
「The Somberlain」 1993
スウェーデンのメロディックブラック/デスメタルバンドDissectionの1stアルバム。
ブラックメタルやメロデスを聴く人なら大概聴いている或いは存在を知っているバンドでしょう。とりわけ2ndはメロディックデスブラックの名盤として認知されており私もそうだと思いますが、この1stもやはり素晴らしい。今改めて聴き返すにつれ余計にそう思います。演奏や曲の完成度、アルバム構成などはまだ洗練されていないものの、”The Somberlain”をはじめとした野暮ったい程のクサメロと慟哭を乗せて勢い任せに荒々しく突っ走る様は90年代メロデスのあるべき姿です。合間合間に小休止的に配されている3曲のアコースティックギターによるインストナンバーがまた沁みる(メンバーではない人物による作曲とのことですが)。”Into Infinite Obscurity”は実を言うとこのバンドで一番好きな曲です。

「Storm of The Light's Bane 」 1995
2ndアルバム。兎にも角にも”Night's Blood”を聴いた時の衝撃は凄まじかった。イントロ曲から雪崩れ込むままに邪悪な妖気を纏い疾走、疾走、そして一気に訪れるあの地獄の果てまで連れ去られるかの様な劇的サビ。「あのDissectionの様なとか」「Dissectionに匹敵する」とか煽って紹介されるバンドは数あれど、この曲をひっくるめた今作の完成度に敵う作品などただの一度も聴いた事がありません。1stや3rdを超えるものならまだ出来るかもしれません。でもこのアルバムは無理です。2本のギターが紡ぎだす悲壮的なリフレインがまき散らされた、吹雪の様に激しくも緻密で流麗な名作。ブラックなのか、メロデスなのか、いや、ここで聴けるのはDissectionと言う音楽なのです。

「Reinkaos」 2006
リーダーであるJon Nodtveidtの逮捕~ムショ入りと言う事態により、そのままバンドは消滅かと思われましたが、出所後に彼は新たなメンバーを集めて活動再開。この3rdを発表しました。
前作にあった神通力は消え、かと言って1stの様な荒々しい暴虐性も無い。Dissectionの作品として聴いた場合どうしても地味に感じるのは否めませんが、曲自体の出来は良いですし、それに刑務所まで行っておいて以前みたいな作品作られたらそりゃビビりますって。むしろ何か憑き物が落ちた様な雰囲気はじっくり腰を据えて聴くにはもってこいです。
ただ今にしてみるとこの落ち着き具合がJonの末路を暗示しているようで・・・と言うかこの世への置き土産と言う意味では今作の作風は実に「相応しい」と思えます。ラストの”Maha Kali”が今生の別れの様に響くのは私だけでは無いはず。