イ・ウンジュさん主演作『オー!マイDJ』を見て
イ・ウンジュさんが亡くなってちょうど1週間。日本国内でも当初は韓国人気女優の自殺ということで騒然としていたが、最近は落ちつきを取り戻している。しかし韓国国内では今なお彼女の死の原因についての報道が多くあるそうだ。この前ツタヤに行ったとき、彼女の追悼コーナーが出来ていてそこで『オー!マイDJ』を見つけた。本当は今彼女の姿を映画という形であれ、見ることはつらいな~と思ってたんだけど、死の原因について色々な憶測が飛んでいた中で、彼女が本当に輝いていた姿を見てあらためて追悼したいという思いから借りてみた。話の内容は子供頃にUFOを通じて世の中をたった一度だけ見たことがある先天的視覚障害を持つギョンウ(イ・ウンジュ)。彼女は失恋の痛手を癒すためUFOが出現したというクッパバルという所に引っ越する。相談所で働くギョンウは毎晩クッパバル行終車バスに乗って帰るが、そのバスにはいつも失恋の痛みを訴えるメッセージとこれをやさしく慰めるラジオ放送「パク・サンヒョンとティティパンパン」が流れる。運転手はサンヒョン(イ・ボムス)。じつはこの番組は本物ではなく、サンヒョンが夜な夜な録音しているオリジナル番組だった……。ある日街で彼女と偶然出会ったサンヒョンは、彼女に名前も職業も偽ってしまう。そして思わずついてしまった馬鹿な嘘が彼女にばれないよう、サンヒョンの四苦八苦の二重生活が始まるという感じです。
ラブコメディということでギョンウ(イ・ウンジュ)とサンヒョン(イ・ボムス)のやり取りが面白かったです。普通主人公が盲目の場合、暗い話になりがちだったりちょっと目が見えないことで見ている人の涙を誘うようなつくりになっていることが多かったりしますが、この映画は盲目というところを逆にいかして、物語の面白さをうまく引き出してると思いました。サンヒョン役のイ・ボムスさん私はあまり知らなかったのですが、韓国では中堅の俳優で演劇やテレビ・ドラマで名を馳せてから、華麗にスクリーン・デビューする俳優が多い昨今の韓国映画界にあって、12年の長きにわたって端役、助演、主演と着実にステップアップしてきた、たたきあげの苦労人。端役であってもその存在感はピカイチで、各作品ごとになくてはならない配役を独特の雰囲気で演じる個性派男優。一言で言って「何をやらせてもウマイ俳優」だそうです。イ・ウンジュさんとは『バンジージャンプする』でも共演しているようです。そしてイ・ウンジュさん先天的視覚障害という難しい役ながら『この人本当に役じゃなく目が見えないんじゃないのかな』と思わせるぐらい本当に自然で、それでいてギョンウ(イ・ウンジュ)という障害を持ちながらも明るい性格で透明感があるという感じを見事に表現していました。あらためていい女優さんだったんだな~というのをかんじたのと同時にもう演技をしているところを見れないんだと思うと本当に残念です。亡くなられてからイ・ウンジュさんのことを色々と調べていたときに、私の大好きな香港のトニーレオンと雑誌『Vogue』で一緒に撮影しているのを見つけた。この写真を見ても一つの物語を見ているようなすばらしい表情をされていて演じることが本当に好きだったんだということがわかるような気がします。
役者は役に投影しすぎてしまって、自分自身がわからなくなるということを聞いたことがあります。まさしくイ・ウンジュさんもそのタイプだったのではと思う。役に入り込めば入り込むほど演じることが楽しくて、でもその反面自分が何者かわからなくなって孤独を抱え込み、その孤独を他者に打ち明けることができなかったんじゃないかな。亡くなった後彼女の遺作となった『スカーレット・レター』の撮影後にされたと思うインタビューで彼女は『今回の役を演じることは本当に精神的につらかった。でも今回の役を演じたことでこれからはどんな役でも演じることが出来るような気がする』そう答えている。これは彼女の本心だったと思う。彼女は本当に演じることに信念を持って前に進もうとしてたけど、少し疲れてしまって休もうとしたら永遠の休息になってしまったのではないかと思う。今回またイ・ウンジュさんのことを書こうと思ったかというと、この1週間彼女のことについての報道がたくさんされたけど、故人を傷つけるような報道も多く、憤りを感じていた。彼女が亡くなってしまったことは変えようがないけど、彼女が最後までがんばったことと、すばらしい演技を残してくれたことだけは忘れないで欲しい。ただの1ファンだけどそのことをよく理解して報道して欲しいなと思う。本当にイ・ウンジュさんお疲れ様でした。今はただ安らかに眠ってください。
トニーレオンとのVogueでの写真
http://vogue.co.kr/inmagazine/index.asp?menu=06&ins_no=63
タイトル: オー ! マイDJ