海の中道は今日も風だった。 | "楽音楽"の日々

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音楽、映画を中心にしたエンタテインメント全般についての思い入れと、日々の雑感を綴っていきます。

私が初めての"生"京都橘を体験した博多どんたくのパレードの翌日、精華女子の招きに応じて海の中道海浜公園でのジョイント・コンサートが行われました。「子供の日」ですね。残念ながら、私は仕事のために行くことができませんでした。

 

国営公園「海の中道海浜公園」は、金印で名高い志賀島へ繋がる広大な砂州に整備された公園です。地形的には、京都の「天橋立」と同じような成り立ちです。玄界灘と静かな博多湾を隔てる役割を担っている地形です。

ここには、いろいろなアミューズメント施設があって、子供が小さい頃は私も足繁く通ったものです。このイヴェントが開催された大芝生公園はもちろん、夏場には福岡で最大級のサンシャイン・プールにも行きました。最も多かったのは、隣接する水族館「マリンワールド」でした。今や国内に数頭しかいないラッコが、たくさんいた頃ですね。遥か昔のハナシです。

私が海の中道に最後に行ったのは、娘の結婚披露宴が行われたホテルでしたねー(遠〜い目)。

 

いずれにしろとても素敵な場所なんですが、地形的な問題で強い風が吹いているのが当たり前なのです。風を遮る大きな建物もないし、背の高い森林があるわけでもないんです。ただ、10日ほど前の天気予報では、博多どんたくもこの日も絶望的だったので、開催できただけでも奇跡のようなものです。

ということで、信頼している撮影者の方々の数多くの動画を見ながらこの日のパフォーマンスを振り返ってみます。

 

 

まずは、京都橘にぴったりのロケーションを楽しめるパレードの様子です。st.taketoさん撮影によるワイドアングル・ヴァージョンをご覧下さい。

 

 

広角撮影ならではのパレード全体の動きと、背後に広がる美しい風景を両方楽しめます。また、近くから撮影できたおかげで、彼らの歌声もクリアに収録されています。さらに、プログラム全曲を楽しめるちょうど良い距離のルートでしたね。

私が体験した前日の博多どんたくパレードに比べると、はるかに素晴らしい出来でした。全体のまとまりが、実に見事です。

パレードの先頭でパフォーマンスするバナーは、いつものえんじ色を使っています。前日のどんたくでは大きいタイプを使っていたので、わざわざ2種類の旗を福岡まで持って来ていたんですね。彼らがバナーをどれだけ重視しているのかがわかる、万全の備えです。

 

まず、印象的だったのが、ドラムメジャーの笑顔です。

 

昨年度話題になったドラムメジャーも、最初の頃はなかなか笑顔が見えませんでした。夏の長崎ハウステンボスでのパレードあたりから、やっと自然な笑顔が出て来ました。彼女に比べると年度初頭からこの笑顔は、大いに期待できます。素晴らしい先輩を間近で見てきたからこその、自信と責任感がなせる技だと感じました。

それぞれの曲を個別に見ていくと、「American Patrol」は既に完成されているように思えます。こういった軽快なリズムの曲は、京都橘が最も得意にしているものです。決して重くならずに、自然に軽やかなリズムの取り方です。これは、きっと伝統なんでしょうね。

「低音フェチ」の私としては、「星に願いを」でのスーザフォンの音がクリアに収録されているのがとても嬉しいです。この曲は、「パレードで観客を感動させる」という前代未聞のナンバーになりそうな予感がしていて、これからブラッシュアップされていくのを楽しみにしています。

この動画で初めて発見したのですが、「Tristeza」のリズム・インのカウントは、マルチタムの部員が行なっています。多分、彼がパーカッション・チームのリーダーなのでしょう。

 

 

