別な言葉を考えたら? | メタボリックがとまらない ver.7 東京出戻り編

メタボリックがとまらない ver.7 東京出戻り編

副題 : もう遠距離の異動は無いだろう

とあるゴルフクラブ系YouTubeを見たのですが、その回は人気のユーティリティを紹介する回。

ピンのG430やらゼクシオやらが紹介されていたんですけど、ユーティリティの機能を説明するにあたって、「ロングアイアンの代わり」という言葉が何回か出てきまして、かなり違和感を感じた。





確かにユーティリティが生まれた発端はロングアイアンであり、ロングアイアンより易しいクラブを目指した結果として、ユーティリティと称されるクラブが出現した。

その傾向は今でも残っているのでしょうが、今でも同じコンセプトで開発されているのかと言われたら、アイアン型のユーティリティを除けば、そのようなコンセプトは残っていないように感じる。

まあ、ロングアイアンと同じ長さで、ロングアイアンより上がりやすいというコンセプトだけを見れば、ユーティリティ草創期のコンセプトは生き残っているけど、様々なユーティリティが生まれ、そして年代を重ねてきたという状況を見れば、ユーティリティはユーティリティとして、独自の進化をしてきたと考えた方が正しい気がする。





ロングアイアンが、より難しくなった理由として、ボールの変化や進化が挙げられる。

スピンが嫌でも入る、糸巻きバラタカバーのボールであれば、ロングアイアンでも充分なスピン量を確保可能だったものが、今のようなソリッドボールに変化した事で、糸巻きバラタカバーほどのスピン量が得られなくなり、普通のヘッドスピードのゴルファーでは、地面から充分な高さを出せなくなってしまった。

それによって、どのような影響が出たのかと言えば、ロングアイアンでカバーしていた飛距離帯が、ごっそり空白地帯になったという事態となった訳で、そのような事態に対応する必要が、メーカーに求められたという事であり、これはボールの変化や進化と同時進行。

ユーティリティが出現したのも、ほぼソリッドボールの一般化と同時期であって、ボールの変化がユーティリティを生み出したと言える。





ロングアイアンでカバーしていた飛距離帯を、この記事では仮に「ロングアイアン帯」と呼びますが、ロングアイアン帯をカバーする為には、別にロングアイアンの改良に拘る必要は無い。

確かに初期のユーティリティについては、「ロングアイアン」という言葉に縛られた設計がメインでしたけど、「ロングアイアン帯のカバー」という事が目的だと気づけば、ロングアイアン形状に縛られる必要は無いのであって、ウッド形状の小型化という視点から設計する事も可能で、そのような視点からの成功作が、キャスコのパワートルネードだと思う。





メーカーは「ロングアイアン帯のカバー」という視点で、クラブ設計に勤しんできましたが、それを紹介するゴルフ業界においては、そのような変化を紹介する言葉において、変化や対応が遅れているのではないか?

もはやロングアイアンは一般的ではなく、ロングアイアンを打った事があるゴルファー自体が少なくなっているというのに、未だに「ロングアイアンの代わり」と言い続けるのは、いささか不勉強なのではなかろうか?

そのような状況下においては、もはや「ロングアイアン帯」という言葉も時代遅れで、「ユーティリティ帯」という言葉の方が、今のゴルファーには理解しやすいのではないか?





クラブが生まれた経緯を伝えるのも大事だけど、いい加減「ロングアイアンの代わり」という言葉で、ユーティリティを説明するのは止めた方が良いと思う。