再び時間は戻って子供の頃の話。

うちはまあまあな貧乏であったため、誕生日やクリスマスなどのイベントでパーティーをやる風習がなかった。

なので友達の誕生日パーティーやクリスマスパーティーにお呼ばれしてもらい、そこで家庭の温かさを感じていた。

ある年の誕生日、何を思ったのか、

「自分も誕生日パーティーをやりたい」

と一度言い出した事がある。

多分、自分は呼ばれるばっかりで一度も開催しないから、

『こいつの家貧乏なんだろうな』

と思われたくなかったのだろう。


母は、

「別にいいけど、何人来るかだけ教えてね」

と了承してくれた。

なんだ、案外やってくれるんじゃないか、と僕は喜んだ。


誕生日当日、僕の家はそんなに広い家じゃなかったので、仲のいい友達四人ほどを呼び、みんなでパーティーが行われる部屋でテーブルを囲み、料理が出て来るのを待っていた。

母が買い物から帰って来て、

「はい、みんな食べてー」

とテーブルの上に袋を置いた。

中にはケンタッキーで買ってきたチキンフィレサンドとポテトが人数分入っていた。

それとは別にコーラと三ツ矢サイダーの大きなペットボトルが二本。

ケーキはなし。

料理は、以上だった。

パーティーというか、昼食だ。


僕は拗ねた。
そして母に対して、一週間ほど冷たくしてしまった。

母は僕が何か怒ってると気づいてはいたと思うが、特に聞いても来なかった。

今思えば、とても申し訳ない事をしたなと思う。

働き詰めで、家事もやらなければいけず、父はろくでなしで、何もかも大変な母に、誕生日パーティーが思ってた感じと全然違うぐらいで腹を立ててしまった。

とても子供だった。

いやまあ、本当に子供だったから仕方ないのかもしれない。

自分に子供がいたら、僕はどう接するんだろう。

かわいい。