F=ma
力=質量×加速度
いわゆる運動方程式ってやつだ。
高校時代に物理で赤点を取り、数学も含めて理系はムリって授業中居眠りばかりしていた私。
この式が、まさかムーブメントコーチにとって、むちゃくちゃ大切になるとは、あの時机に突っ伏して寝ていたバカには知る由もない。
しかし、そんなバカにわかりやすく教えてくれた方がいる。School of movementのIES (Introduction to Exercise Science)担当の得原さんだ。ん、英語だけ見てもわからない。そうだった、私は英語の授業中も当時の担任に、毎回のように当てられても答えられず、「森下、またやってないな」と怒られまくっていたのだった。得原さんが教えてくれるのはバイオメカニクスだ。バイオメカニクスとは生体力学と日本語に訳すとなる。
地球上にいる限り、我々は重力の影響を受けている。そう、重力と言えばニュートンだ。
前置きが、とても長くなってしまったが、この運動方程式はニュートンの第二法則と呼ばれているものだ。
F=ma(力=質量×加速度)
言葉にすると、
「物体に力を加えると、その力に比例して物体の加速度が変化する」
んー、私の頭ではよくわからない。
それを、得原さんがこう教えてくれた。
人に例えるのだ。
「外から受けた力に比例して、人は動き(加速度)を変化させる」と。
ん、外から受けた力って何だ。
そうなのだ、これも実はニュートンの第一法則ってやつで説明が出来るのだ。
慣性の法則ってやつだ。慣性の法則は名前くらいは誰でも知っている。
「物体の運動は、外から力を加えない限り変化しない」
これも、得原さんが人に例えてくれた。
「人が動くには、外から何らかの力を受けなければならない」と。
地球上にいる限り、我々は外からの力を受けないと動けないのだ。
では、外からの力とは何ぞや?
外からの力には大きく分けて2つある。
一つが重力で、もうひとつが地面反力だ。
我々は重力と地面反力を得る事で動く事が出来るのだ。
外からの力が大きいほど、人は加速度を変化させる事ができるってことは、言い方を変えたら、地面反力が大きいほど、人は加速度を変化させられるのだ。
F=maの式を変換してみる。
a=F/m
ここで、mの質量を体重として考える。
加速度を上げるには、体重が変わらないなら、地面反力が大きい方がいいのだ。
これが、多くのスポーツ選手が、スクワットやデッドリフトなどをやる一番の理由である。なぜならば、今度はニュートンの第三法則の作用反作用の法則っていうもので説明できるのだ。
作用反作用の法則は、私のような物理が苦手な者でも一番理解しやすい。
「物体がある物体に力を加えると、その物体から同じだけの力が逆方向に返ってくる」
そう、100kgの力で地面を押せば、その反対方向に必ず100kgの力が返ってくるのだ。
この地面を押す力をつけるには、スクワットやデッドリフトはとても効率が良いのだ。
それにしてもニュートンさんは凄い。
この3つの法則のおかげで、私が選手たちに、なぜスクワットをするのかを説得力をもって説明できるのだから。
ん、これでもスクワットをやる意味がわからないとしたら、あなたはもはや地球上の生物ではないのかもしれない。もはや、自分の説明の下手さを人のせいにしてしまうのである。