ジェニファー・ジョーンズの大往生 | "楽音楽"の日々

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$"楽音楽"の日々-ジェニファー・ジョーンズ
女優ジェニファー・ジョーンズ(Jennifer Jones)が、12月17日に亡くなりました。90歳でした。
90歳なら、大往生ですよね。
彼女のプライベートについては全く知らないのですが、幸せな一生であったことを願うばかりです。

ジェニファーを初めて見たのは、1974年の作品「タワーリング・インフェルノ(The Towering Inferno)」でした。
$"楽音楽"の日々-タワーリング
映画に興味をおぼえ始めた中学生の私にとって、この作品は強烈でした。
客観的に見ると、冗漫な部分が多々あって「傑作」と呼ぶにはちょっと・・・という出来なのですが、その後の私の「映画人生」の基礎となった作品なのです。
というのも、この映画のスタッフや俳優を追っかけて、それぞれの代表作を観たりして知識を増やしていったからなのです。
公開当初から「オールスター出演!」と銘打って宣伝されていたのですが、スティーヴ・マックイーン(Steve McQueen)とポール・ニューマン(Paul Newman)以外の出演者については、全く知りませんでした。
そんな中で悲劇のヒロインを演じたのが、当時55歳のジェニファーだったのです。
「上品でかわいいオバサマ」という印象だったのですが、あとから調べてみると、アカデミー賞を受賞している名女優なのでした。

他の出演者についても同じようなパターンです。
ジェニファーの相手を演じているフレッド・アステア(Fred Astaire)も、この作品では「心優しいペテン師」という役なのですが、彼が往年のミュージカルのスターで、名ダンサーでもあることを知ったのは、随分あとになってからのことでした。

ジェニファーは1943年の「聖処女(The Song Of Bernadette)」で、アカデミー主演女優賞を獲得しています。初めての主演映画でした。残念ながら、私はまだ観たことがありません。1953年の「終着駅(Terminus Station)」と1955年の「慕情(Love Is A Many-Splendored Thing)」の彼女はとてもチャーミングで、映画少年の心を鷲掴みにしたのでした。もちろん、リアルタイムで観たんじゃありませんっ!!

「慕情」は、主題歌がスタンダード・ナンバーになってますよね。
大げさで美しいメロディが、いかにも昔の映画主題歌って感じで、大好きです。
ジェニファーのチャイナ服姿が印象的な(香港が舞台ですから。)ラヴ・ロマンスなのです。平凡なストーリーなんですが、演出のうまさとジェニファーの繊細な演技で、凡作になっていないのが素晴らしいですね。
ちなみにジェニファーの相手役である名優ウィリアム・ホールデン(William Holden)も、「タワーリング・インフェルノ」で重要な役を演じています。

彼女はその後、1957年にヘミングウェイ原作の「武器よさらば(A Farewell To Arms)」に出演したりして60年代はじめまで、映画女優として活躍します。
けれども、夫との死別後に全く映画の仕事をやらなくなりました。自殺未遂をしたということも、映画誌で読んだ記憶があります。
そして10年以上のブランクを経てスクリーンにカムバックしたのが「タワーリング・インフェルノ」だったのです。
ハデで、ちょっと大味なこの映画の中で、最も繊細な演技をみせてくれたのがジェニファーでした。彼女の演技を見るだけでも、この作品を観る価値があると思います。

この作品のあとには、映画に出演した記録がありません。この時彼女は55歳。
実質、彼女の最後の出演作となってしまったのでした。
この後90歳まで、彼女はどんな生活をしていたんでしょう?
幸せに過ごしていたことを望むばかりです。

そういえば、この記事で紹介した共演者は、すべて亡くなってしまったんですねー。
私自身も、年取ったんだと痛感させられます・・・。