さて、生い立ちブログの続き。

僕らはフリーとして活動していたが、ライブに出演する以外何もなかった。

しかしなぜだかそんなに危機感を感じてなかったのは、周りにいた芸人たちもみんなフリー芸人だったからだろう。

「いつか自分にもチャンスが来る」

などと思いつつ過ごしていた。

あとになって気づいた当たり前の事だけど、

「チャンスは待ってても来ない」

のだ。


そんな僕らに衝撃の出来事が起こった。

SMA(ソニーミュージックアーティスツ)が、お笑い部門を立ち上げ、芸人を募集し始めたのだ。

一緒にライブに出ていたフリーの芸人達は、みんなソニーへ駆け込んだ。

続々と事務所所属となっていく状況を見て、正直焦りを感じた。

メンバーにも「どうする?ソニー行ってみる?」と言われたが、僕にはソニーへ行きたくない決定的な理由が一つあった。

嫌いな先輩がソニーへ所属することとなったのだ。

誰かは言わないが、ほんとに尊敬出来ない先輩だった。

別に悪い人ではないのだけれど、一度飲みに行った時、お笑いに対しての姿勢があまりにも適当過ぎて、苦手になってしまった。

そんな人とこれからも同じ事務所で活動しなきゃいけない、という事に耐えられなかったのだ。


かと言って、周りの芸人が続々と事務所に所属する中、自分達も何か行動を起こさないといけない、となった。

前に書いたが、僕らは数年前に浅井企画のネタ見せに行き、そこでボロクソに言われすぎてトラウマになっていた。

そこで僕は、
「あの時はあ行から行ったから、今回は逆にわ行から行こう」
と言い、ワタナベとワハハ本舗の二択となった。

全会一致でワタナベだな、となった僕らは、その次の月に、フリーの芸人でも出られるオーディションライブ「STEP!STEP!STEP!」のネタ見せを受けに行く事となる。


塀の上の猫。