京都橘のドラムメジャー | "楽音楽"の日々

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音楽、映画を中心にしたエンタテインメント全般についての思い入れと、日々の雑感を綴っていきます。

記録にも記憶にも残る猛暑だったこの夏、よく飲んでいたのが、これ。

 

汗をかいた後に飲むのにピッタリでした。

そして、朝夕ちょっとだけ秋めいた空気になってきたところに登場したのが、季節限定のこれら。

秋に向けてコクのある味は、良く考えられた商品だと思ってます。

メーカーの商魂にしっかり乗っかって楽しんでいる私Apolloなのです。

 

 

 

さて、今回のテーマは、京都橘高校吹奏楽部のドラムメジャーについてです。

内容の構想を練っているところに、前顧問のSNSで112期のドラムメジャーの結婚が明らかにされました。めでたい限りです。我々京都橘ファンにとっては、彼女の姿は現役時代の動画でしか見ることができないので、時代の流れを痛感するとともに感慨深いものがあります。

彼女の頑張りと繊細さ、更に卓越したリーダーシップを垣間見ることができるドキュメンタリー「2015 Hearts Are One」をご覧ください。

 

 

何度見ても感動する極上のドキュメンタリーだと思います。

 

「ドラムメジャー」とは、中世ヨーロッパの軍楽隊を束ねる「鼓隊長」を意味します。つまり、バンドリーダーなのですね。様々なパレードやマーチングを見ていると、先頭に立って指揮している姿が目立っています。ちなみに、ドラムメジャーが持っている長い指揮棒は、「メジャーバトン」または「メイス」と呼ばれています。「メイス」とは、「棍棒」のことですね。中世においては、武器としての棍棒を指揮棒として使っていたのかもしれません。

 

京都橘のドラムメジャーは、この番組で語られているとおり、バンドをまとめるリーダーで、ひとりひとりに目を配ってサポートすることが主な職務です。従って、メンバーから信頼される人間性を持っていることが求められるのです。この番組を見る限り、彼女は卓越したドラムメジャーであったことは間違いありません。

 

 

京都橘のドラムメジャーは歴代全て素晴らしかったと語られてはいますが、映像として残っているものしか一般の人は見ることができません。そういうことで、ドラムメジャーの活躍が初めて注目されたのが、2011年のことです。

日本テレビ系の番組「笑ってコラえて!」のひとつのコーナー「マーチングの旅」で一年間(実質、半年ですが。)密着されました。そこで後に「伝説のドラムメジャー」と呼ばれるようになったのが、この方。

 

 

番組においては、全員で目指していたマーチングコンテスト全国金賞を逃して涙にくれるところで終わっていました。けれども、この年度のハイライトは、その後にやって来るのでした。2012年1月2日にアメリカ・カリフォルニア州で開催されたローズ・パレードに、初めて参加したのです。彼女とメンバー全員の弾ける笑顔は、この期の最大の勲章だったと思えるのです。

日本のバンドをローズ・パレードへ送り込んでいるのは、Green Band Association(略称GBA)という団体です。そのGBA公式のチャンネルから、ダイジェストをご覧ください。

 

 

世界へ京都橘ファンを増やした貴重なイヴェントでした。

ところで、「笑ってコラえて!」では、次の年も京都橘を継続して密着取材していて、前年度からの引き継ぎの様子もありました。ところが、その間にあったはずのローズ・パレードについては全く触れられていませんでした。私は、そのことがずっと不思議でなりませんでした。けれども、その謎がつい最近解けました。GBAの主宰者であるMICHINOKUGORO氏は、旧twitterにアカウントを持っておられて私も以前からフォローしています。そこで突然語られたことは、今まで聞いたことのない衝撃の事実でした。MICHINOKUGORO氏の偶然の出会いから「マーチングの旅」が始まり、そのコーナーの人気から打切りも囁かれていた番組も現在まで存続していること。更に、経営難から廃校の予定もあった京都橘が、吹奏楽部の人気のおかげで生徒数も増えて現在の隆盛を誇っていること。そのいずれもが、今まで全く表に出ていない情報でした。番組の予算がなかったので、アメリカまで追っかける余裕がなかったんですね。また、番組内で部員が発言していた「ウチの学校は、金がないんですよ。」の理由も判明。そりゃあ廃校への流れの中で、楽器を新しくする予算なんて出るはずもないですもんね。

ということで、京都橘の歴史にちゃんと残しておかなきゃいけない事実は、MICHINOKUGORO氏をフォローすれば読めますが、どなたかきちんと残していただけないでしょうか?京都橘のファンはもちろん、京都橘に関わる全ての人が知っておくべきことだと思うのです。アーカイヴに残すことに熱心なアメリカのサイトunofficialfanblogさん、如何でしょうか?

