『500ページの夢の束』(原題:Please Stand By) | Life is Like A Perfectgarden

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『500ページの夢の束』(原題:Please Stand By)

2017年制作


あらすじ
自閉症のウェンディは、現在は施設で生活をしている。彼女が大好きなモノはSFテレビドラマ『スタートレック』。
ある日 TVで『スタートレック』の脚本コンテストが開催されることを知り自分も参加したいと脚本を執筆。
原稿を郵送で送り損ねた彼女は 愛犬とともにハリウッドへ脚本を届けるために旅に出る。


スタートレック界隈では「ダコタ・ファニングさん主演でスタートレックリスペクトな作品が!!」と少し話題になっていた作品です。
そして同時に「日本ではスタートレックの知名度を考えても なかなか公開は無理かなぁ」と思っていました。
その作品が日本で 劇場で見れるという事で本当にありがたいです。
見た感想を一言で言うと『作品テーマやその表現の仕方が大好き』でした。
後 もちろんスタートレックを知っているとより楽しめますが 知らなくても大丈夫かなぁ。
(正直 知っている自分としては知らない人の気持ちは想像と他の人の感想に頼っていますが。)
そして そんなスタートレックネタやらの解説も少し書きたいなぁと。
一応 ネタバレが嫌という意見を見ましたが・・・そんなにネタバレで何かが減る作品ではありません。
ただ スタトレネタは自分で気がつきたいという方は読まない方が良いかもしれない内容を含みます。

まず原題であり劇中でもあるセリフ『Please Stand By』ですがスタートレックでよく出てくるセリフです。
具体的に使い方がありまして 星などに降りている人が仲間のいる宇宙船(エンタープライズ)に現状報告をする際に言います。
「問題がないから現状維持で」と「だた 何かあった際はすぐに転送で助けれる準備を」意味合いが含まれています。
(スタートレックでは星などに降り立つ際に基本船ではなく 転送機でワープして降ります。)
この作品の中でも主人公の言う『Please Stand By』にはこの二つの意味が込められています。(と自分は思いました。)
『自分は大丈夫』という意味と『ここにではない何処かへの移動を希望する』という意味と。

ついでに 二つの意味で言いますと彼女を支える施設の女性の名前が『スコッティ』なのも二つの意味が込められています。
『スタートレック』の機関主任の名前が「モンゴメリー・スコット」(スコッティ)です。
そして彼は 転送機を操る役目である事も多く 『Please Stand By』 『Beam me up』(転送してくれ)と言われる立場の人間なのです。
『スコッティ』に言う言葉は

あと 知らない人は疑問に思われるかもと思った所で何故に彼女は古い作品である『スタートレック』が好きなの??
という事ですがアメリカは多チャンネルでコンテンツとして『スタートレック』は人気がありいつでもなにかしらの『スタートレック』シリーズの再放送がされているらしいです。
そもそも『スタートレック』が人気番組になったのも アメリカ各地でのローカル局が乱立し 当時 単価の安かったスタートレックが各地で再放送されたのも一因らしいです。
なので熱烈なスタートレックファンがアメリカでは年齢に関係なく沢山おります

そしてその熱烈なファン達の文化の際たるのモノが劇中に登場する「クリンゴン語」です。
元々はスタートレックに登場するクリンゴン人という乱暴な種族が話す言葉です。
ただ アメリカではこの言語の研究や体系が完成されており アメリカではクリンゴン語講座が開催されていたり シェイクスピアの劇をクリンゴン語で行われたり最近公開されました『スタートレックディスカバリー』では字幕選択の中にクリンゴン語があったりします。
それぐらい言語体系として成立しています。
ちなみに『宇宙人ポール』という映画の中でも主人公のギーク二人もクリンゴン語で会話をしています。

物語としては『大好きなモノがある事の活動力』や『自分の主張と社会のルール』『家族の話』等々 色々なテーマが入り組んだミニマムながらも良い作品でした。
後 ダコタ・ファニングさんの演技力に裏付けされた魅力が物凄く溢れています。