アメフト選手がウエイトをした方が良い理由 | ムーブメントコーチ ロボラガーのブログ

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ムーブメントコーチ(重心移動のスキルを指導)として、高校生や大学生中心にトレーニング指導をしております。現場での試行錯誤を書きたいと思います!

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アメフト選手がウエイトをした方が良い理由をいくつか書いてみる。

 

 

[ニュートンの法則]

我々が地球上にいる限り、アメフト選手のみならずニュートンの法則を考慮した方が良さそうである。

 

⑴慣性の法則

物体の運動は、外から力を加えない限り変化しない

人が動くには、外から何らかの力を受けなければならない

 

我々は外からの力が無ければ動く事が出来ないのだ。では、外からの力とは何ぞや?

外からの力には主に二つあり、一つが重力でもうひとつが地面反力である。

そう、我々が動くには重力と地面反力が必要なのである。ではどうしたら地面反力を得ることができるのか。ニュートンは偉い、それを第三法則で示してくれているではないか。

 

⑶作用反作用の法則

物体がある物体に力を加えると、その物体から同じだけの力が逆方向に返ってくる

 

つまり、我々が地面を押すからその反作用として地面反力をもらえるのだ。

地面を強く押すほど大きな力をもらえて、かつそれは必ず反対方向に返るのだ。

 

ニュートンは凄い、第二法則でこうも教えてくれる。

 

⑵運動方程式(F=ma

物体に力を加えると、その力に比例して体の加速度が変化する

外から受けた力に比例して、人は動き(加速度)を変化させる

 

つまり、地面反力の大きさが加速力を決定づけるのだ。

 

式を変換すると、

F(力)=ma(質量×加速度)

a=F/m

 

質量を体重として考えると、体重が変わらなければ力が大きいほど加速度は大きくなるのだ。010mほどの加速力は、アメフトの選手なら誰もが欲しい能力のはずである。

 

ニュートンの法則を改めて整理する。

・地面反力が無ければ、我々は動くことができない

・地面反力は我々が地面を押すことでもらえる

・地面を押す力が強いほど地面反力は大きくなる

・地面反力は押した方向と必ず反対に返る

・地面反力の大きさが加速力を決定する

・地面反力が身体を加速する

 

これがアメフト選手がスクワットやデッドリフト、そしてクイックリフトなどのウエイトトレーニングをやった方が良い理由の一つだ。もちろん、多くのアスリートも同じではある。

 

ただ、残念ながら「ウエイトをやったら足が遅くなる」とか「キレがなくなる」という理由でウエイトに対して積極的に取り組めない選手がいるのが日本のスポーツ界の現状である。それはコンタクトスポーツの代表でもあるアメフト界もしかりだ。

 

[運動量]

運動量(momentum)とは何か?

運動量とは「運動の勢い」のことで、式にすると

運動量(p=質量(m×速度(v

 

質量を体重として考える。

そう体重が重い人が物凄いスピードで突っ込んできたらヤバいってやつだ。これが運動量が大きい、つまり運動の勢いが凄いってことだ。

 

コンタクトで勝つかどうかは、この運動量で決まるというわけである。

これもアメフト選手がウエイトをやり筋肥大をすべき理由の一つである。

 

一方、ムーブメントトレーニングとは身体を効率良く使って、怪我のリスクを減らしパフォーマンスの向上に繋げるものになる。

一言で言えば身体操作をうまくするというものだ。しかし、どんなに身体操作が上手くなっても質量が小さければ、コンタクトスポーツでは不利になるのだ。

高校生と大学生、大学生と社会人、社会人とNFLの選手の差は、ここにあると言っても良いかもしれない。レベルが上がるほど、デカく速く強いのだ。

こんなデータがある。

NFLのトライアウト参加選手の立ち幅跳びの平均が3.06m、垂直跳びが91cm、体重が92.5kg。一方、日本代表候補選手の平均が立ち幅跳び2.66m、垂直跳びが67cm、体重が80kgであると。この差が、まさに日本とアメリカの差なのだ。

 

[怪我のリスクが減る]

アメフト選手がウエイトをやった方が良い理由の次は、怪我のリスクを減らすことにある。もしかすると、これが1番大きな理由と言ってもいいかもしれない。

筋肉は関節をまたいでついている。関節には靭帯もあり関節が安定するように働いてくれる。が、靭帯を鍛える事はできないと言う。

しかし、筋肉は鍛える事ができるのだ。関節を安定させるためにもウエイトをして筋肉を強くしたい。

 

コンタクトスポーツなので打撃による耐性力もあった方が良い。単純に言えば、筋肉の鎧があった方が間違いなく身体は痛くない。ボクサーが腹筋を鍛えるのに、メディスンボールで思いきり叩きつける理由と同じだ。言い方を変えれば打たれ強くなるってことである。

 

ウエイトトレーニングが傷害予防効果が高いという文献はむちゃくちゃ多い。

軽度な肉離れにとどまらず、膝のACL損傷、肩関節の脱臼、脳震盪、腰椎ヘルニアなどの大きな傷害、さらには頚椎損傷や場合によっては死に至るようなリスクがあるのがアメフトという競技である。選手生活はいつかは終わる。アメフトを引退した後も様々なスポーツを生涯にわたり楽しむためにも、あるいは健康的な生活を送るためにも、是非、積極的にウエイトトレーニングに取り組んで欲しい。

 

ウエイトトレーニングは決して魔法ではない、しかし、やらないよりやった方が良い恩恵の方が圧倒的に高いのである。

 

ただ、ウエイトの必要性を理解できても、そんな簡単に圧倒的な筋力、筋肉量にはならないのだ。練習の片手間ではとても無理である。むしろ、アメフトの練習の中でも最優先順位の位置づけでやりたい。

仮にそれが出来たとしても、筋肉は強くデカくはなってくれない。そう、適切な栄養と休養が必要だからである。ウエイトやアメフトでハードワークする選手こそ、リカバリーが大事になる。

言い方を変えれば、明日もハードワークするためにリカバリーをするのだ。ハードワークしてもリカバリーしなければ怪我をする。

ハードワークしなければリカバリーする意味がない。ハードワークするならリカバリーと常にセットにしなければいけない。

 

話が長くなった。

簡単な話だ、アメフト選手よウエイトをガンガンやろうぜってことである。