名曲百選(94)キャンパスの冬はいつも灰色・・叶わぬ夢や想いから生まれる寂しさや辛さ~浜田省吾 | 日々の生活(くらし)に音楽を♪

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この時期には珍しく雪が降った。
寒いのは大嫌いだが、冬の冷たいが凛とした空気や雪を見るのは嫌いではない。
雪は一晩で周りの景色を真っ白に一変させる。

真っ白い雪は、純粋で偽りのないもののように見える・・・。
そして、白一面に覆われた景色は美しさと共に一抹の寂しさも感じる。

私は何故か、寂しく切ない歌に惹き付けられます。

エリック・カルメンのバラードや浜田省吾の初期のバラードは、今でも私の心を打ちます。



大学生時代の思い出をもとに作られたこの歌は 『遠くへ』 と兄弟ソングと言っていいくらい近い内容の歌だと思います。
『遠くへ』 と同じように学生運動の影がこの歌の全体を覆い、歌い出しの歌詞の


キャンパスの冬は いつも灰色で

灰色という言葉に冬と同時に学生運動の影を感じますね。

どうしてあの娘は クラスにでてこない
あの時学生課で 見かけた以来

憧れてた 若き日々の
愛の暮し 春の陽射し 何も叶わす


想いを寄せていたあの娘がクラスに出てこなくなった喪失感。
そして、夢に描いていたキャンパス生活は叶わず、シビアな現実に直面し感じる無力感と挫折感。
色んな負の感情が、この歌全体を覆い、メロディとの相乗効果で、キャンパス生活の寂しさ辛さを際立たせています。
私はこの寂しさが、好きなんですよね
叶わない夢や愛というのは、1970年代の浜田省吾の多くのバラードに共通するテーマで、多くの名曲を生んでますね。
叶わない夢や愛から生まれる寂しさ辛さ切なさというのは、        誰れもが経験して心の奥にあるもので、そこを揺さぶり、共感を得るのだと思います。

しかし、どうしてこの時代の浜田省吾は、寂しさや切なさを        これほど聴く人の情感を揺さぶるような歌で見事に表現する事ができたのだろう。
おそらく、こういう歌は、浜田省吾が1970年代、ミュージシャンとして売れずに不遇の時代だったからこそ、書くことができた歌なのではないかと思います。
不遇という負の条件が、浜田省吾の作るメロディや歌詞に暗い影を落としていたのだと思います。
結果的にはそれが後に多くの人の心を打つことになるのですが。
1980年代から、浜田省吾のバラードは少しずつ変化していきます。

キャンパスの冬

キャンパスの冬は いつも灰色で
ゆうべの争いの跡が 雨に流れる
どうしてあの娘は クラスにでてこない
あの時学生課で 見かけた以来

憧れてた 若き日々の
愛の暮し 春の陽射し 何も叶わす
独りきりでこの街 さまよえば
今日も人に流されて 襟を立てるだけ


故郷ではおふくろが 指折り数えては
僕が卒業する日を 待ってるだろう
どこか寂しげな 面影のあの娘に
もう二度と会えない そんな気がする

僅かばかりの故郷の仕送りも
使い果し 今日もバイト 夜の工場
独りきりじゃこの街 辛すぎる
せめてあの娘に伝えたい 君が好きだと
君が好きだと



この歌は、浜田省吾の歌の中ではそれほど人気のあるほうではないと思いますが、私はとても好きです。
今回は、浜田省吾の 『キャンパスの冬』 をお届けいたしました。