オーディションライブを勝ち抜き、事務所に所属する事が出来た僕らだが、このライブで、芸人として生きて行く上でとても大切な事に気づかされた。
いつかのネタ見せで、確か僕があまり出どころがないネタをやった時、ネタ見せを見てくれていた桑原さんが、
「もっとブサイク使うたらええのに」
と言った。
僕と山崎は、もう一人の相方を見て、そのもう一人の相方も、
「僕ですか」
と言った。
すると桑原さんは、
「いやお前ちゃうわ。北澤や。」
と言ったのだ。
「え?????」
と僕は思った。
通りで女装姿で登場しただけで、割れんばかりの笑いが起こるわけだ。
そう、僕は先天性ではなく、後天性のブサイクなのだ。
点と点が線になるのだが、このダメ出しがあった時から、星が獲れなくなった。
「自分のブサイクを活かすネタ」
をどう書いたらいいのかわからなかったのだ。
「え、彼女いるけどな。。自分ブサイクなの??」
みたいな自問自答を繰り返した。
一度付き合っていた〇〇さんに、
「ネタ見せで自分のブサイクをもっと活かしたらいいのにって言われた」
と言った事がある。
すると、
「そりゃそうでしょ」
という返事が返って来た。
「あれ?ブサイクなの?この人、自分の彼氏ブサイクで大丈夫??」
と思った事がある。というか、そのまま聞いた事がある。
すると〇〇さん、
「いや私はブサイクとは思ってないよ?でも世間からしたらブサイクでしょ?」
と言われた。
「へえ、なるほどなー」
と思った。
この人はちゃんと自分の価値観を持ってる人なんだ、と。
やりたいお笑いと、やらなきゃいけないお笑いがあるという事を、僕は桑原さんに学んだのだ。
そして今も、それが器用に出来ているわけではない。