おっといけない、生い立ちブログをサボっていた。
さて続き。
〇〇さんと別れた僕は、しばらくして△△さんと付き合い始めた。
この子は洋服屋の同僚だった。そんな美人でもなかったが、不思議なセンスのある子だった。
当時は特に何とも思ってなかったが、今冷静に考えると「なんで付き合ったのだろう」と思う。
全然好きではなかったし、ほんと〇〇さんと別れた反動だけで付き合ったのだろう。
ただ他の人と付き合ってみたかっただけだったのだ。
しかしこの△△さん、なかなかのくせ者であった。
まず付き合ってすぐに、僕の家のそばに引っ越して来た。
「こんな近いなら」ということで、あれよあれよと言う間に一緒に住むことになった。
家でも一緒、職場でも一緒、付き合って3ヶ月程で僕はうんざりしていた。
そんなある日、洋服屋の新店舗の立ち上げで、二人揃って津田沼のお店にヘルプで行くことになった。
一緒に帰ろうと言われ、駅のホームで電車を待っていたその時、僕はふと、「別れたいんだけど」と言ってしまった。
彼女は指にはめていた指輪を線路に投げつけた。(たしか僕があげたやつ?)
僕がそれを見て「あっ!」と言ったその時、左の頬にグーのパンチが飛んで来た。
僕はよろけ、「こいつ、本気だ」と察知し、逃げた。
僕が階段を登ろうとしたその時、手すりの間からまたパンチが飛んで来て、僕は階段にズササー!とコケた。
パンチが飛んで来た方向を見ると、腕を抜いて、こちらを睨んでいる△△さんと目が合った。
「殺される」
と思い、僕は必死で階段を駆け上がり、自動改札を飛び越え津田沼の街へと姿をくらました。
そして僕は、電車を乗り過ごし、津田沼から東京まで、7時間半かけて歩いて帰ったのだ。
これが僕の人生における「津田沼の乱」と呼ばれる出来事である。
それから僕は△△さんとの家には帰らなかった。
洋服屋のバイトは異動届を出し、違う店舗に移る用意をしていた。
そんなある日、△△さんとの家に置いてある物を取りに行こうと思い、△△さんが仕事でいないであろう時間を狙って家に行ってみた。
鍵を静かにあけ、自分の荷物を整理する。
とその時、
「ジャー」とトイレの水が流れる音がしたのだ。
僕は心臓の鼓動が急に早くなり、立ちすくんでしまった。
「ガチャ」とトイレのドアが開き、△△さんが出てきた。
「…あら、帰って来たんだ」
と言いながら、△△さんの手がキッチンの洗い物を置くカゴの中に入って行くのが見えた。
僕は「刺される」と思い、足元にあった枕を投げつけ、急いで窓を開け、ベランダから脱出して靴下のまま逃走した。
「待てコラ〜!!!」
という声が聞こえたが、僕は振り向きもせず一心不乱に走り続けた。
あの時の靴、気に入ってたんだけどな。
それからというもの、毎日のように何十件もの電話がかかってきた。
僕は恐怖におののいていたが、これはケリをつけなければならないと思い、職場の第三者も交えて話し合いをすることになった。
話し合いは長時間に及んだが、結果別れることで結論は出た。
その時、△△さんが急に気を失い、急いで救急車を呼んだ。
△△さんが運ばれる救急車を僕は自転車で追いかけながら、「なんだこの安い昼ドラみたいなのは」と思っていた。
△△さんは無事だったが、この時からもう会ってはいない。
風の噂でポルトガル人のモデルと結婚した、みたいな噂を聞いた。
頑張れ、ポルトガル人のモデル。
そしてその1ヶ月後、僕は〇〇さんとよりを戻す。この時23歳。
僕は〇〇さんと30歳まで長いお付き合いをする事となるのだ。