バブルが弾けたのでは、とか言われながらも、中国の人たちによる爆買いブームは、相変わらず続いているようです。よく言えば逞しくて、自由奔放。悪く言えば行儀が悪く、傍若無人、自分勝手というのが、彼らの行動原理のように見えます。
昔、北京に行った時、マイクロバスでの移動があったのですが、人も自転車も、そして車も、譲り合うということを絶対せず、思い思いに道路を通行しているようにしか見えません。お互いが、ぎりぎりに間合いを見切って行動する、まるで剣豪の世界みたいでした。ですから、マイクロバスの運転手も、とにかく警笛(ホーン)をず~っと鳴らしっぱなし。まわりの人も車も、いちいちそれを気にする風でもなく、交通が流れていくのが不思議でした。
それで思い出したのですが、「支那四億のお客さま」(カール・クロウ 新保民八/山田侑平訳 連合出版)という本があります。
中国の人口は12億のはず。「支那」なんて言い方も随分古い。実は、この本の原著が出版されたのは、1937年です。
著者は、当時の上海で広告代理業を営んでいたアメリカ人。モノは安ければ売れる、というのが常識で、そもそも広告というものに金をかけるという発想がロクにない時代です。しかも相手は、かの中国マーケット。そんな世界にフロンティア精神丸出しで飛び込んで、ビジネスし、人々と交流し、戸惑ったり、喜んだりした体験を暖かく、かつユーモラスに描いています。日本では、早くもその翌年に、翻訳、出版されました。
ただ、当時(なにしろ昭和13年ですから)は、軍事上の理由などから、翻訳されていなかった部分があったのを、原翻訳(新保)の遺族の承認を得、一部改訳のうえ、2007年の秋に復刻されたものです。
興味深いエピソードが満載の本書の中から、2~3ご紹介します。
イギリスの会社が、販促のため、石鹸、歯磨などのミニチュア見本の無料配布を計画し、新聞に引き換えクーポンを載せることになりました。著者の広告代理店は、混乱を予想し、計画に反対するのですが、クライアントに押し切られ、地元でも一番発行部数の少ない1紙だけに限定して、広告を載せます。
その日の朝、見本を配る代理店のオフィスの前は、開店前から群集の山。1時間後には通りが塞がれ、見本の配布に手間取ったこともあって、群集が騒ぎ出し、レンガが飛んでくる騒ぎとなりました。
数年後、別の会社から、同じような企画が持ち込まれた。前回の失敗を踏まえて、配布場所を40箇所に増やし、新聞社にもクーポン券の版下は、ぎりぎりで差し替える、という手段を講じます。しかしながら、今回の作戦もものの見事に失敗に終わりったのです。
新聞の印刷工から、クーポンが載ることを知った新聞少年たちは、新聞からクーポンだけを大量に切り取り、知らん顔で新聞を売ります。年下の少年を使って、そのクーポンで引き換えさせた見本を転売して、新聞少年たちは大もうけしたといいます。
いやはや、中国の人たちの逞しさは今も変わりませんねぇ。
中国の人にとって、外国企業で働くのは夢。そんな人々のために英文書簡集の類の本が出版されたりすることもあるらしいのです。
香港の英国企業の気難しい紳士がとんでもない手紙を受け取って仰天しました。彼には既に結婚している二人の娘がいるのですが、その手紙は「娘に思いを寄せることを許してもらいたいというのであれば、貴下は放蕩自堕落な現在の生活を改めなければならない」と親切ながらも厳しく忠告する内容でした。手紙に署名しているのは、その企業への就職を希望している青年でした。どうやら、書簡集の引用箇所を間違えたらしいのです。
いやはや、中国の人たちのトホホぶりも、相変わらず?
いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。