路傍の疑問~病院・クリニックでのふとした疑問~

路傍の疑問~病院・クリニックでのふとした疑問~

取るに足らない疑問が、日々の診療を深くする。

Introduction

『それは年のせいですね。』というのが私は嫌いです。
もちろん年齢を経ることで出る現象はあります。でも本当に今起こっていることが気のせいなのか、関係ないことなのかは調べてみないとわかりません。

診療の中で患者さんの疑問の一言が次の診療で幅を広げるきっかけになることもあります。
ここではそんな日々生じる疑問や発見について書いています。

ちなみに時々出てくる絵は自作です。医者辞めてイラストレーターになりたいって言ったら、みんなに止められました(笑)。

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<お断り>
論文の解釈には注意しておりますが、あくまで個人の解釈になります。
また研究の行われた国、規模、設定により同じ内容でも異なる結果がでることもあります。
その点についてはご理解いただければと思います。

<文献・出典に関して>
PMIDと良く書いて出させていただいておりますが、これはPubmedという論文検索システムでのいわば出席番号みたいなものです。URL(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/)にアクセスして、番号を入れると見れます(一応)。

ある日こんな話がありました。

HbA1cって具体的にどこまでの血糖値を反映すんだろ。

 

HbA1cは糖尿病における血糖コントロールのサイン指標として有名です。ただこの指標についてはどの期間の血糖血を反映するのかが定かではありませんでした。

 

理由としては1~2か月という説と、2~3か月という説があるからです。一般的に教科書には1~2か月と記載があり、Up to dateでは2~3カ月と書かれているんですね。

 

で、なんでこんな話になったかというと、HbA1cを連続して測定すると保険審査では認められないことがある、という話になったから。

 

日本の医療はご存じの通り国民皆保険です。

例えば3割負担の方の場合、1000円の医療を受けたなら、ご自身が3割、つまり300円負担し、700円は国が負担する。というシステムになっています。

 

美容などの自費診療はこれには入ってこないので自分で払ってね、ということになるんですね。

 

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ですからある医療機関で1000円の診療をしても、国が『いやその医療はおかしいから認めないよ。』とした場合、国から医療機関への支払い(上の例でいえば700円分)はなくなり、医療機関としては困ったことになります(診療には原価がありますから、原価割れを起こす、つまり赤字になることもあり得るわけです)。

 

ですから実は日本の一般的な医学書には1~2か月とあるにもかかわらず、HbA1cの審査では一般的に3か月くらいあけないと検査を認めない、とした内容が返ってくることがあるのです。

 

ということで次回はなぜそのような見解の違いがでるのか、その根拠について考えてみようと思います。

 

本日のまとめ

国が認めない医療をすると、医療機関は赤字になる。。。

 

※なお上記もしているように、認めない医療とは保険適応にならない医療という意味であり、違法行為や詐称的なものとは異なるものです。