永谷久真の練習画。落語『そこつ長屋』のパロディっぽいストーリー『そこつガイノイド』に登場するそそっかしいOLです。

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世の中には、あわて者、そそっかしい人があるものでございます。
「おーい、大変、大変よ。久真、久真、久真の野郎…女だから野郎じゃないか…久真の女郎!ここを開けなさいよ!」
「うーん、誰よ。日曜の朝っぱらから、変な表現であたしを呼ぶのは…そもそもマンションの隣の空室のドア叩いてるし…あら、大学時代の同級生の八千代じゃない…略して八千(はち)…おーい、八千、そこは空室よ。あたしんちは隣の部屋!それと呼び鈴を押さずにドア叩いて人を呼ぶ癖、いい加減にどうにかしなさいな」
「あら、この部屋じゃないじゃないの。あいかわらずそそっかしいわね、あなた」
「いや、間違えたのあんたなんだけれど…久しぶりね、八千。大学卒業して以来だから、50年ぶりぐらい?」
「まだ、アラサーにもなってないのに、そんなにたってるわけないでしょ。まったく、あんたったら、そんなところでのんびりと婚活アプリをいじりながらデリシャスパーティプリキュアなんか鑑賞してる場合じゃないわよ」
「へっ?何かあったの?」
「あったもいいところよ。今から話して聞かせるからびっくりしないでよ。あたしが、今日は休みの日だから街でショッピングでもしようと思って駅にいったら、近くのビルの壁面掲示板に映像でニュースが映ってたのよ。人間と同じ仕事をこなす高性能の新型汎用女性型アンドロイドが開発されたって。そのアンドロイドの顔が良く見るとあなたにそっくりなの。こうなったら、あなたも観念しないと駄目…仕方ない、これも因縁だとあきらめないと…」
「ええっ、何のことだか、話の流れがさっぱり見えないんだけれど…」
「馬鹿ねえ、まだ自分の身に何があったか気がついてないの?あなたはね。何者かに無理やり連れていかれるか騙して連れていかれるかして、ニュースに出ていた研究所で新型汎用女性型アンドロイドに改造されちゃってるのよ」
「よしてよ。気味悪いこと言わないでよ。あたしがロボットに改造されてるだなんて…だって、八千の前だけれど、あたしはちっともロボットに改造されたような気がしないわよ」
「それがあんたはずうずうしいっていうのよ…はじめてロボットに改造されたのに、どんな気がするか、そうそうすぐにわかるわけないでしょ」
「そういわれてみると、今朝はどうも調子が良くないわね」
「そらみなさい。だから早く行かなくちゃ」
「へっ?どこへ」
「決まってるじゃない。あなたが改造された研究所に行って、ロボットに改造されたあなたをひきとりに行くのよ」
「あたしが?あたしを?」
「あなたが行って顔をみせないと、向こうだって観念してあなたを引き渡さないじゃない。さあ、早く行くわよ!」

『粗忽長屋(Wikipedia)』

【今回描いた絵】(仮仕上げ)

【今回描いた絵】(下描き)

【AI絵】改造手術