 

 

 

 

閑話休題。

京都橘を追っかけていると、マーチングバンドのドラムメジャーは、どこでも京都橘のような職務をこなしているものと思ってしまいます。

他の学校の部活動の様子は、なかなか知ることができません。それでもたまにテレビ番組や動画サイトで見る機会があるのですが、どうやら京都橘は特殊だということに気が付きました。

マーチングの大会へ向けての練習が始まる時期に、オーディションでドラムメジャーを選ぶ様子もテレビ番組で見ました。そうすると、ドラムメジャーは単なる「パフォーマーのひとり」としての立ち位置になります。まぁ、時代の流れでそのような形になるのも仕方ないとも思います。バンドを指導するドラムメジャーは、絶滅の危機に瀕しているようです。

年間を通してパレードやマーチングを披露する機会が多い京都橘だからこそ、ドラムメジャーの役割が重要だということですね。

 

なかなか動画で見ることのできない京都橘のドラムメジャーの仕事ですが、たまにちらっと垣間見えることがあります。そんな動画をちょっとだけご紹介します。

 

まずは、2018年のローズ・パレードへ向けて早いピッチで仕上げている2017年の練習風景から。

 

 

本番では先頭に立っているので隊列を見ることができないドラムメジャーは、この動画では最後尾で全体の動きを細かくチェックしています。こんな様子は、他では見たことありません。きっと、これが日常なんだろうと思いますが。

新年度が始まったばかりの4月で、この仕上がり具合。この年度の活躍を予感させる見事なパフォーマンスです。

 

続いては、ファンの間で話題になった安斉かれんの「僕らは強くなれる。」への参加です。演奏もMVも見事な出来上がりだったのですが、4回に分けてアップされたメイキング・ドキュメンタリーが、実に見応えがあります。

 

 

マーチングのことを知らないはずの、プロのスタッフと振付師。そんな彼らとバンドメンバーをつなぐ重要な役割をドラムメジャーが果たしています。以前にも書きましたが、京都橘は生徒がマーチングのフォーメーションの設計図であるコンテを描く、世界でも珍しいバンドです。この動画の中では、ドラムメジャーがコンテを描きながら振付師と打ち合わせしている様子が収められています。また、構成係やパートリーダーがうまく機能していて、気が付くとそこに顧問やコーチといった大人の姿はありません。京都橘の真の姿がそこにあります。

 

 

 

さてさて、本番のパフォーマンスを他の団体と見比べてみると、京都橘のドラムメジャーは歴代「地味」です。

メイスを回したりするパフォーマンスは、マーチング・コンテストのプログラムの中で少し見せてくれるほかは、定期演奏会で見れるくらいです。ファンとしてはそれで満足していたんですが、その流れを大きく変えたのが2022年のドラムメジャーでした。

台湾の国慶節をきっかけにして巻き起こったアイドル並みのブーム。そこに乗っかって、すぐに台湾のニュースショーが密着取材をしました。その中でドラムメジャー本人がインタビューに答えている内容は、普段聞く機会がないので貴重です。メイスを使ったパフォーマンスは、YouTubeを見て習得したと語っています。指導できるコーチがいないのでしょうけど、彼女のポテンシャルの高さに気が付いたコーチが自分で研究するようにアドヴァイスしたのかもしれません。

 

 

これまでに比べると遥かに華麗さを増したパフォーマンスは、彼女の努力の賜物だったのです。

この動画の中で紹介されている現ドラムメジャーは、偉大な先輩の職務のやり方と努力を身近に見ていたので、当然引き継いで更に発展させてくれることでしょう。

 

 

 

マーチング・コンテストは、最大の難関である関西大会を目前に控えています。ここを突破すれば、全国金賞は射程範囲に入ります。様々なイヴェントが目白押しで忙しい季節ですが、勲章としての全国金賞を獲得できるよう心から願っています。