はるへおとつれ よしのやま
かすみたなひき いろにほふ
さくらわけこえ ありもせぬ
ゆめちゐてねん うそゑむを

春方訪れ 吉野山
霞棚引き 色匂ふ
桜分け越え 有りもせぬ
夢路居て念 うそ笑むを

解説

春方(はるべ)は「春のころ。春。」、吉野山は「奈良県中部、大峰山脈北端の尾根の称。南朝の所在地で史跡に富み、また金峰山寺(きんぶせんじ)(蔵王堂)があり、修験道の根拠地。桜の名所で、平安中期から寄進により植えられた。平成16年(2004)‘紀伊山地の霊場と参詣道’の一部として世界遺産(文化遺産)に登録された。」、夢路(ゆめぢ)は「夢を見ること。また、夢。」「夢の中で行き来すること。また、その道。」、居るは「人や動物が、ある場所に存在する。」「動かないでいる。じっとしている。とまる。」、念は「思い。気持ち」「かねての望み。念願。」「非常に短い時間。一念。刹那。」、うそ笑む(うそゑむ)は「少し笑う。ほほえむ。」、をは「感動・詠嘆・強調を表す。…(だ)なあ。…ね。…よ。」の意味です。

余談

この歌は「大神 五重之音調」の中にある「サクヤ姫のテーマ」~「花咲谷」を聴きながら、それをモチーフに書いた歌です。

雑感

ちと時期が早いので、途中までのものを取っておいたのだが、書ける時に書いておこうと思い完成させたものです。

意訳

春が訪れた吉野山には霞が棚引き、(桜花の)色も美しく映えている。その桜を分け進み、越えて行くと、有りもしない夢路の中に自分が居て、瞬間(そのあまりの美しさに)何もかもが止まって、(思わずこの私も)微笑んでいるよ。