さて、良い天気になって野外コンサートにはぴったりの条件が揃ったかに思えましたが・・・最大の難関が待ち構えていました。

そう、海の中道名物の、強風です。

撮影者の皆さんを悩ませたのは、間違いありません。映像は綺麗でも、風切り音がひどくて見るに耐えない動画もたくさんありました。そんな中で、編集を駆使してなんとか作品としてまとめてしまったのは、やはりst.taketoさんでした。

 

 

次々に飛ばされていく譜面と譜面台。見ているとヒヤヒヤしてしまいます。全員が風と格闘しているのがわかります。風とは関係ないと思われる吹奏楽器ですが、風の影響を受ける唯一の楽器があります。それは、フルートです。ほとんどの楽器はマウスピースに唇を付けて息を吹き込みますが、フルート(とピッコロ)は唇とマウスピースの間に1センチ弱の距離があります。このせいで、風に邪魔されて自分が思い描いている音が出せないケースがあるんです。数十年前にそんな経験をしたことを思い出してしまいました。

見ている分には大変そうで全く演奏に集中できていない様子なんですが、出て来る音はそんなことをほとんど感じさせないものでした。これは、さすが京都橘と言うべきなのでしょうか・・・。ただ、プログラムがつまらないです。京都橘が演る意味を感じない、と言うか・・・。

ここで注目したのは、新1年生のほとんどが参加した編成です。ざっと見たところ、トランペットが13人!トロンボーンが9人、パーカッションが9人のようです。これは、大迫力の音を楽しめる日も遠くなさそうで、期待大です。

 

 

続いては、マーチング・ステージです。

 

 

ここで披露されたのは、5曲。全て、3月の定期演奏会で演ったナンバーですね。年度はじめなので、この選択はとても正しいと思います。振り付けもフォーメーションもほとんどそのままなので、全員のびのびと楽しそうに演じています。風の影響をまともに受けているのは、カラーガードのフラッグですね。みんな苦労しながらも、きちんとその役割を全うしています。プロ意識、強いです。プロではありませんが。

 

冒頭の「セプテンバー」は、サックス・セクションが大活躍ですが、最大の見ものは楽しい振り付けです。かなり凝った振り付けですが、ちょっと野暮ったいのが「可愛い」という印象に繋がります。私は、大好きです。

「美女と野獣」は、定期演奏会ではドラムメジャーのパフォーマンスが素晴らしくてインパクトが大きかったナンバーです。ここでは見ることができませんでしたが、マーチング・ステージでドラムメジャーの演技を見る機会が少ないので、今後是非この曲の中心になってもらいたいと思っています。

 

それぞれの曲の詳細については、定期演奏会のレヴューに書いていますので、気になる方は遡って読んでいただければ嬉しいです。

今回のプログラムに、今後どんな新曲が加わるのか楽しみにしたいと思うのです。

 

 

 

この後は、精華女子との合同演奏です。

 

博多どんたくのパレードへの参加は、前日夜に京都を出発する夜行バスで10時間ほどかけて福岡へ到着しています。そのまま、まともなリハーサルをすることもなく、チューニングと簡単な音出しだけで本番に臨んでいます。いくら若いとは言え、心身共に充実していないと100パーセントのパフォーマンスは望めないですよね。

どんたくの夜はしっかり休んで体力回復。そして、朝から十分な音出しと楽しい交流。エンジンが温まった状態でのこの日のパレードが充実していたのは、当然の結果だったと言えます。

 

 

 

オマケの動画を、ひとつ。

 

 

どんなケースでも、本気でやっちゃう京都橘。何事も、本気でやるのが一番楽しいんですよね。

 

 

 

 

ということで、ハードスケジュールの福岡遠征は終了です。

 

色々問題もあった博多どんたくですが、京都橘は来年も多分参加すると私は予想しています。ローズパレード参加のために来年末に渡米するはずですから、その感覚を掴むには良い機会だと思うのです。広い道路に大勢の観客。こんな環境でパフォーマンスできるイヴェントは、国内では滅多にないですからね。

 

今期は、どんなことで驚かせてくれるのか?

楽しみに待ちたいと思います。