昭和40年に放映されていたテレビアニメ『スーパージェッター』に登場する未来からやってきた少年ジェッターの年上のガールフレンド「水島かおる」のイラストです。原作とは多少異なる並行世界(パラレルワールド)で悪人にロボットに改造されてしまったという設定で描いたものです。
(以前書いた改造絵日記(9月18日)「サポートロボット・カオル1965」から改造絵日記(3月8日)「サポートロボット・カオル1965とキスの魔力」までの話とは、もう1つ別の設定のストーリーになります)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
30世紀の世界からやって来たタイムパトロール隊員ジェッターは、ふとしたことで女性カメラマン水島かおると知り合いになり、20世紀の科学捜査局の西郷長官のもとで悪人と闘っていました。
「ねえねえ、ジェッターくん。私きのうすごく変な夢を見たの」

「ふーん、どんな夢だい?」

「えーと、私が科学を悪用する悪人の研究施設に、勇敢に…勇敢によ?悪事の証拠を撮影しようと忍び込んだら、うっかり照明のスイッチと間違えて置いてあった変な機械の起動スイッチを押してしまって、マジックハンドにつかまって装置の中に引き込まれてしまったの。そ、それで…私、その機械の中で体をバラバラにされてロボットに改造されちゃったのよ」
「ははは、かおるさんは夢の中でもおっちょこちょいなんだな」
「まあ、腹の立つ!で、夢の中では悪人の命令どおりに動かされて、逆らおうにも逆らえずで、目が覚めて自分の体が生身なのを確認してほっとして、やっぱり自分の意思で自由に動ける人間はいいなあって…思ったの」
「ふーん、人間をロボットに変える機械か。そういえば20世紀にそんな…」
「ジェッターくん、心当たりあるの?」
「いや、何でもない。着いたよ。ここが君の目的地のシャングリラ城だ」
かおるが招待状を受け取ったシャングリラ城は、タワー博士の建設した全てが機械化されていて人間は何もしなくていいという夢の未来都市シャングリラタウンの中心部にある建物でした。
「ここでいいわ。ありがとう。でも何で私なんかがここに招かれたのかしら?このシャングリラタウンは各界のエリートしか入れてもらえないという評判なのに」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
シャングリラ城での望んだ楽しみは何でも手に入る生活に最初は有頂天だったかおるでしたが、やがて何もかもが合理化機械化されすぎていることに次第に飽き飽きしてきました。
そんなある日、かおるはシャングリラ城の最上階にあるタワー博士の部屋に呼ばれました。
「水島かおるさん、どうだね?私の作ったシャングリラタウンの居心地は?」
「と、とても、いいけれど…機械化されすぎちゃってるんじゃないかしら。人間のすることが何もないっていうか…」
「ふむ、私は機械化が好きだ。全てが機械化された城で機械化された女性と暮らすのが私の長年の夢だったのだ」
「そうですか…えっ?、博士?今、なんて言いました???」
「君をこの城に招待したのは君を私のコレクションに加えたかったから…そう言えばわかってもらえるかな?」
「ぜ、全然わからないわ!」
逃げようとしたかおるは、壁から伸びた機械の腕にがっちり捕まえられ、隣室に用意された全自動手術台の上に固定されてしまいました。
(こ、これは、ひょっとして夢と同じ…)
「好みの女性をロボットにして思うがままに動かしたいというのが、今まで誰に対してもひた隠しにしていた私の変態的欲望でな、どうにも押さえきれなくなったので、まず手始めに君を試作機に改造することにした。私の開発した女性型ロボットメタリックドール初号機の栄誉は素体である君のものになるのだ。ありがたく思いたまえ」
「や、やめてちょうだい。タワー博士!このお話は『撃殺!宇宙拳』じゃなくて健全明朗テレビアニメ『スーパージェッター』なのよ。やめてよそんなの!ジェッターくん、助けてー!!」
「泣くがいい。わめくがいい。しかしお前がロボットに改造される運命は避けられない」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
タワー博士は、一時期、ジェッターに追われて20世紀にやってきた未来の犯罪者ジャガーを自分の研究施設に匿っていた時期がありました。(その後、ジャガーは単独で悪事を働いていた際にジェッターと交戦状態になり行方不明に)
「ジャガーくん、優れた頭脳を持つ君に是非見てもらいたいものがある」ある日そう言いながらタワー博士が案内した部屋に置かれていたのは、百万ページにわたる膨大な計算が書かれた紙の束でした。
「これは電子計算機にかけてもおそらく10年はかかる難しい数式なのだ。これを君に解いてもらいたい」
「その計算を解いたらどうするのだ?博士」
「わしの長年の夢である人間の意識・記憶・精神の全てを電子的情報に変えて機械の頭脳に移し替える技術が完成する。いくらでも悪用ができるおそるべき技術だ。やってくれるね?ジャガーくん」
そしてジャガーはたったの1日で電子計算機でも10年はかかる計算を解いてしまい、タワー博士は長年の念願だった「人間の心をそのままプログラムで制御された機械の頭脳に移し替える技術」を完成させたのでした。
(あらかじめ奉仕プログラムを入れた機械の頭脳に人間の心を移し替えることにより、人間を意識や記憶はそのままで身も心も人間の命令に服従する完全なロボットにすることができる。そして…フフフ…この技術の最も優れた点は …後戻りは決してできないということだ。1度ロボットにされたら2度と元の人間には戻せないと、百万ページにわたる膨大な計算による超数学で完全に証明されているからだ)
全自動手術台の上に固定されて身動きがとれないかおるの体を嬉しそうに眺めながら、タワー博士はあらかじめ内蔵コンピューターに入れておいたとっておきのプログラムを作動させました。全自動手術台の周辺の無機質な機械達が動き始め、ごくごく自然に人体を機械の体に置き換える改造手術が開始されました。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「目を覚ました時にはもう身も心も完全なロボットになっているよ…と言いたいところだが、このまま意識のある状態でロボットに改造された方が面白かろう。2度とない経験だ。大切にしないと。何、心配することはない。全自動手術台は手術をする箇所にそのつど特殊な電流を送り込んで感覚を局所的に麻痺させる仕組みだから、まるで痛みは感じないはずだ」
全自動手術台の周辺の体の外観や構造を分析する装置によりかおるの身体データが読み取られると、その詳細なデータを元に、あらかじめ用意されていた機械製の身体部品が加工されて、かおるの生身の部分と入れ替えるための金属製のボディパーツが作られていきました。そして金属製のボディパーツが一揃いすると、かおるの肉体は、一流の外科医も凌ぐ精密な動きのマニュピュレーターにより、嘘のような呆気なさで、適確に切断除去されていったのです。そして切断除去された手足や骨格や臓器の代わりに、準備された金属製のボディパーツがスムーズに置き換えられていきました。
かおるの首から下が、冷たく硬い銀色のメタリックボディのロボットとしかいいようのない姿形にされてしまうまでに、さほどの時間はかかりませんでした。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
人間の意識・記憶・精神の全てを移し替えるには、特別製の電子脳が必要ですが、タワー博士はあらかじめその目的のため、人間に奉仕するロボットとしての基本原則を書き換え不能な形式でインストール済みの高性能の陽電子頭脳を用意して置いてありました。かおるの首から下が、冷たく硬い銀色のメタリックボディのロボットとしかいいようのない姿形にされると、今度は頭部の機械化作業が開始され、それと並行して、かおるの意識・記憶・精神を準備された電子脳へ移し替える作業と、かおるをロボットとして有効に運用するための様々なプログラムをインストールする作業が進行していきました。情報の移行及び頭部の作成が終了すると、機械化された頭部に電波による命令を受信する遠隔操縦用の命令受信装置が装着され、さらに頭部と身体が接続され、機械化作業の全工程が終了しました。

