追悼、ジル・クレイバーグ | "楽音楽"の日々

"楽音楽"の日々

音楽、映画を中心にしたエンタテインメント全般についての思い入れと、日々の雑感を綴っていきます。

$"楽音楽"の日々-ジル・クレイバーグ
女優ジル・クレイバーグ(Jill Clayburgh)が、11月5日に白血病のために亡くなりました。66歳でした。

彼女が映画女優として「第一線」で活躍したのは、1970年代後半だけでした。
その時期は、私が映画にハマっていた時期とみごとに一致するので、私にとっては彼女はとても印象的な女優だったのです。

私が最初に彼女のファンになった作品は、1976年公開の「大陸横断超特急(Silver Streak)」です。
$"楽音楽"の日々-大陸横断超特急
ちょうど1年前にこの作品について記事を書いています。が、読み返してみると、彼女については一言も触れていません。
まあ、強烈な個性を持ったキャラクターが多数出ているので、ヒロインとは言え存在感は薄かったんですよね。
「サスペンス・スリラー・コメディ」といった印象の作品なので、主人公と恋に落ちる彼女が危ない目に遭ったり、軽妙な会話で主人公を翻弄したりという、とても軽いキャラクターだったのです。
でも、とてもキュートな彼女は、私の記憶にしっかりと刻まれたのでした。

この作品で「コメディエンヌ」としての印象が確立されたせいか、次作の「タッチダウン(Semi-Tough)」もライト・コメディでした。

彼女のピークで、代表作と言われているのが1978年公開の「結婚しない女(An Unmarried Woman)」です。
カンヌ国際映画祭で女優賞を獲得しました。残念ながら、アカデミー賞はノミネートだけで終ってしまいましたが。
次のライト・コメディ「結婚ゲーム(Starting Over)」でもアカデミー賞にノミネートされましたが、やはり受賞は逃してしまいました。
$"楽音楽"の日々-結婚ゲーム

その、中途半端な受賞歴と活動期間が短かったことで、彼女は忘れられた存在になってしまったのかもしれません。
私は、彼女の出演作を6本観ていますが、キュートな笑顔と「ほんわか」した雰囲気に密かに憧れていました。

残念ながら、強烈な印象を残す演技はありません。
だからこそ、私だけが思い続けている!といった感じで、「大切な人」だったのです。

彼女が私にとって「印象的」な女優になったのは、音楽の力がかなり大きかったのです。
彼女が出演した作品は、どれも音楽が素晴らしかったのです!

1年前に記事を書いた「大陸横断超特急」と、1973年の「おかしなおかしな大泥棒(The Thief Who Came To Dinner)」は、ヘンリー・マンシーニ(Henry Mancini)が作曲しています。

1973年の彼女の初主演作品「面影(Gable And Lombard)」は、ミシェル・ルグラン(Michel Legrand)です。
「タッチダウン」は、ジャズを得意とするジェリー・フィールディング(Jerry Fielding)が作曲しています。

そして「結婚しない女」は、「ロッキー」で一躍時の人になったビル・コンティ(Bill Conti)が担当しています。
これは、ビルの最高傑作のひとつと言われていますが、未だにサウンドトラック盤が発売されていないようです。
いかにも都会的なサウンドで、私にとってはデイヴ・グルーシン(Dave Grusin)が作曲した「トッツィー」と並んで、典型的なニューヨーク・サウンドという印象です。

また、79年の「結婚ゲーム」は、マーヴィン・ハムリッシュ(Marvin Hamlisch)です。

実は、私が持っているサントラ盤は「大陸横断超特急」だけです。それも、限定版なのです。
列挙した作品は、各作曲家の代表作のひとつにも関わらず、正式にリリースされていません。

ジルの死をキッカケにして、と言うのはとても悲しいですが、これを機会にサントラ盤発売を検討してもらえたら嬉しいですねー。

まさに、私の青春時代の「心の恋人」を亡くした感じです。合掌。