大阪人(周辺の地域も含めさせて下さい)というと、多くの人が抱くイメージ(あくまでイメージですが)があります。よくしゃべる、すぐ笑いを取りにいく、目立ちたがり、物怖じしない、大阪弁へのこだわり、などでしょうか。う~ん、ほぼ大阪人の私も、確かにそんな人の比率が高いな、と感じます。そんな大阪人のトーク、振る舞いを語る2冊の本をネタ元に、笑えるエピソードをお届けします。どうぞ最後までお気楽にお付き合いください。

★まずは、「大阪ことば学」(尾上圭介 岩波現代文庫)からの話題2つです。

 大阪弁の話題が中心ですが、大阪人特有の振る舞い、言動も取り上げられています。
・平成7(1995)年、阪神・淡路大震災が発生し、被災地にはテレビ局を中心に取材が殺到しました。でも、大阪人は、テレビカメラを前にしても自然体です。被災直後に小学校の体育館でテレビのマイクを向けられた年配の女性の返事です。
「みんな親身になって心配してくれて、ありがたい思てます。2日目には京都と大阪から親類がとんで来てくれて、「今なにが一番欲しい」ゆうて尋ねるから、「家が欲しい」ゆうたら、「そら、わしらも欲しい」て・・・」 ボケとツッコミの精神は、根っからのもののようです。

・また、震災のあった年には、セアカゴケグモという恐ろしい毒グモが海外から入って来るという災難にも見舞われました。テレビ局が早速インタビューをしました。「セアカゴケグモという毒グモが日本に入って来てるらしいですけど、どうですか?」
「どうですか?」と「感想」を聞いても、普通は、「いやですねぇ」「困ります」「怖いです」などと当り前の返事しか返ってこないはず。でも、大阪のおばちゃんは違います。
「いややわ、もうちょっとええもんに来てもらいたいわ」と答えました。いかなる時もユーモアを忘れません。「もしいたら、どうしますか?」と訊かれた別のおばちゃんは、
「そら、たたき殺すわ」
「どうします?」と「取るべきアクション」を訊かれたのだから、ごく真っ当な返事です。これも当たり障りなく感想めいたコメントを求めたアナウンサーの意図を見事に外したのが笑えました。大阪のおばちゃんのほうが、1枚も2枚も上をいってまんな。

★お次は、「大阪学 世相編」(大谷晃一 新潮文庫)から2つお届けします。著者は、大阪の帝塚山学院大学で「大阪学」を講じた方です。その中で、大阪人とテレビというメディアとの相性の良さを具体的に、楽しく語っています。

・テレビの企画で、何も知らない通行人に向けて、いきなりピストルを撃つマネをしました。東京では、みんなプイと知らぬ顔で行ってしまいました。中には「何を失礼な」と怒りの顔を向ける人もいたといいます。
 大阪では、何人かは「やられた」と倒れるマネをし、中には「これ何やってんのん」とカメラの方へ来て触るおばちゃんもいました。ノリがいいのです。

・著者によれば、おなじみの視聴者参加型のテレビ番組も、発祥は大阪だといいます。1963(昭和38)年、「夫婦善哉」という番組がスタートしました。

 ご覧のミヤコ蝶々(右)・南都雄二の漫才コンビが司会のトーク番組です。素人夫婦が登場し、夫婦喧嘩、浮気、へそくりなどをアケスケに語るのがウケて、大阪では33%の視聴率を獲得したこともあったといいます。一方、東京では、「大阪人は漫才師か」「露出趣味の低俗番組」との評価が主流だったようで、視聴率も10%程度でした。著者は大阪人の特性を「自分の欠陥や欠点を恥ずかしがらずさらす、相手が喜べばいい、根が目立ちたがり屋、テレビカメラを恐れない」(同書から)と分析しています。だから、「テレビ向き」との結論にもデータの裏付けがあり、「そのとおりやな」と感じたことでした。

 大阪人の面白さを感じていただけましたか?根っこにあるのは、商都に由来するサービス精神のような気がします。それでは次回をお楽しみに。