こうしてかおるは身も心も完全なロボットにされてしまったのでした。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
腕組みしているタワー博士の前で、瞳を閉じて手をピンと伸ばし直立不動で待機しているメタリックボディの女性型ロボットこそ、かっての女性カメラマン水島かおるの変わり果てた姿でした。
「フフフ…完成したようだな。20世紀人の仕事にしてはなかなか出来がいい」
背後から聞こえてきた聞きなれた声にタワー博士が後を振り向くと、そこには30世紀の犯罪者ジャガーが立っていました。
「おお、おまえはジャガー。生きていたのか…」
「この俺様がそうやすやすと死ぬものか。おまえが全てを機械化した都市シャングリラタウンを完成させたと噂に聞いてやってきたのだ。ここは俺が20世紀を征服する拠点として使える。さっそくいただくとしよう」
「馬鹿な。30世紀から逃げ出してきたお前をわしの研究施設に匿ってやった恩を忘れたのか」

「人に恩義を感じるような人間が30世紀の世界で大悪人になるわけないだろう。笑わせるな」

ジャガーの手にした武器から一筋の光が放射されタワー博士の体を貫きました。
「悪いな。俺はタイムパトロール員と違ってパラライザーで体をマヒさせるだけにとどめておくなんて甘さは持ち合わせていないんだ…フフフ…このシャングリラタウンにいる住人を全員人質にしてジェッターをおびきよせ流星号を奪う。そうすればもう俺に歯向かえる奴はいない。この20世紀の世界は俺のものだ」
ジャガーは倒れたタワー博士の死体を蹴り飛ばすと、かおるの方を向きました。
「どこかで見た顔だと思ったら、ジェッターと一緒にいた20世紀女だな。俺の顔を覚えているか?」
ジャガーの声に待機状態だったかおるの電子脳が働きはじめ、かおるは目を開きました。
「ピポポポポッ!視覚データト電子脳ノ記憶データノ照合完了…アナタガ30世紀ノ世界カラ来タ犯罪者・ジャガー様デアルコトガ確認デキマシタ…ピキュ~ン!」
(私ハ人間ノ命令ニ従ワナケレバナラナイ…私ハ人間ノ命令ニ従ワナケレバナラナイ)
かおるの電子脳を奉仕プログラムが駆け巡ると、かおるは好奇心が強く勝気で行動的な女性カメラマンだった自分が、人間のいかなる理不尽な命令にも媚びへつらわなければならない卑屈でいじましい機械仕掛けの人形になってしまったことを認識しました。

『スーパージェッター(Wikipedia)』

【今回描いた絵】(修正画)

【最近描いた絵】

★001

★投稿済

★002

★投稿済

★003

★投稿済

★004

★投稿済

★005

★投稿済

★006

★投稿済

★007

★008

★009

★010

★011

★012

★013

★014

★015

★016

★017

【AI絵】機械化改造された女性カメラマン