(汗)
やっぱり人は素直な気持ちを相手に伝えなくちゃだめだ。

相手を気づかう。
これはすごく大事だけど、我慢してまで気づかうのは日本人の悪い癖だ。

なぜ今「無理です。降りましょう」が言えなかったんだ。
内田のバカ。すごくバカ。

もう山田さんは先頭で登り始めてしまった。
あぁ…数秒前の内田のバカ。

雪はやまないし。
グローブをしているのに指先がもう凍傷になってるんじゃないか?
と思うくらいに冷えて痛い。
この時点で「もう二度とギターは弾けなくなる」と思った。

寒いよ。頭痛いよ。苦しいよ。
サングラスの下は涙。

でもあと少し。本当にあと少し。
頂上は見えている。
見えているのに…頂上も一緒に前に進んでいるんじゃないかと思うくらい先に進まない。

途中岩場で崖っぽくなっているところでおばちゃんが岩にしがみついていた。
「落ちる!もう登れない!!ぎゃぁあ!」

おばちゃん。それたぶん大丈夫だよ。
でももしも下に落ちてきたら内田を巻き込むよ。
おばちゃんは助かるけどぼくは落ちるよ。
カーリングになるよ。

はぁ…
はぁ…

しばらく歩くともう我々3人以外に頂上を目指している人はいなくなっていた。
もう時間も遅いし、この雪だからね。

眠い。
とてつもなく眠い。

まさかこれがあの有名な…
「雪山で眠くなる」ってやつか(汗)
本当に眠くなるんだ(汗)

やばい。すぐにでも眠りたいくらい。
でも確かこれは寝たら死ぬやつだ。

山田さんと田実さんは眠くないのかな?
それを聞く力はもうない。

あまりの眠さに何度も杖を落としてしまう。
鳥居を超えて…最後の山小屋を超えて…
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見えてる。頂上がもう見えてる。
記憶がもうこの辺から曖昧なんです。
飛び飛びでまるで覚えていない…(忘)

あぁ…頂上かも。
山田さん「ついたけん!3人で同時に頂上の1歩踏むけん!」

おぉ…着いたか。
せーの…ちょこん。
力のない1歩しか出来なかったけどゴール。

ここが頂上。
日本で一番高い場所。

山に登る前日
「頂上で裸で写メ撮ってくるよー」
なんて友達に言ってきた内田。

手・袋・す・ら・脱・ぎ・た・く・な・い…

もうどうしたらいいのかわからなくなっている。
パニック。まさにパニック。
体が爆発しそう。
はじけ飛びそうなツボミになったみたい。

パーンしちゃう…もうすぐ内田パーンしちゃう(泣)(泣)(泣)
心の中でこんなふうに思っていた。

あぁ…涙が。

!!!!!
自販機だ!!!!

内田の心の声…
ホットください!!!
お願いですホット!!!!
やったーラッキー!!

しかし実際は…

内田「タジツサン…アトデ…オカネカエスンデ…ナンデモイインデ…アッタカイノクダサイ…スグニ」

完全に内田は死亡していた。
田実さんがココアを買ってくれた。

あちい…手が壊れそうなくらいにあちい(HOT)
一気飲み。あんなアツアツのココアの一気飲みをしたのは人生で初めて。

頂上で少し休憩。
何せ登ってきたからには降らなければいけない。
これからがまだ勝負なわけだ。

山田さんと田実さんは降り用の装備の準備をしている。
山田さんの買ってくれたトレッキングスパッツを履いたり、ヘッドライトをつけたり。

内田…装備チェンジの気力なし。
無装備。

もうリュックをおろしてあけるのも無理と判断(底)
でもそんな姿を2人には見られたくないのでトイレに避難。

2人の準備が終わるまでトイレに隠れて泣いていました。
あぁ…かつてこんな過酷な試練があっただろうか。

そこに準備を終えた2人が。

山田さん「あとほんの数メートルだけ登れるとこがあるけん。そこが本当の頂上やけん。行っとく?」

内田「いえ、大丈夫です」

即答の内田。これからは正直に生きることを決意。

山田さん「火口の前で写真撮ろう」
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生きた死体のような内田


山田さん「もうちょい先までのぞいてみる?」

内田「いえ、大丈夫です」

即答の内田。正直に生きている。

だめだ。もうしゃべれない。
早く。
とにかく早く降らなければ。
ぼくは無装備のまま降りを急いだ。

富士山には降り専用の楽々ルートがあるのをぼくは知っていた。
帰りはわりとすんなり行くだろ。
そう思っていたのだけど。

まさかこの先もあんなことになるとは。


続く…